日本財団 図書館


2)試験・観測項目別の結果
(1)物理条件
 表II.5.1-8には、物理条件各項目の計測結果を示した。
 処理海水量は1時間当たりスリット幅0.1mm試験で約6m3、スリット幅0.3mm試験で20m3弱、スリット幅0.5mmの試験では30m3弱であった。スリットでの流速はスリット幅0.1mm試験で約36m/s、スリット幅0.3mm試験で40m/s弱、スリット幅0.5mm試験では約37m/sであった。また、スリットの圧損はスリット幅0.1mm試験で1000kPa弱、スリット幅0.3mm試験で約900kPa、スリット幅0.5mm試験では約820kPaであった。
 
表II.5.1-8 スペシャルパイプ基本性能向上システム試験における物理条件各項目の計測結果
試験名 回数 測定日 スリット幅
[mm]
スリット上流圧
[kPa]
スリット下流圧
[kPa]
スリット圧損
[kPa]

[m3/hr]
スリット部の流速
[m/s]
圧損係数
スリット幅0.1mm 1st 7月3日 0.1 1008 41.07 967 6.366 36.77 1.393
2nd 7月3日 0.1 1010 42.60 967.4 6.060 35.02 1.532
3rd 7月3日 0.1 1012 38.14 973.4 6.282 36.31 1.435
スリット幅0.1mm、処理7日貯蔵後再処理 1st 7月10日 0.1 920.9 19.90 901.1 5.878 33.97 1.517
2nd 7月10日 0.1 969.3 20.15 948.9 6.032 34.86 1.517
3rd 7月10日 0.1 1002 32.91 969.1 6.096 35.23 1.517
スリット幅0.3mm 1st 7月1日 0.3 961.2 48.59 912.6 19.29 39.54 1.133
2nd 7月1日 0.3 971.1 48.08 923.0 18.29 37.49 1.275
3rd 7月1日 0.3 953.2 40.88 912.3 19.19 39.34 1.145
スリット幅0.3mm、処理7日貯蔵後再処理 1st 7月8日 0.3 927.8 33.16 894.8 19.09 39.14 1.134
2nd 7月8日 0.3 946.6 38.52 908.5 19.56 40.1 1.097
3rd 7月8日 0.3 952.5 42.60 910.4 19.16 39.27 1.146
スリット幅0.5−高速(2) 1st 7月22日 0.5 884.1 62.31 821.8 29.21 36.99 1.166
2nd 7月22日 0.5 856.3 46.92 809.4 29.34 37.15 1.139
3rd 7月22日 0.5 894.0 63.33 830.7 29.21 36.98 1.180
スリット幅0.5mm、処理7日貯蔵後再処理 1st 7月29日 0.5 879.2 60.68 818.5 30.04 38.04 1.098
2nd 7月29日 0.5 870.3 54.51 815.8 29.34 37.15 1.148
3rd 7月29日 0.5 874.3 68.13 806.2 30.55 38.67 1.047
スリット幅0.3mm、未処理原水7日貯蔵後処理 1st 7月27日 0.3 940.6 42.56 898.0 19.66 40.31 1.073
2nd 7月27日 0.3 940.6 30.00 910.6 19.09 39.14 1.154
3rd 7月27日 0.3 937.6 33.08 904.5 19.01 38.98 1.156
 
(2)水質
 水質メーターによる水質測定結果は、巻末参考資料1.に収録した。
 未処理貯蔵サンプルの水質測定結果で特徴的なのは、貯蔵1日後に濁度が低下し電気伝導率が上昇したことである。これは濁り成分が沈降して濁りが少なくなり、この濁り成分が障害となって低かった電気伝導率が上昇ものと考えられる。
 スリット幅0.1mm処理水の水質測定結果では、処理3日後から溶存酸素量の低下が見られることが特徴となっている。この低下の理由は、スペシャルパイプの処理によってプランクトンの死骸が多くなり、それら死骸をバクテリアが餌として繁殖したためで、すなわちバクテリアの分解活動によって酸素が消費されたためと考えられる。実際に、「表II.5.1-6 スペシャルパイプ基本性能向上システム試験におけるバクテリアの変化」では、処理1日後より従属栄養細菌が増加している。
 スリット幅0.3mmの処理水では、溶存酸素量の減少がスリット幅0.1mmよりも遅い処理7日後にみられた。
 スリット幅0.5mmの水質測定結果には、特に顕著な特徴は無かった。
 吸光光度計による測定結果は、時間経過と共に徐々に値が減少し、処理7日後の処理で再び試験原水と同様の水準になる傾向を示した。


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION