図41 不良データ除去前
図42 不良データ除去後
図43は、次節で示す前処理の行う前の研究対象エリアの画像で、図44は、前処理を行った画像である。
図43 前処理を行う前の画像
図44 前処理後の画像
分類技術の開発研究は、後方散乱強度値による海底画像より底質分類する方法と後方散乱強度分布モデルから海底面の凹凸と底質を推定する方法の2種類について検討した。
後方散乱強度値による海底画像より分類する方法では、昨年度テクスチャによる特徴量から画像の濃度値だけでは表すことのできない情報量があることを確認した。本年度は、昨年度までの結果を踏まえ、ANKOUの後方散乱強度画像に対して「後方散乱強度画像より分類する方法」を実施し、底質のグルーピングを行う。しかし、本分類は、グリーピングとしては、有効であるが、海底面の凹凸値を数値化することができない。つまり、相対的な底質分類となる。
一方、「後方散乱強度分布モデルから海底面の凹凸と底質を推定する方法」では、composite roughness + volume散乱モデルおよびANKOUのソーナー方程式を使用し、海底面の凹凸と底質を推定する。つまり、絶対的な底質分類となる。しかし、本分類は、1ピングごとに底質の分類を行うため、面的な情報を得ることができない。
(1)後方散乱強度値による海底画像より分類する方法
「後方散乱強度値を用いた画像より分類する方法」では、前処理を適確に行わないとテクスチャ解析を使用した分類手法により誤分類が生じる。画像に影響を与える前処理としては、放射量補正が上げられる。放射量補正は、一昨年度報告書に示した処理アルゴリズムを使用し、オートマチックに処理を行うことができる。
1)放射量補正
後方散乱強度値は、底質と凹凸が一様な海底であっても、直下近傍とビームの端では値が異なり、直下近傍の値は、ビームの端より値が高くなる。
そこで、この放射輝度に依存した歪みを補正する。ところが、放射量補正は、各測線毎の画像に対して絶対的な補正量は持たない。曳航体直下と両翼側とで同じ底質であるときには同じ後方散乱強度値にして判読しやすい画像を作成することを目指している。そこで、ここで用いたANKOUの画像に対して以下の方法で処理を実施した。
画像を左舷右舷別々にし、直下より入射角度で0.5度ステップに分けて行う。
入射角度0.5度毎の点を中心として255ピングの画像データを抽出し、その平均値をmとし、直下よりn番目の画像データをAn、変換後の画像データをBn、各ステップの平均値をd(j=1,200)としたとき、Bnは以下の方法で計算する。
Bn = An × m/d (j)
図45は放射量補正前、図46は放射量補正後の画像である。
図45 放射量補正前
図46 放射量補正後
図47、図48は、研究対象エリアにおける放射量補正前、補正後の画像である。
または、図49は、紀伊東海沖全体の画像に対して放射量補正を含めた前処理後の画像である。
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