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資料15: バラスト水管理計画ガイドライン(G4、仮和訳)
 
バラスト水管理のガイドライン及びバラスト水管理計画の検討
 
1. 序文
 
1.1 バラスト水は、荷役に従事する船舶に平衡と安定をもたらす事で、現代の海運の安全かつ有効な運行には不可欠である。しかしながら、バラスト水は深刻な生態上、経済上及び健康上の脅威を呈する可能性がある。
 
1.2 バラスト水の排出が害を引起こす可能性は、国際海事機構のみならず世界保健機構からも認知されてきた。関心は伝染病、疫病及びバクテリアの拡散の媒介としてのバラスト水の役割である。
 
1.3 危険性の最小化の適切な方法の選択は、種類ないしは標的となる生物の種類、内包する危険性のレベル、その環境上の受入れ、内包する経済的及び自然環境上の経費及び船舶の安全を含むいくつかの要因に依存する。
 
1.4 これらのガイドラインの目的は、政府、当局、船長、運行者及び船主、港湾当局及び他の関係団体が議決事項を適用し、船舶の安全を保護する一方、船舶のバラスト水及び関連する沈殿物よりの有害な水中生物及び病原体の招聘する危険性を最小限にすることを助けることにある。
 
1.5 これらのガイドラインは次の二つの部分より構成される;
 
Part A-バラスト水管理の一般的な法則に対する手引きを含む“バラスト水管理のガイドライン”
 
Part B-規則B-1により要求されているバラスト水管理計画の構成及び内容の手引きを含む“バラスト水管理計画の[検討のための]ガイドライン”
 
2. 定義
 
2.1 これらのガイドラインの目的の為に、船舶のバラスト水及び沈殿物の制御及び管理に関する国際条約(条約)における定義が適用される。
 
2.2 バラスト水タンク−これらのガイドラインの目的の為に、‘バラスト水タンク'は条約の項目1で規定されているバラスト水の運搬に使用されるいかなるタンク、船倉及び空間である。
 
3 適用
 
3.1 ガイドラインは、全ての船舶、船籍の主管庁、港湾国、沿岸国、船主、船舶の運行者、バラスト水管理に携わる船長及び船員、船舶の設計者、造船所、船級協会、及びその他関連団体に適用される。
Part A
 
バラスト水管理のためのガイドライン
 
1 船舶運行の手続き
 
1.1 予防演習
 
1.1.1 有害な水中生物、病原体及び沈殿物の取り入れの極小化
 
1.1.1.1 バラストを積込む際に、そのような生物を含む可能性のある有害な水中生物、病原体、及び沈殿物の取入れを避けるべく、最大の努力が払わなければならない。以下の場所及び状況でのバラスト水の取入れは極小にするが、現実的である限り避けるべきである:
 
・文節3.2.2の下で港湾より提供された忠告に関連し、港湾国より認定された地域
・底辺に棲息する生物が水柱内で浮上する夜間
・極度に浅い海域
・スクリュウが沈殿物を攪拌する場所
・浚渫が行われているないしは最近終了した場所
 
1.1.2 バラスト沈殿物を適宜除去する。
 
1.1.2.1 沈殿物を除去する為に、定期的なバラストタンクの清掃は、バラスト水管理計画の規定に基づき、大洋中ないし港湾の制御された準備の下、ないしはドライドックの実行可能な場所で実施されねばならない。
 
1.1.2.2 バラストタンク内の沈殿物の量は、定期的にモニターされねばならない。
 
1.1.2.3 沈殿物は、必要に応じバラストタンクから除去されねばならないが、除去の頻度および時期は、蓄積された沈殿物、航海形態、受け入れ設備の有効性、船員の仕事量及び安全への配慮などの要因に依存する。
 
1.1.3 バラスト水の不必要な排出を避けること。
 
1.1.3.1 安全な貨物の運行を可能にする為に、同じ港でのバラスト水の取り入れ及び排出が必要な場合は、他の港で取得されたバラスト水の不必要な排出を避ける為に、十分な注意が払わなければならない。
 
1.2 バラスト水管理の選択肢
 
1.2.1 バラスト水の交換は、規則B-4及びバラスト水交換のガイドラインに基づき実施されねばならない。次の一般原則は、バラスト水交換に適用されねばならない;規定B-4は、船舶が規定D-1の基準に合致するバラスト水交換を実施することを要求している。規定D-1は、つぎを要求する:
 
・可能なときは、常にバラスト水の交換は、最も近い陸地より最低200海里離れた及び最低200メーターの水深の海域で実施される。
 
・船舶が上記の交換を実施できない場合、最寄の陸地よりできる限りはなれて交換を実施せねばならない。いずれの場合でも最寄の陸地より最低50海里はなれ、及び最低200メーターの水深でなければならない。
 
・最寄の陸地よりの距離及び水深が、1あるいは2に記載されているパラミーターに合致しない場合、港湾国は隣接する国ないしは適当と思われる他国との協議で、船舶がバラスト水交換を実施可能な地域を指定できる。
 
・シーケンシャル法が採用される場所では、全てのバラスト水は、吸い込みが失われるまで排出されねばならない。また、可能であればストリッピング・ポンプないしエダクターが使用されねばならない。
 
・フォロースルー法ないしはダイリュウション法が公海で採用される場所では、最低タンク容量の三倍がタンク内を通過しなければならない;規則D-1に基づき最低95%の容積の交換が合致していることが証明された船舶は三倍以下とする。
 
・公海での交換のいずれの選択も非現実的な場所では、バラスト交換は指定地域で港湾国により認められる; および
 
・港湾国により認められたほかのバラスト水交換の選択肢
 
1.2.1 バラスト水交換を実施する為に、本来の航海から逸脱する責務は、本船にないことを念頭に置き、規則B-4に基づくバラスト水交換がいつ実施可能かを考慮して、航海は立案されねばならない。
 
1.2.2 ある航海でバラスト水交換を実施する機会が限られ、操作の(1/3)が安全に遂行可能の余地が残されている場合、交換は開始され操作は現実的に許される限り離れた場所で完了されねばならない。
 
1.3 バラスト水の排出禁止ないし最小限の排出
 
1.3.1 認可されたバラスト水管理システムを使用してバラスト水交換ないし処理が不可能な場合、バラスト水はタンク内に保存可能である。これが不可能な場合、船舶は港湾国の不測事態の方針に従い必要最低限のバラスト水のみを排出せねばならない。
 
1.4 受け入れ設備への排出
 
1.4.1 もしバラスト水及び/あるいは沈殿物の受け入れ設備が港湾国により提供される場合、それらは適当と思われる場所で活用されねばならない。
 
1.5 プロトタイプバラスト水処理の技術
 
1.5.1 もし適切な新規でかつ緊急の処理及び技術が活用されることが証明された場合、それらは規定D-4に基づき主管庁により認められたプログラム内で使用可能である。
 
1.5.2 新しいバラスト水管理の技術、及び関連の制御設備の適用、及び効果に関する結果は、評価及び具体性のために機関に公にされねばならない。
 
1.6 沈殿物の管理
 
1.6.1 規則B-5は、全ての船舶はバラスト水を運搬に指定された空間から沈殿物の除去ならびに排除することを要求している。
 
1.6.2 バラスト取入れ中には、沈殿物を避けるあらゆる現実的な方法がとられるべきであるが、沈殿物は船内に取り込まれ、タンク表面に定着することが認知されている。
 
1.6.3 適切な場所でタンク底及び他の表面をフラッシングするためには、例えば、規則B-4で規定されている地域外で実施するなどの配慮を行わなければならない。
 
1.6.4 タンク内の沈殿物は、蓄積を回避する為に必要と判断され除去されねばならない。沈殿物除去の為バラストタンクの定期的な洗浄は、大洋中あるいは港湾の制御された設備の下で、ドライ・ドックないしは整備施設の現実的に可能な場所で実施されねばならない。バラスト水管理計画書は、安全への配慮を含む沈殿物除去の手続きを含む。
 
1.6.5 規定B-3は2009年以降に建造されたことが記載されている船舶は、機関により展開されたガイドラインを考慮して、沈殿物の取入れ及び望ましくない定着を最小化する為、沈殿物の除去を可能にする為、及び沈殿物除去及びサンプル採取を可能にする安全な接近を提供する目的で、安全と作動の効率を損ねずに、設計され建造されねばならない。これは2009年以前に建造された船舶にも現実対応可能な範囲で適用される。
 
1.6.6 船舶のバラスとタンク内での沈殿物の抑制及び除去に関するガイドライン(G12)に正当な配慮が払わねばならない。
 
1.7 追加手段
 
1.7.1 規則C-1追加手段は、ある団体に個別にないしは他の団体との共同で、項目Bでのそれらに加え手段を紹介する権利を付与する。ある団体ないし複数の団体は、港湾入港の状態として船舶が規定された基準ないしは要求に合致、ないしは超えることを要求する可能性がある。そのような追加手段は、実施する予定日の最低六ヶ月前に機関に通知されねばならない。緊急性ないしは伝染性の状況に関連して実施される追加手段は六ヶ月の告知期間に従わない。
 
1.7.2 船舶が追加手段を満足せねばならないと通知されたときは、船舶はそれらの追加手段を満足し、それらがバラスト水記録帳に関連していることを記録せねばならない。
 
1.8 例外
 
1.8.1 規則A-4は、船舶に対し規則B-3ないしC-1の例外措置が認められていることを許容している。例外措置を要求する船舶は「危険度査定決議MEPC.XXX(XX)のガイドライン」に基づき、危険度査定を引き受けること、また港湾国に対し申請書を提出することが要求される。認められたいかなる例外措置もバラスト水記録帳に記録されねばならない。
 
2 港湾国の考慮すべき事柄
 
2.1 次は、港湾国の当局が、彼らのバラスト水管理プログラムの実行に際し、考慮すべき事柄の指導要領及び有害な水中生物及び病原体を含有する、バラスト水に関連する危険度の評価に対する指導要領を提供する。
 
2.2 取入れ港と排出港の間の極度に異なる関係
 
2.2.1 著しく異なる状況が原産港と、バラスト水が排出されているないしは将来的に排出される港との間に存在する。たとえば真水のバラストは塩分の高い港に排出されるのがその例である。そのような極端な変化に対応可能な生物も存在するかもしれないが、そのような変化の下で種族を存続させる蓋然性は更に低い。
 
2.3 バラスト水の年齢
 
2.3.1 バラスト水が閉ざされたバラストタンクの中にいる期間が、日射欠如、栄養塩と酸素の低下、塩分の変化及び他の要因のため、また生存する生物の数の決定の要因となる。しかしながら、バラスト水での生物の最長生存期間は異なり、また多くの場合知られていない。100日の年齢の水が配慮すべき事柄を適用する最短と考えるべきである。バラスト水や沈殿物はdinoflagellate cysts及び更に長期の生存能力のほかの生物を含む可能性がある。
 
2.4 標的生物の存在
 
2.4.1 ある環境の下で、一つないしそれ以上の標的種が特定の港の水中に存在し、船舶のバラスト水となるかを決定することは可能に思える。そのような環境の下では、受け入れ港の政府機関は、その旨の管理手段を発動することは可能である。しかしながら、そのような標的種が存在していなくとも、船舶が新たな水に放たれた場合、潜在的に有害となる非標的種の多くを運搬していることに注目すべきである。
 
2.4.2 港湾国は、彼らの港湾での生物学的基礎調査を行い、その調査結果を公表することが望ましい。
 
2.5 追加手段と緊急事態
 
2.5.1 港湾国により検討された追加手段は、追加手段及び緊急事態の通知のガイドラインに従い、海運業界及び機関に通知されねばならない。
2.5.2 追加手段及び緊急事態の導入のガイドラインに従い、港湾国は、バラスト水緊急対応計画を検討させねばならない。その内容は、海運業界に告知し機関に通告しなければならない。







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