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図36 後方散乱強度からみた海面反射データ
 
(ウ)処理は、進行方向に対する移動平均を求め、その値と比較して行う。移動平均は前後25個とした。
(エ)(1)、(2)それぞれにおいて、処理パラメータDnを以下の方法で求める。(1)を例に示すと、直下からn番目のデータをAnとし、Anの移動平均値をMnとし、(1)の位置をiとする。Mi-10とMi+10を直線で結び、その線上の値とMnとの差をDnとする。
 
図37 海面反射データ除去の概念
 
(オ)(1)の位置をi、(2)の位置をjとすると、変換後のBnは以下の方法で計算できる。
(1)の場合:Bn = An - Dn (i - 10 < n < i + 10)
(2)の場合:Bn = An - Dn (j - 10 < n < j + 100)
 
 この方法は、周囲のデータを温存しながら、目的の場所にある異常データを消去するためのフィルタの一つである。
 除去前のデータを図38に、上記の方法により処理した結果を図39に示す。両図より、海面反射データを除去することができたことが確認できる。
 
図38 海面反射データ除去前
 
図39 海面反射データ除去後
 
3)不良データ除去
 今回用いた画像のうち、一部地域でライン状の不良データと思われるデータが存在した。紀伊東海沖全体の画像を確認した場合、特に研究対象エリアにおいてそれが顕著であり、他のエリアでは、見られない現象であった。研究対象エリアは、他のエリア比較したとき、特別な海底地形を示しているのでは無く、また、特別な設定を確認することもできなかった。このため、このような現象が表れた原因を解明することはできなかった。作成した画像に、ライン状に高い値が存在は、底質分類を実施する際に誤分類の原因となることから、今回、研究対象エリアに対して、不良データ除去処理として、これらのデータに対してマスク処理を行うことにした。
 不良データとしての基準は、後方散乱強度値が高く且つ1ピング毎に連続性を持っていることとした。
 図40は不良データと思われる場所と、泥火山の後方散乱強度分布を示したものである。これをみると不良データ部には泥火山の地域よりはるかに高く0dBを超えるような値が連続的に記録されている。
 そこで、以下に示す方法を用いて、不良データの除去処理を行う。
 まず、不良データの閾値aと連続数bを設定する。
 次にビームの外側から以下の処理を行う。
 データ数をN個とし、外側よりn番目の画像データをAnとする。
(1){An-2、An-1、An、An+1、An+2} (0+2 < n < N-2)の最大値MAXnを求める。
(2)MAXn > aが連続して起こる数をmとする。
(3)mがb以上となったときは、不良データと判定してm個のデータを除去する。
 
 不良データの閾値a、および連続数bは、研究対象エリアの測線ごとに変更して設定した。特に、泥火山が存在する測線を処理する場合は、泥火山を不良データを判定しないように、連続数bは、泥火山より大きな値を設定した(図25参照)。
 不良データ除去前および除去後の結果を図41および図42に示す。両図より、不良データと思われる部分をすべて除去することはできないが、顕著に表れていた中央部分の不良データを削除することができた。
 
図40 後方散乱強度(上:不良データ部、下:泥火山)
(拡大画面:56KB)


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