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東京財団研究報告書2004-16 「朝鮮半島情勢の中長期展望と日本」

 事業名 基盤整備
 団体名 東京財団 注目度注目度5


深刻な韓国の親金正日化
 米国では今年大統領選挙があり、ブッシュ政権の対北朝鮮政策も当然ケリー陣営の厳しい批判にさらされるだろう。その中で、一番憂慮されるのは核武装国である米国と中国が談合して北朝鮮の核武装を事実上容認し、ただ核兵器がテロリストに渡ることだけを厳しく規制するという線で妥協をはかる動きである。一方、共和、民主の有志議員が共同で提出した北朝鮮自由化法案は、明確に金正日政権打倒の立場に立っており、どれだけ支持を集められるかが注目される。
 一番大きな問題を抱えているのは、反米親北朝鮮傾向の強い盧武鉉政権が成立した韓国だ。盧武鉉は、核問題で米朝が対立した場合仲介に立つ、と公言して当選した。金正日政権を「悪」と断定せず、金正日政権との共存と助け合いを「民族」の名前で正当化している。その背景には、80年代から周到に進められてきた北朝鮮の政治工作、具体的には反外勢民族主義思想を基礎とする反韓史観の拡散がある。根拠のない反日キャンペーンに対して日本政府がきちんと反論しなかったため、その拡散を許したという側面があり、その結果、日本国民の多くが、韓国に対しては理性的な議論が通じないという先入観を持つようになった。また、反日を足場に拡散した反外勢民族主義がじわじわと反米タブーを壊し、ついに韓国の主敵として米国が第1位に選ばれるまでの世論状況となった。米国でもその様子がマスコミを通じて知られるようになり韓米同盟は重大な危機を迎えている。ただし、親米反金正日を掲げる草の根の愛国勢力が強い危機感を持ち活動を開始した。その理論的支柱が『月刊朝鮮』と同誌編集長・趙甲済氏らである。北朝鮮からの亡命者や元親北朝鮮運動家らのなかから、金正日打倒、北朝鮮民主化を目指す政治組織が生まれてきた。この勢力とわれわれがどのように連帯、協力するかが今後の課題である。
 中国、ロシアは金父子政権を誕生させ支援し続けてきたという共犯関係がある。また、両国の現体制は、自由民主主義とはかなり異なる過渡的で不安定なものであるため、政権が人類普遍的立場に立って「悪」認識を表明する基盤が弱い。特に中国は、北朝鮮から命がけで脱出してきた難民を強制的に送還し、金正日政権にエネルギーや食糧を適宜提供してその延命に手を貸し続けている。したがって、中国、ロシアは連帯の対象ではなく、圧力をかけてこちら側の意図に従わせるしかない。
 
「悪」認識支持で日米韓朝が連帯を
 同盟関係は、まず共通の敵を前にして結成される。そこに、現在と未来における価値観とビジョンの共有があれば関係はより強固になる。過去をどう評価するかという点は異なっていてもかまわない。ただ、お互いに相手の歴史観を自分のそれに一致させようとしないという共通理解だけは必要だ。
 東アジアにおいて日米、米韓の二つの同盟があり、日韓は在日、在韓米軍を媒介として事実上の準同盟関係にある。朝鮮半島に限定して語るなら、この同盟関係は金父子政権が赤化統一を目指して再び南侵戦争をしかけてくることを抑止するという共通の利害関係にもとづき維持されてきた。力の均衡で国益を守るという現実主義的立場が機能してきたといえよう。冷戦時代、自由民主主義体制の優位を示すという価値観の表明がこの同盟の基礎にあったことも事実だ。ソ連の崩壊で冷戦に米国が勝利した後、金父子政権が「反外勢民族主義」を宣伝媒介としてこの同盟の弱体化を計ってきた。韓国内でその政治工作がかなり成功を収めている現時点で、ブッシュ「悪の枢軸」演説があった。ブッシュ演説は、現実主義を超え普遍的価値観に立って、金正日政権を「悪」と断定することで、この同盟に金正日打倒のための連帯という新しい意味を加えたのだ。
 日米韓3カ国と北朝鮮内人民はブッシュ演説の「悪」認識を共通理解とし、金正日政権を当面の敵とする点で一致できる。この点で一致できる日本、米国、韓国そして北朝鮮内の全ての勢力が、歴史観の一致を求めず、自由民主主義体制のもとに平和で繁栄した東アジアを築くという価値観とビジョンを共有すべく努力することが求められている。本プロジェクトでも、知識人レベルでの国際交流を試みた。平成14年11月、本プロジェクト開始以降、われわれは、日、米、韓、中、露、北朝鮮亡命者の多数の要人、専門家、言論人、運動家らと金正日政権の「悪」について議論をかわしたが、その努力を今後も続けていく。以下は、本プロジェクトが海外で面会、議論した方々のリストである。
 
(西岡 力)
 
【本プロジェクト面会海外要人、専門家】
1. アメリカ
<政府関係者>
リチャード・アーミテージ国務副長官
ジョン・ボルトン国務次官
ジェームズ・ケリー国務次官補
モリアーティ国家安全保障会議上級部長
マイケル・グリーン・ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)
アジア問題部長(現在同上級部長)
リチャード・ローレス国防次官補代理
<議会関係者>
ハスタード下院議長
フリスト上院共和党院内総務
ダッシェル民主党上院院内総務
ルーガー上院外交委員長
バートン、チャボット、フレーク、ピッツ下院議員
ホンダ下院議員
サム・ブラウンバック上院外交委員会東アジア太平洋問題小委員長
ジム・リーチ下院外交委員会東アジア太平洋問題小委員長
ラリー・ニクシュ米議会調査局専門家
デニス・ハルピン下院外交委員会専門スタッフ
ルネ・オーステル下院外交委員会専門スタッフ
サラ・ティルマン下院外交委員会専門スタッフ
ジェームズ・マコーミック下院外交委員会専門スタッフ
ムハメド・フタスフット外交政策スタッフ
(クリス・コックス下院議員事務所)
フランク・ジャヌージ上院外交委員会専門スタッフ
ニュート・ギングリッチ前下院議長
グロバー・ノーキスト「水曜会」会長、参加者
<その他>
加藤良三・駐米大使はじめ在米日本大使館スタッフ
(拉致救出運動の一環として本プロジェクト委員が面談した要人を含む)
 
2. 韓国
<言論人>
趙甲済『月刊朝鮮』編集長
李度ヒョン(王扁に行)『韓国論壇』社長
徐栄振『光州日報』主筆
<専門家>
李基鐸延世大学名誉教授
金正剛評論家(元左翼地下活動家)
<亡命者>
黄長・元朝鮮労働党書記
安明進元北朝鮮工作員
元北朝鮮化学博士(匿名)
<政治家>
金泳三元大統領
許文道元統一院長官
朴槿恵議員(現ハンナラ党代表)
李仁済議員、朴振議員、元喜龍議員、黄祐呂議員、曹雄奎議員
<拉致被害者家族>
韓国戦争拉致被害者家族協議会(金聖浩理事長)
拉北者家族協議会(崔祐英会長)会員多数
(拉致救出運動の一環として本プロジェクト委員が面談した要人を含む)
 
3. 中国
<専門家>
姚文礼・中国社会科学院日本研究所日本対外関係研究室主任
李春光・中国社会科学院日本研究所日本対外関係研究室副主任
Anna Wang Heed・国連難民高等弁務官北京事務所
Senior Regional Legal Officer
周莉・北京第二外国語大学助教授
傳卓洋・中国旅遊商貿服務総公司総経理(中朝旅行・貿易)
<その他>
野本佳夫・日本大使館公使、岡野正敬・同参事官、下地富雄・同書記官
伊藤正・産経新聞中国総局長、福島香織・同記者
 
4. ロシア
<専門家>
パヴェル・ボゴリュボフ・ドゥブナ核国際研究所国際局副局長
ワディム・トカチェンコ・ロシア科学アカデミー極東研究所
朝鮮研究センター長
金永雄・全露高麗人協会会長
ヴィクトル・ミハイロフロシア原子力省戦略安定研究所所長
(エリツィン政権当時の原子力エネルギー相)
同ヴラジミル・ボクダノフ副所長
同ヴラジミル・メドヴェジェフ副所長
同ヴォリデマル・ヴァラヴァ科学局副局長
アンドレイ・ガガーリンスキイ・クルチャトフ原子力研究所国際関係担当副所長
ユーリイ・フョードロフ国際関係大学教授
ワシリイ・ミヘーエフ・ロシア科学アカデミー極東研究所副所長
<その他>
東京新聞・中島健二記者
産經新聞・内藤泰朗支局長、同佐藤貴生記者
読売新聞・古本朗支局長







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