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V モデル事業の総合評価と今後に向けて
1. モデル事業の総合評価
 福岡地域で活動する福岡・古賀・糸島各海洋少年団では、今年度、日本連盟から「団員拡充モデル事業」の指定を受け、海洋少年団運動及びその活動の認知度向上と今後の方向性を見出すことを目的とし、体験活動6事業の他、活性化会議、アンケート調査を実施した。
 体験活動においては、各団の地域性を生かし、地元子ども会や各団後援者等の協力を得、多くの参加者があり、アンケート結果から見ても、海洋少年団の認知度向上にはつながったものの、団員確保という面では、効果が薄かったように思われる。
 また、活性化会議では、他の青少年団体との連携や地域活動への積極的な参加により、海洋少年団の存在やその活動内容を広くアピールすることや、団員の低年齢化に則した募集とそれに伴う指導者の育成及び活動(訓練)内容の検討がこれからの課題として提言された。
 今後は、このモデル事業で得た経験と提言を有効に活かし、より一層、地域に根ざした活動を展開して行きたい。
 
2. 今後に向けて
1)「他団体との連携」と「地域へのアピール」
 近年、海洋少年団に限らず、各少年団体では、その団員数・会員数が以前に比べ減少しているが、その原因として、少子化をはじめ、生活様式や余暇生活の多様化、学校週5日制による塾通いなどが考えられ、「人のために何かをする」ことよりも「自分のために何かを得る」ことが重視される風潮のように感じられる。
 このような時にこそ、各少年団体が連携・協力し、団体活動をすることで得られる「責任感」「協調性」「思いやり」「ともだち作り」などを地域の小・中学生及びその親にアピールする機会を多く作るべきであろう。
 海洋少年団も、他の少年団体にはない特徴的な活動(洋上活動:カヌー、カッター、ヨット等)を地域の親子、特に小学生を持つ親に積極的にアピールすることで、海洋少年団の存在を認知してもらい、海洋少年団運動・活動を理解してもらうことから始めるのが良いと思われる。
 例えば、子ども会・PTAなどを対象にした「親子カヌー・カッター教室」や各地域の公民館行事への「出前講座(手旗講座・ロープワーク講座等)」あるいは各地域のイベントヘの参加、マスメディアの活用など様々な機会を探り、積極的に実施することが必要であろう。
 校区・公民館という小規模な単位ではあるが、各地域は学校週5日制(ゆとりの時間)の受け皿として、青少年団体の活動に期待する面もあり、また、一人でも我々の活動に対する賛同者を得ることができれば、そこから更に輪が広がって行くものと確信している。
 但し、対外的には、各地域・行政組織との連携を密にすること、対内的には、指導者・上級団員の育成が必要不可欠である。
 
2)「指導者の確保・養成」と「活動内容の再検討」
 現在、各少年団体では、団員確保のため、就学児のみならず未就学児(幼稚園・保育園の年長者)を対象に団員を募集している。海洋少年団でも、低年齢者からの確保を目的に、小学1年生からの入団を呼びかけているが、今までの各団の活動(訓練)内容が、これらの年齢に適しているか、また、これらの年代を指導できる指導者がいるのか、が課題となる。
 各団としては、年長団員には、これまでの活動内容を継続・発展させることも必要であるため、団員数の大小に関わらず、年齢・等級に応じた活動内容を計画し、実施することが求められる。たとえば
○年少団員(教育級):楽しい活動を通して人間性を養う内容
○年長団員(初・中・高等級):各年代に応じた技術や責任性・協調性を養う内容
を計画・実践することが必要である。
 最近、団員の親からは「もっと厳しく」「楽しすぎるのでは?」との意見もあり、活動には「厳しさ」と「やさしさ」「楽しさ」が必要であり、親は、それを期待している面もある。
 団員にも「友達とは違うことをやっている」「僕は(私は)こんなこともできるんだ」という「海洋少年団員としてのプライド」が持てるような活動内容を展開して行きたい。
 以上から、今後は、各年代に対応できる指導者の確保・養成と年代ごとの活動内容を計画し、実施することが必要であると思われる。
 
3)活性化と広報
 各地区・各団により事情は異なるだろうが、現在の海洋少年団活動は、一般の方々の目に付くことが少なく、残念ながら、その認知度も他の少年団体に比べ低いように感じられる。
 前述したが、地域行事(祭り、イベント等)への参加や公民館への「海洋出前講座」などを積極的に行い、団員の元気な姿と制服をアピールすることにより、地域からの関心を得ることで、海洋少年団への認知度・興味が向上し、団員の確保につながるものと思われる。
 また、我々のような教育団体は、いわゆる「口コミ」も重要であるとの観点から、団員の保護者との関係を密にすることにより、保護者が自然に広報担当者となるよう協力してもらうことも必要だろう。
 さらに、地元行政との連携も絶やすことなく行い、学校・市民センター・公民館などの公共施設でのPRがスムーズにできるよう活動することも重要である。
 
 このモデル事業には、多くの親子の参加を得たが、(団員を含めた)子ども達の輝いた笑顔やそれを優しい目で見守る親の笑顔に触れることができた。
 我々は、この笑顔を忘れず、モデル事業で得た経験・提言を真正面から受け止めた上で、今後の活動を展開するとともに、保護者や地域の方々に我々の活動を理解して頂き、支援して頂けるよう、より一層の努力が必要であることを痛感した。
 
VI 参加者感想文
〜参加した子どもたちから寄せられた作文〜
『楽しかった一日』
小学校5年生 亀井博和
 9月19日、福岡市にある海洋少年団荒津基地で、「親子カヌー教室」がありました。この日僕は、過去にカヌーをやった経験があることから、少し自信がありました。
 しかし実際に乗ったのは、カヌーではなくカヤックでした。カヤックはカヌーと似ているけど、波を受けるとカヌーよりぐらぐらしやすくなっていて、「ひっくり返ったらいやだなあ。」と心配になりました。でも実際にこいでみたら、意外と安定していました。しかし、油断するとぐらぐらしたので、こいでいる時は少し怖かったです。
 カヤック体験が終わると、次に、昼食のホットドックを作って食べました。ホッドックは、いい具合に焼けて、おいしかったです。
 次にやったのは、手旗信号とロープワークです。手旗信号では、自分の名前を手旗信号で表したりしました。とても難しくて大変でした。
 ロープワークでは、ひものいろいろな結び方、ほどき方などを教えてもらいました。とてもむずかしかったです。
 この日は、とてもいい一日になりました。またこんな行事があったら、参加したいなあと思いました。とても楽しかったです。
 
『はかたを見学して』
小学校4年生 本多まこと
 12月12日じゅんしせん「はかた」に乗りました。船が出航し、ブイとブイの間を通りました。それから何十分も時が過ぎていくとどんどん、どんどんふなよいをしてきて、はき気が出てきたけどぐっとがまんして、うみざるのテレビの時はき気があり、あまりみる事ができなかったのでとても残念です。
 それから、人を助ける様子をヘリと船で見せてくれました。人を助ける事は、命にものすごくかかわる事がわかりました。じゅんしせん「はかた」の後をついていた船が自分の乗っている船の横にきて、まろやか〜な手旗を打ち始めました。園田兄弟と手旗を打っている人の文字を読み合いました。今はなんて書いてたかは忘れたけど、まあなんとなく勉強になったと思っただけでした。まだ帰りもふなよいをしていたのであまり無理をしないように行動したけど、やっぱり家に帰るまで、ふなよいがあり、とてもきつかったです。
 
『初めてカヌーに乗って』
小学校4年生 奥原彩也夏
 10月に親子カヌー教室があった。乗る前は「ひっくりかえらないかなぁ」や、カヌーを見て、「穴があいているけど、大丈夫かな。」など、いっぱい思っていた。まず、パドルを持って、こぐ練習をした。始めは陸の上で。次に、海の中に、こしまでつかって、パドルの動かし方を練習すると、少し漕ぎ方のコツがわかった。
 いよいよみんなでカヌーに乗る。その日は、風が強く、流されやすかった。やっと海のまん中についた時、少し、うれしかった。思ったよりもかんたんで、お母さんも上手にこいでいた。他の人も上手だった。中には、上手くこげずにどんどん流されている人もいた。
 最後、かたづけの時。まず、組み立て式のパドルなので、そのパドルを分解する。次に、カヌーを倉庫の前まで運んで、砂を、水で洗いながし、ぼうはていに立てかけた。パドルも、シートも、全部洗いながした。自分の使ったカヌーだけでなく、他の人のカヌーも、みんなで協力しあい、かたづけをした。少しきつかったけど、がんばれた。また、カヌーに乗りたい。
 
『海上交通センターに行って』
小学校6年生 山下珠子
 私は、初めて関門海峡交通センターに行きました。始めは、別の部屋でクイズ(三択問題)をして、一回戦目だけ勝ってバンダナを一枚貰いました。
 そして、次に、情報課を見学しました。そこでは、レーダー画面・モニターテレビ等で船がちゃんとした航路を通れているかのチェックを行っています。海では巡視船が見回っていて、犯罪を取り締まったり、事故がないか見ているそうです。
 それを聞いて私は、「海上保安庁の仕事は、毎日、忙しく大変なことなのだな。」ということが分かり、いままで知らなかった事が少しずつ分かってきました。
 また、移動して海峡ドラマシップにも行きました。始めにイメージキャラクターの「もじ太郎」「尼御前」など他4匹の出てる映像を見ました。とても面白い内容でした。別の所では、昔の戦国時代の風景をかたどった和紙で作られた人形(模型)や船の切断面の模型などたくさんあり、ワクワクしながら見ることができました。とてもいい思い出の一つになりました。
 
『巡視船「はかた」見学』
小学校5年生 宮地 海
 12月12日、海上保安庁の巡視船「はかた」に乗りました。
 最初は、船の説明がありました。ボンベとウエットスーツがならんでいるところを見ました。海上保安官の人たちは、このおもそうなボンベをしょって海にもぐり、人命救助をしているので「すごいなあ。」と思いました。
 次は、船をそうじゅうする所へ行き、海図を見せてもらいました。海図は大きいし、小さな文字がたくさんあったので、すごく見にくかったです。でも、海上保安官の人たちは、これを見て、運転したりしているので、「すごく目がいいんだな。」と思いました。
 これで、船の説明が終わりました。そして外で海をながめていると、ヘリコプターが飛んできて、救助訓練がはじまりました。ヘリコプターから二人下りてきて、一人は「はかた」の上におきっぱなしにして、一人はヘリコプターにもどっていきました。そして「はかた」を一周して、また下りてきて、さっきおろした人を助けていきました。そして、となりの船に助けた人を乗せました。その時、ぼくは、「一本のロープで二人の人を持ち上げるのは、すごいなあ。」と思いました。
 そして、船内に入って、マンガ「海猿」のげん作者の話を聞き、サインをもらいました。うれしかったです。
 こうして、巡視船「はかた」の見学は終わりました。いろいろな思い出ができて、楽しかったです。「また、このような体験をしてみたいなあ」と思いました。
 
『カヌーにのって』
小学校3年生 かさいひろつぐ
 カヌーにはじめてのった時、ぼくは「こげるかな。ながされないかな。」と思っていました。それからこいでみるとちょっときつかったけど、おもしろかったです。それから、きょうかんにおしえてもらって、もっとカヌーが上手になりました。それからぼくは、カヌーがすきになりました。あべ君と、カヌーできょうそうをしたり、右バックと左バックもおぼえました。とんしょの近くのちいさな島を、みんなカヌーで回ったりもしました。
 ぼくは、カヌーをはこぶときは、足もとにきをつけて歩くのがむずかしいです。
 今どカヌーで遠い所へこいでいきたいです。カヌーは、一生けん命こぐから、おもしろかったです。


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