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5 職業上の健康及び安全
 
5.1 船舶や港湾は勤務に危険な環境である為、作業者の健康及び安全は全てのサンプリングの作業中重大関心事でなければならない。サンプリングチームのメンバー全員に滑り止めの底で内部に鉄製の指カップのゴム長靴、安全ヘルメット、耳保護帯、手袋、安全めがねが支給されなければならない。又明るい色の理想的には蛍光ストライプつきの胸当てズボンないしは蛍光塗料つきのベストが着用される。真水のバラストを試験する際は追加として特別に、エーロゾルの吸入を防ぐマスク及び人工呼吸器(SCBA)を用意しなければならない。前者はチームのメンバーが人間の病原菌、病原体及び他の有害な微生物により汚染の恐れのあるバラスト水を作業する際に使用される。後者はバラストタンク内での作業に使用される。閉鎖空間の安全慣行に関する関連するIACSの推奨事項(www.iacs.org.uk)及び閉鎖空間への人間の侵入に関する標準的産業慣行が参照される必要がある(例ISGOTT)。プラスチック製のゴーグルが同じ理由で着用されねばならない。チームの全員が常時汎用の救急箱を帯同せねばならない。
 
5.2 乗船及び離船がサンプリング作業全体でもっとも危険な部分であり、チームのメンバーはこの際に過重な荷物を背負うことを避けることが重要である。人間が通路を降りる際運んでいる器具が足元の視野を阻害する可能性があり、離船の際は特に注意すべきである。又船上で器具を運ぶ際通行の邪魔となる障害物や階段の乗降に関連する危険性に注意することが重要である。
 
5.3 騒音の環境下では(例機関室)チームメンバーの全員は耳栓の着用が義務付けられる。
 
5.4 トーチを含む全ての電気部品は石油タンカーの船上及び全ての船舶のある地域での仕様に際し安全でなければならない。携帯電話等の使用の安全上の制約は常に守られねばならない。法制上の要求や各種の産業ガイドライン(例ISGOTT)は船上の視野からこれらの点をカバーしている。追加的ターミナルの要求は又適用される。
 
5.5 船上で使用される全ての電気部品は耐水性が検査されねばならない。特にポンプは電気配線がポンプ本体を通る場所で耐水性の接合部と接続されねばならない。又全てのプラグはゴムのケーシング付の耐水性のものでなければならない。もし船上の電気部品或いは設備に関し疑問がある場合、船舶の電気技術者ないしは港湾会社の電気担当者からの助言を求めるべきである。
 
6 サンプリング作業の計画及び実行
 
6.1 事前によく準備された計画はバラスト水サンプリングプログラムの究極の成功の為に不可欠である。考慮すべき重要な点は以下の通り:
 
.1 目標とする特定の分類学上のグループ。
 
.2 バラスト水サンプリングチームに対する安全上の配慮。これは全ての安全設備(上記参照)の供給に対する規定を含む。
 
.3 船舶ごとのサンプル試験を行われるタンクの数。厳格な予定で運航される商業船舶の場合、この点に関する決定は往々にして現場まで持ち越される可能性がある。理由は各々のバラストタンクの水量及びサンプリングのアクセス地点はサンプリングチームが船舶の士官に面談するまで判明しない可能性があるためである。
 
.4 サンプリングチームに必要とされるメンバーの数。[3人の]チームメンバーがバラスト水サンプリングを効果的にかつ安全に実行するのに必要と推薦される。チームは乗組員のメンバーを伴う必要がある。特にサンプリングがバルブないしはマンホール開口及び戸締りを含む際、それらは乗組員メンバーにより実行されねばならない。
 
.5 石油、ガス及び化学品のような試験される船舶が危険貨物を運ぶ際、特別な注意が払われる必要がある。
 
7 乗船
 
7.1 バラスト水サンプリングチームが乗船した際、チームの調整者は船舶の士官に対し指示を要請し、バラスト水の責任者と接触する。乗船の目的が説明され、船舶に関する全ての基礎資料が記録され、そしてバラスト水管理計画書及び他の書類が検証される。この際チームの調整者は安全・アクセスの制約条件、作業する近辺でチームメンバーに危険な地域及び随行する乗組員にメンバーの協力を打診する。
 
8 離船
 
8.1 サンプルが収集され次第サンプリングアクセスの地点は閉鎖されねばならない。サンプリングが船舶全体に対し終了した後、船舶の一等航海士ないしは当番の士官に通知されねばならない。サンプリングチームは全ての器具が本船より運び出されたことを確認せねばならない。
 
9 サンプルの同定、ラベリング及び記録
 
9.1 サンプルデーター様式
 サンプリングプログラム開始前に、一連の適切な様式はプログラムの目的にかなう為に要求される全てのサンプル情報を合体するよう設計される必要がある。各々のサンプルの詳細は可及的速やかに書式に投入される必要がある。サンプルデーターフォームの書式の例は付録1に添付されている。
 
9.2 サンプル容器の表示
 各々のサンプル容器は、耐水性のマーカーで表示され記録され、記録情報は日付、船舶名、タンク番号(判明すれば)、タンクの型及び位置、フィルター或いはネットのサイズ、及び使用された場合の固定液を含まねばならない。コードはバラスト水サンプリングチームのメンバー全員が精通している限り、それらの詳細のために使用される。又それらはサンプルデータフォームに記載されねばならない。理想的には容器はサンプル収集の直前にラベルが張られ、湿った容器は記入が難しいため事前に乾燥状態を維持せねばならない。
 
10 サンプルの輸送
 
10.1 分析が陸上の実験場で行われる場合、サンプルは収集後可及的速やかに分析試験場に輸送されねばならない。収集後6時間以内にサンプルは処理されねばならない。
 
10.2 全てのカテゴリーに対し、輸送用のサンプルは分析までの急速な温度変化を避けるために黒い冷却用の袋に保存されねばならない。
 
11 副サンプルの推奨
 
11.1 副サンプルがD-1及び/ないしはD-2との整合性を査定する為に収集必要な場合、全ての生物がサンプル量内で均等に配布するまでサンプルは入念に攪拌される必要がある。生物の集合体はサンプルから取り除かれ生物が算出されねばならない。
 
11.2 副サンプルが長期保管の為に収集される必要がある場合、サンプルは保存される必要がる(サンプル保存パラグラフ13参照)。
 
12 サンプリング器具の洗浄
 
12.1 各々のサンプリング作業の後、サンプリング器具は洗剤で暖かい真水中で洗浄されねばならない。
 
13 サンプル保存液
 
13.1 大型プランクトン(50マイクロメーター以上)
 
.1 各々のサンプルの副サンプルは、生存する生物の分析の為に保存液を使用せずに保管さればならない。或いは生命保持の染料を使用し通常の方法で保存されねばならない。
 
.2 サンプルの残りは、後の試験のために保存されねばならない。使用される保存液は追加の試験により異なる。
 
a. 顕微鏡試験の為に[例えば]Rose BengalないしはNeutral Redで彩色した稀薄フォルマリンが使用されねばならない(附属書2を参照)。最終的なフォルマリン濃度が5%になるようにサンプルに十分な保存溶液が添加されねばならない。サンプルはこの状態で無期限に保管される。もしサンプルが実験後70%のエチルアルコールに移す必要がある場合、十分なRose BengalないしはNeutral Redの粉末がピンク色を増すために追加されねばならない。これはサンプルがアルコール溶液で変色することを防ぐ働きをする。
 
13.2 小型プランクトン(50マイクロメーター未満及び10マイクロメーター以上)
 
.1 各々の副サンプルは生存する生物の分析の為に保存液を使用せずに保管されねばならない。
 
.2 サンプルの残りは後の試験の為に保存されねばならない。使用される保存液は追加される試験により異なる。
 
a. 顕微鏡試験のために、[100]ミリリッターのサンプル水当り3から4滴のLugol's lodineが使用されねばならない。
 
b. 分子試験のために、濾過された生物を95%のエタノールないしはSET稀薄の95%エタノールの中に入れる。
 
13.3 微生物
 微生物のサンプルは固定されてはならない。
 
14 サンプル分析
 
14.1 遵守のモニターの為に、微生物を除くサンプル中に存在する全ての生物の生存生物の数はミニマムサイズに基づき文書化される必要がある。微生物では生物のサイズは遵守を評価する際に無関係である。可能な限りサンプルは収集後6時間以内に加工されねばならない。
 
14.2 大型プランクトン(50マイクロメーター以上)
 
.1 顕微鏡による評価−50マイクロメーター以上の生物は最低[50]倍率で算出されねばならない。生存する生物の分析は生物の動きを記録することで評価される。保存されたサンプル中の生存する生物の分析は生命保持の染色により査定される。
 
.2 分子評価−(検討作業中)
 
14.3 小型プランクトン(50マイクロメーター未満かつ10マイクロメーター以上)
 
.1 顕微鏡による評価−50マイクロメーターで10マイクロメーター以上の生物は定着チャンバーに一晩置く必要がある。算出は最低[100]倍率を使用して行う必要がある。保存液中の生存する生物の分析は生命保持の染料を使用して査定される。
 
.2 分子評価−(用語検討中)
 
14.4 微生物
 微生物のサンプルは、検討中の分類に基づく標準技術を使用し、生死分析の為培養される必要がある。
 
14.5 D-2の遵守
 
 バラスト水管理条約のD-2に規定されている排出基準との非遵守 を決定する為に、個々のサンプル中の生物の数は排出口より低くなければならない。即ち中間値は遵守証明には使用できない。
 
15 船上での帯同の為の推奨される標準的なバラスト水サンプリング器具
 
15.1 船上で可能なサンプリング地点に基づき、柔軟なアプローチが求められる。サンプリングチームは[soundingないしはエアーパイプ、]マンホール及び排出ラインを経由してサンプル取得を準備せねばならない。
 
15.2 温度、塩分、pH、酸素量等の水パラメーターが船上でのサンプリングの後直接計測される必要がある場合、関連器具はサンプリング器具に追加される必要がある。
 
15.3 プランクトンネット(マンホールサンプリング)。円錐形の開口とcod-endの濾過を備えたプランクトンネットがもっとも正確なサンプルを提供することが科学的試験で証明されている。タンクに下ろされるネットはタンク内での絡まりのリスクを軽減する為に[1]メートルの長さ及び[30]センチメーターの直径を越えてはならない。損傷の発生に備え、別のcod-endを含む四角い網がサンプリング箱に追加されねばならない。錘(最低[2]キロ)が網の降下中線を垂直に維持する為に使用されねばならない。
 
15.4 損傷の発生に備え余分のふるいがサンプリング器具に追加されねばならない。
 
[15.5 soundingパイプによるサンプリングの為のサンプリング器具は最低以下を含まねばならない:
・ポンプ(手動、電動或いは空気圧他)
・ホース(ホースを下げることを容易にする重し付の選択)
・サンプルを濃縮する網ないしはふるい(同一のメッシュサイズの代替品付)
・甲板上に汲み入れられる水量を測定する最低2個のバケツ。サンプリングが終了しふるいを洗浄するために濾過水の収集及びホースの洗浄のためにバケツが後で必要となる。
・ネットやふるいを洗浄するための水のビン
・サンプル容器を満たすことを容易にするじょうご
・微生物分析の為の無菌の容器を含むサンプル容器
・データー報告フォーム
・ネット或いはふるいの取替え、soundingパイプないしはエアーの開口他を行う道具箱
・救急箱]
 
15.6 マンホール経由のサンプリングの為のサンプリング器具は最低下記を含まねばならない:
・プランクトンネット。損傷の発生に備え余分のcod-end付の同一のメッシュサイズのスペアーネットがサンプリング器具に追加されなければならない。
・重し
・ネットを下げる為の綱(綱はネットの低下深度を記録する為目盛り付きでなければならない)
・サンプルを濃縮する為のネットないしはふるい(同一メッシュサイズの代替品付)。損傷発生に備え同一のメッシュサイズ付のスペアーのふるいがサンプリング器具に追加されねばならない。
・バケツ(ふるいを洗浄するためにふるいにかけられた水及びサンプリングが終了した際プランクトンネットを収集する)
・ネットないしふるいを洗浄するための水のビン
・サンプル容器を満たすことを容易にするじょうご
・微生物の分析の為の無菌容器を含むサンプル容器
・データー記録フォーム
・ネットないしふるいの取替え他の為の道具箱
・救急箱
 
15.7 排出ラインよりのサンプリングの為のサンプリング器具は最低次を含まねばならない:
・サンプルを凝縮する為のネットないしふるい(同一のメッシュサイズの代替品付)
・排出ラインより抽出された水量を測定する為の最低2つのバケツ。バケツは後でふるいを洗浄するためのふるいにかけられた水およびサンプリングが終了した際ふるい或いはネットを収集するために必要となる。
・ネットやふるいを洗浄するための水のビン
・サンプル容器を満たすことを容易にするじょうご
・微生物の分析の為の無菌容器を含むサンプル容器
・データー報告フォーム
・ネットやふるいの取替え他を行うための道具箱
・救急箱
 
付録1
 
 次のデーターフォームはIMO決議A.868(20)の付録1バラスト水記録フォーム、HELCOM及びICESの報告フォームを使用し集約された。
 
サンプルデーターフォーム(省略)
 
付録2
 
保存液
 
1. Lungol's Iodine:
 1リッターの蒸留水に100グラムのpotassium iodideを溶解する。
 Potassium iodide溶液に50グラムのcrystalline iodineを追加する。
 100ミリリッターのGlacial acetic酸を注意深く追加する。
 ガラス棒で溶液を攪拌する。 Iodine crystalsは溶解に時間を要する。
 出来る限り多くのiodineが溶解した後、溶液を24時間保存する。
 残りのcrystalsを妨げずに、溶液を厳重に密封されたガラス瓶に注意深く注ぐ。
 注意:溶液は毒性でありその旨表示されねばならない。
 
2. フォルマリン/Rose Bengal溶液:
 500ミリリッターの10%フォルマリン/Rose Bengal溶液を作成する為に、450ミリリッターの蒸留水に50ミリリッターの純濃度のフォルマリンを追加する。液体を明るいピンクにするためにフォルマリン溶液に十分なRose Benngal粉を溶かす。少量でもきわめて長時間掛かる為慎重に粉を加える。この液体は厳重に密閉されたガラスないしはプラスチック容器に保管されねばならない。
注意事項:
・formaldehydeはDisodiumtetraborate(Borax)(Na2 B4 O3)によりpH8-8.2まで希釈される必要がある18
・要望された場合Neutral RedがRose Bengalの代替となる。
注意:フォルマリン液は有毒であり有害なガスを放出するため、煙幕フード及びゴム手袋で扱われなければならない又安全眼鏡を初めとする保護服は着用されねばならない。
 
3. SET稀薄エタノール固定液(在庫より製造された新品)
3リッターのSET稀薄エタノールを製造する為に、2.5リッターの95%EtOH、200ミリリッターのMilli-Q-water、及び300ミリリッターの25X SET稀薄剤を混ぜ合わせる。指定された順序で試薬を加える。
 
25X SET稀薄剤:
 
試薬 300ミリリッターの在庫 300ミリリッターの25X SETを製造する為に最終特性
3.75M NaCl 55.8グラム 15ミリリッター 3.75M
0.5M Na2 EDTA(pH8) 37.82グラム 150ミリリッター 25mM
0.8M Tris HCl (pH7.8) 37.82グラム 150ミリリッター 0.4M
 
注意:EDTA8pH8)及びTris HCl(pH7.8)の在庫のpHを調整する。EDTAはpH8に近づかない限り融解しない。







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