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海守便り
指導者育成で着々と成果
(海守事務局)
キャプテンとリーダーを養成
 海守の活動(各種イベント)の目的は、海守会員をはじめ多くの一般市民に海への関心や知識をもっと深めてほしいという主旨のものですが、そのなかには、専門知識を培って海守としてのボランティア活動の中心になっていただく、キャプテンとリーダーを養成するものがあります。
 
クリーンアップキャプテンって?
 クリーンアップキャプテンとは、世界共通方式で実施している海岸清掃(クリーンアップキャンペーン)に関し、参加者の募集や集めたゴミの分析などについて企画・運営するリーダーのことです。
 クリーンアップキャンペーンは、1990年からJEAN(クリーンアップ全国事務局)が日本の窓口となって実施してきました。
 キャプテンは、ゴミの種類や数をJEANに報告。JEAN は各地から集まったデータを集計してレポートにまとめ、情報として発信してきたのです。
 海守は、発足時からJEAN と共同でクリーンアップキャプテンの養成に取り組んでいます。2003年には石川県・鹿児島県で、2004年には兵庫県・福岡県で、それぞれ養成研修を行ないクリーンアップキャプテン140人が誕生しています。
 海守では、これからも年3回程度のキャプテン養成研修を行なう予定です。
 
流出油災害で活躍するリーダー
 1997年のナホトカ号事故のように、大量の流出油が海岸に漂着した場合などにボランティアが活動する環境を整えるため、流出油に対応できる基礎知識を有するリーダーを養成するものです。
 ナホトカ号事故の際は、全国からボランティアが駆けつけましたが、油に関する基礎知識のあるボランティアは少なく、多くの反省点を残しました。その教訓から流出油災害ボランティアリーダーの養成講習が企画されました。2004年2月に第1回を実施し、リーダー42人が誕生しています。
 2004年の9月と11月にもリーダー養成講習を予定。今後も、年3回程度は実施したいと考えています。
 
会員の現状と118番の通報実績
 海守会員数は、平成16年7月15日現在で5万3,027人です。これまでは、加入申込をいただいてから会員証のお届けまで、平均2カ月を要していましたが、5月から申込後2〜3週間でお届けできるように改善しました。
 また、本年は7月13日までに81件の有効通報が海上保安庁にありました。通報者に感謝いたします。
 
海守事務局
TEL 03-3500-5707
FAX 03-3500-5708
e-mail:info@umimori.jp
 
日本海難防止協会のうごき(平成16年5〜7月)
 本協会は、日本財団助成金、日本海事財団補助金および関係官公庁等の委託金により各事業を実施しています。
月日 会議名 主な議題
5.12 全国海難防止強調運動実行委員会
(1)平成15年における海難および人身事故の発生と救助状況
(2)平成16年度全国海難防止強調運動実施計画(案)
5.26 吉の浦火力発電所建設計画に係る船舶航行安全対策調査委員会
(1)調査計画案
(2)吉の浦火力発電所計画の概要
(3)計画地港湾の概要
(4)入出港操船シミュレーション実施方案
6.10 第1回理事会
(1)平成15年度事業報告案
(2)平成15年度決算報告案
(3)理事・監事候補の選任
(4)会員の入会
6.10 通常総会
(1)平成15年度事業報告
(2)平成15年度決算報告
(3)理事・監事の選任
6.10 第2回理事会
(1)会長、理事長、専務理事および常務理事の選任
(2)顧問の選任
(3)退任役員の退職慰労金支給および新任役員の報酬月額
6.14 那覇港臨港道路空港線工事航行安全連絡協議会
(1)委託業務実施計画案
(2)那覇港沈埋トンネル情報管理室における航行安全情報管理業務の運用実績等
(3)トレンチ浚渫工事・航路標識変更工事に伴う航行安全対策
6.28 青森港および周辺海域における船舶航行安全対策委員会
(1)事業計画案
(2)第1回資料
・青森港の現況
・油川地区防波堤(第一北)建設に係る船舶航行安全調査
6.30 海事の国際的動向に関する調査研究委員会(海上安全)
(1)平成16年度海事の国際的動向に関する調査研究委員会実施計画
(2)第78回MSCの審議報告
(3)第50回NAV対処方針検討
7.1 港湾専門委員会
(1)港湾計画の改訂(1港)
・清水港
(2)港湾計画の一部変更(2港)
・名古屋港、鹿児島港
7.22 青森港および周辺海域における船舶航行安全対策委員会
(1)第2回資料
・安全対策の検討
・調査研究報告書案
7.30 国家石油備蓄基地の荷役技能評価に関する調査委員会
(1)調査計画書案
(2)調査要領
 
船舶海難の発生状況(速報)(平成16年4〜6月)
海上保安庁提供 単位:隻・人
(拡大画面:30KB)
主な海難(平成16年5〜7月発生の主要海難)
海上保安庁提供
No. 船種 船名等 総トン数
(人員)
発生日時および
発生場所
海難種別 気象・
海象
死亡行方不明
(1) ケミカルタンカー
貨物船
第32児島丸
(日本)
金栄丸
(日本)
699トン
(乗員6人)
1,000トン
(乗員2人)
5月3日 05:05ころ
大分空港の沖合約3kmの海上付近
衝突 天気 雨
波浪 なし
視程 10km
なし
 金栄丸(船機長の2人)は、5月2日08時ころに天草郡合津港を出航し、3日04時20分ころ機関長の当直で大分空港沖を航行中、自動操舵のまま針路を215度に変更後に居眠り運航し、相手船をまったく気づくことなく衝突したもの。一方、第32児島丸(船長以下6人)は、2日17時ころに岩国港を出航し、同日23時45分海難発生位置に錨泊。法定の灯火や両舷の通路灯、作業灯を点灯していたものの、船橋に当直者を配置していなかった。両船の乗員に別状はなく、浸水や油の流出もなかった。
(2) 旅客船兼自動車渡船 ななうら丸
(日本)
196トン
(乗員3人、乗客136人)
6月2日 11:45ころ
広島県宮島の沖合約200mの海上付近
乗揚 天気 曇り
波浪 なし
視程 10km
なし
 ななうら丸(乗員3人)は乗客など136人を乗せ、宮島周遊クルーズのため6月12日11時ころ宮島口を出港。宮島を一周すべく航行していたところ、11時45分ころに腰細浦沖の岩礁に底触した。しばらくは自力で航行続けていたが、浸水が顕著になったことから救助を求めてきたもの。その後もななうら丸は排水をしつつ航行を続け、12時50分ころ網之浦桟橋に着岸、乗客を下船させた。連絡を受けた海上保安庁では「あきかぜ」「くれかぜ」「くがかぜ」を出動させ、3隻の排水作業の中、船舶所有者が手配したサルベージ会社が亀裂と破口4カ所の閉鎖を含む船底調査を行い18時30分に浸水を食い止めた。底触した衝撃で、乗客5人が軽症を負った。
(3) 曳船 第12神龍丸
(日本)
45トン
(乗員2人)
7月22日 21:36ころ
発生場所は不明。神戸市兵庫区にある和田岬から南約8kmの海上で漂流物など発見
沈没 天気 晴
波浪 0.2m
視程 良好
死亡2人
 7月22日の21時36分ころ、海上保安庁の運用指令センターが遭難警報を受信。第12神龍丸や船舶所有者にVHF無線電話と陸上電話で呼びかけたが連絡とれず。23時03分ころ、捜索中の巡視艇が和田岬の南約8km海上で転覆状態のライフラフトと多数の漂流物を発見、ライフラフトを収容した。23時30分ころ、船舶所有者を通じて、第12神龍丸が曳航していた艀の船長から「曳航ロープが海面に入った状態で、タグボートが見当たらない」旨の118番通報により、巡視船が艀を発見し海中を捜索したところ、海底に沈んでいる第12神龍丸を発見したもの。乗員2人は死亡。(1人は海底の船内で発見、他の1人は後に海上を漂流しているのを航行中の漁船が発見した。)
 
編集レーダー
★今回の取材を進めていくと、この管理条約で海水中の微生物の移動をすべて防止できるかは、実は誰もよく分からないのでは、との疑問がわいたことでした。その意味で、今後のさらなる取り組みに期待するところです。
★前回、鏡さんから提言あった「PI 保険未加入船の入港拒否問題」について編集会議で協議しましたが、次号の特集にはなりませんでした。この件に関する改正法案は、すでに国会を通過し来年3月に施行されますので、法施行後一定期間を経過した時点でこの特集を組むかについて、その時の編集会議に再提案したいと考えています。
★今回も読者のご意見を紹介します。(大下)
■北海道の谷脇義仁君から
☆僕は現在、北海道の水産高校で学ぶ3年生です。「海と安全」夏号を読みました。
☆関係者が海の自然を守ろうと努力している姿がよく理解できましたが、特に「牡蠣の森を慕う会」の活動には感銘を受けました。僕も卒業後は家業の沿岸漁業を手伝うつもりですので、ゴミや不要漁具の投棄には気をつけたいと思います。
☆これから海へと乗り出す若い僕らにとって、将来に明るい期待を持てるような特集を、ぜひ取り上げてくれるよう、お願いします。


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