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現代日本のオーケストラ音楽第28回演奏会 プログラム

 事業名 「現代日本のオーケストラ音楽」の開催
 団体名 日本交響楽振興財団  


ごあいさつ
 財団法人 日本交響楽振興財団は、青少年をはじめ皆様方の情操の涵養と、交響楽団の財政基盤の確立を目的として、昭和48年に3月に設立されました。
 当財団は、創立以来、低廉な料金での各種演奏会を、北海道から九州まで全国各地で開催してまいりました。お陰様で私どもの活動は、各地の教育機関をはじめ公共団体、文化団体はもちろん、一般の方々からも高い評価を受けております。
 本日の「現代日本のオーケストラ音楽」演奏会は、日本の作曲家によるオーケストラ作品の普及向上を目的として企画され、昭和52年に第1回演奏会を開催、翌53年には「作曲賞」が創設され、以降毎年1回の演奏会を重ね、今年で第28回目の演奏会を迎えることができました。これも皆様の長年にわたるご支援の賜物と厚く御礼申し上げます。
 今回は、第24回作曲賞・日本財団賞受賞による長生淳氏への委嘱作品と、招待作品として入野義朗、早坂文雄両氏の作品を演奏いたします。「作曲賞」の入選を機に大きく成長した作曲家も多く、この演奏会は若手作曲家の登竜門として注目されております。
 「現代日本のオーケストラ音楽」演奏会には、日本財団・日本芸術文化振興会・財団法人 朝日新聞文化財団・財団法人ロームミュージックファンデーションの各団体より助成をいただいております。こうした各方面からのご支援、ご協力に対しまして、心より御礼申し上げますとともに、わが国オーケストラ音楽の発展のため、日本交響楽振興財団の活動に対し、一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 本日はご来場いただきまして、誠にありがとうございました。
 
財団法人 日本交響楽振興財団
 
招待作品
 
入野 義朗 Yoshiro Irino
小管弦楽のための「シンフォニエッタ」 (約13分)
 
委嘱作品
(第24回作曲賞・日本財団賞受賞による)
 
長生 淳 Jun Nagao
秋−白い恒久 (初演) (約20分)
 
招待作品
 
早坂 文雄 Fumio Hayasaka
交響的組曲「ユーカラ」 (約48分)
プロローグ
ハンロッカ
サンタトリパイナ
ハンチキキー
ノーペー
ケネペツイツイ
 
指揮:矢崎 彦太郎
Conductor: Hikotaro Yazaki
 
演奏:東京交響楽団
THE TOKYO SYMPHONY ORCHESTRA
 
主催:財団法人 日本交響楽振興財団
特別協賛:
助成:芸術文化振興基金
財団法人 朝日新聞文化財団
財団法人 ロームミュージックファンデーション
マネジメント:梶本音楽事務所
 
小管弦楽のための「シンフォニエッタ」
“Sinfonietta”for small orchestra
 
入野 義朗(1921〜1980)
Yoshiro Irino
 
(1921年11月13日ウラジオストク生まれ。1980年6月23日東京没)
 1943年東京帝国大学(現東京大学)経済学部在学中に諸井三郎氏について和声学と対位法を学ぶ。七年制国立東京高等学校と東大オーケストラで多くの友人と出会う。卒業後東京銀行に入るが直に海軍主計として呉に勤務、終戦後東京銀行に戻ったが間もなく退職し作曲家となる。
 桐朋学園音楽科設立に参加し、その運営と教育に当る。文部省視学委員他や音楽著作権協会等の諸役員を務める。
 日本現代音楽協会、日本作曲家協議会の委員長を務める。又軽井沢現代音楽祭、20C音楽をたのしむ会、パンムジーク・フェスティヴァル等を企画し、常に新しい音楽の追求と紹介を行なう。又アジアの作曲家の相互理解を深める為にアジア作曲家連名(ACL)の設立に参加し創立者の1人として又初代副会長として、生涯ACL会議/音楽祭の開催に奔走する。
 日本で最初の12音技法による作品「七つの楽器のための室内協奏曲」(1951)、小管弦楽のための「シンフォニエッタ」(1953)、クーセヴィツキー財団の委嘱作品 2本の尺八とオーケストラの為の「Wandlungen」、ザルツブルクオペラ大賞のTVオペラ「綾の鼓」、文楽オペラ「曾根崎心中」、「Stroemung」、「Globus III」、邦楽器の四重奏曲「四大」等100曲余の作品を残す。他に校歌/社歌、ラジオ/TV/芝居の音楽、音楽理論の翻訳書、教材等多くの作品や著書を残す。
 上記の他に毎日音楽賞、尾高賞、イタリア賞等多くの受賞作品を有する。
 没後(1980)若い作曲家の為の国際作曲賞「入野賞」が石井眞木/湯浅譲二/松平頼暁の3氏の協力を得て禮子未亡人により設立された。
 1981年にはアジアの作曲家の為の「ACL入野義朗記念作曲賞」も設立される。
 従五位勲四等旭日小綬章が追授される。
 
なお、同氏は(財)日本交響楽振興財団の理事・企画委員・選考委員を歴任された。
 
小管弦楽のためのシンフォニエッタ
入野 義朗
(音楽の友社ポケット・スコア作曲家自身の解説より)
 
 この曲は、十二音の技法を用いて管弦楽を作曲してみようというつもりで書き始め、同時にリズムの面でも全曲を統一してみた。十二音の技法の面では大体シェーンベルクの方法によっているが、リズムの面ではメシアンやドイツのボリス・ブラッヘル等の方法にヒントを得た点が多い。
 書き始めたのは1953年の初頭で、その後一時中止していたが、斉藤秀雄氏から東京交響楽団の定期演奏会の為の曲を依頼された機会に再び取り上げ、夏頃から本格的に取りかかって10月24日に完成した。
 初演は1953年11月13日の東京交響楽団第57回定期、斉藤秀雄氏の指揮であった。
 この曲は三楽章から出来ていて第一楽章はイントロダクションとフューグ、223小節、第二楽章は主題と変奏曲、106小節、これにアタッカで続く第三楽章はインヴェンションで211小節から成っている。
 
 1954年、第6回毎日音楽賞受賞。1955年、現代音楽についての世界ラジオ代表者会議(IMCとフランス国営放送局共催)5カ国インターゾーンの部に入選。(日外アソシエーツ社入野書誌より)
*名前の漢字について:戸籍は「義郎」で初期はこの漢字を使用していますのでシンフォニエッタは勿論義郎となっています。
 
【追記】 高橋 冽子(義朗妻 入野禮子)
 私は中3の時にこの世界初演を聴いているのです。思えば長い年月が流れました。
 この度は日本の現代音楽史上大切なこの作品を取り上げて頂きまして誠に有り難うございました。関係者各位に心から感謝を申し上げます。
 貴財団の第4回「現代日本のオーケストラ音楽」(1980年6月21日東京文化会館大ホール)の為の新作の委嘱を受け「あめつちのことば」の作曲を始めておりましたが残念ながら体調を崩して入院し、筆を進めることなく他界致しました。息を引取る前日(正確には約30時間前)の演奏会で、委嘱作品の代わりに2本の尺八とオーケストラの為の「ヴァントルンゲン」が東京交響楽団、秋山和慶指揮で演奏されました。私は看護婦さんにお願いして病院を抜け出し「死なないで」と祈りながら上野へ駆付けました。教え子の作曲家の莱孝之が特別に許可を頂き、録音し、急いで病室へ飛んで帰り彼に聴かせたのでした。病状は深刻で果して聴こえていたかどうかは定かではありませんが嬉しそうな満足げな表情に見えました。
 後日談ですが東響の団員の方が「入野先生はコンサートへ見えていましたよ。エッ。亡くなったのですか!」と吃驚されていたのは今でも忘れられません。
 この作品が日本で初めての12音技法によるオーケストラ作品であることは彼にとって非常に意味ある大切なことであり、アメリカのシェーンベルク氏へそのことを手紙で報告していました。その上、世界初演が偶然にも彼の誕生日であったと云うことも特別な意味を与えました。
 この3年前の1951年に日本で最初の12音技法による室内楽作品「七つの楽器のための室内協奏曲」を発表していますが、この曲の初演の練習に立合われた無二の親友だった故柴田南雄氏が「入野義朗氏を悼む」の中で次のように述べておられます。(1980)
 「彼の最初の12音作品『七つの楽器のための室内協奏曲』初演の時、演奏家達は楽譜を見て不安と疑いの表情をかくさず、しかし、じっさいに音合わせが進むにつれ、彼等の表情はやわらぎ、次第に合奏に熱中していった。あの30年前の、われわれ立会人にも手に汗を握らせたひと時は、入野にとっては乗るか反るかの正念場にちがいなかった。つづく12音の第2作『シンフォニエッタ」は、斉藤秀雄の周致かつ厳格な指揮の下、もはや不安もない上演だった。」
以上 2004年3月 松原にて
 
秋−白い恒久
"L'automme - La pemanence blanche"
(初演)
 
長生 淳
Jun Nagao
 
1964年3月1日茨城県生まれ
1984年 第2回日仏現代音楽作曲コンクール特別賞受賞
1985年 第54回日本音楽コンクール作曲部門1位なしの第2位入賞
1987年 現音第4回新人賞入選
1988年 第57回日本音楽コンクール作曲部門入選
1989年 東京藝術大学大学院修士課程修了
2000年 同度武満徹作曲賞受賞
2002年 「春−青い泡影」日本交響楽振興財団第24回作曲賞・日本財団賞受賞
 
【主な作品】
 「天国の月」(アルト・サキソフォンとピアノ・1995)「千の環流」(管弦楽曲・1995)「オフィーリア」(E♭クラリネットとピアノ・1996)「交響曲」(吹奏楽・1996)「レミニサンス」(吹奏楽・1997)「抒情の森」(アルト・サキソフォンと弦楽四重奏・1998)「天涯の庭」(ユーフォニアムと吹奏楽・1998)「夏−朱い忘却」(管弦楽曲・1999)「英雄の時代」(アルト・サキソフォンと吹奏楽・1999)「波の穂」「蒼天の滴」「翠風の光」「楓葉の舞」(吹奏楽・2000〜03年)「変奏曲」(アルト・サキソフォンとピアノ・2000)「春−青い泡影」(管弦楽・2001)「二人静」(フルートとピアノ・2003)など
 
秋−白い恒久
 ここ数年連作として書いてきた『夏−朱い忘却』『春−青い泡影』に続く第三作。ただし曲の流れとしては、夏に始まり春に終わる、巡る季節に寄せて自然と生命の循環をことほぐ四部作の二曲目という構想です。四季共通のものとして十の音(その最初と最後は同じ音で循環をあらわす)からなる基本主題をもち、そのうちの第六音から第十音による音型を特に『秋』のものとし、さらにそれから導き出された主題とを核として、曲は進められます。
 これまでの曲では、『夏』を「人という形をとってこの世に生を受けたことを忘れ去るほどに、あるいは蕩尽と言い換えてもよいほどに、からだの内にある生命力を、すっかり燃焼させてしまう」季節として、また「打ちひしがれていた命が再び力を取り戻す季節」でありつつも「また移ろいの中にあり、そう思って眺めるときひときわ美しく感ぜられる」季節として『春』を、思い描きました。その『夏』のあとに続く、そして『春』と対をなすものとして、確かに生命の力は衰微してゆくものの、今とっている形は滅びても、さらに何ものかは綿々と続いてゆくであろうという静かな確信を感じさせる。秋はそんな季節であると考えます。
 それは、死に別れつつあって、その悲しみに浸りつつも、生まれ変わって再び巡りあえるであろう予感に安らぎをも覚える、といったようなものにたとえて言うこともできましょう。といってもそれは楽観ではなく、それほどまでに透徹した思いというものの力を信じる気持ちなのです。
長生 淳







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更新日: 2014年12月13日

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