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5 リスク特性
 
5.1 持続性、生物の蓄積および毒性のための審査
 
5.1.1 持続性、生物の蓄積および毒性のような活性物質および/或いは調合剤の固有の特性に対する評価が実施される必要がある(項目6の表1を参照)。
 
.1 持続性試験:
 持続性は関連する条件の下で生命の半期を決定する模擬試験システムで評価されることがましい。生命の退化審査試験は物質が常に退化する可能性がることを示す為に使用される可能性がある。
 
.2 生物蓄積試験:
 生物蓄積(の可能性)の評価は海洋の(或いは真水の)生物中の計測された生物凝縮の素を使用しなければならない。これらの試験が適用不可能な場合或いはlogPowが3未満の場合、生物凝縮要素(BCF)は(計量的)構造−活動関係((Q)SAR)モデルを使用することで推定可能である。
 
.3 毒性試験
 理想的には繊細な生命段階をカバーしている急性のおよび/慢性の生態毒性データーは原則として毒性基準の評価のために使用されねばならない。
 
5.2 処理されたバラスト水の毒性試験
 
.5.2.1 活性物質、或いは調合剤(項目4.2.1および5.3参照)およびこの項目で記載されている処理されたバラスト水の排出に対し毒性試験が必要とされる。バラスト水排出に対し毒性試験を実施する利点はそれは活性物質および調合剤が潜在的な副産物と相互反応する可能性を統一的に捉え重視することにある。
 
.1 基本的な承認手続きのため、排出試験は調合剤による処理の後バラスト水の排出を模擬する技術および設備を使用し、実験室で実施される必要がある。
 
.2 最終承認の為、排出試験は処理されたバラスト水の排出を使用し、陸上での型式承認手続きの一部として実施される必要がある。
 
5.2.2 申請者はバラスト水管理システムに関連して使用される調合剤および関連化学物質の毒性を決定する為に標準化された試験手続きを使用して、急性および慢性両方の毒性試験のデーターを提出せねばならない。バラスト水管理システムは調合剤ないし関連化学物質の逆効果を緩和する或いは強める為、この試験アプローチは処理されたバラスト水の排出に対し実施されねばならない。
 
5.2.3 排出毒性試験はバラスト水管理システムからの排出を代表する、陸上試験設備から抽出されたサンプルに対し実施されねばならない。
 
5.2.4 これらの毒性試験は繊細な生命段階を示す複数の試験種(魚、無脊椎動物および植物)に対する慢性試験の方法を含まねばならない。望ましいことは準致死点(増殖)および生存点の両方を含むことである。真水或いは海洋の試験方法のいずれかが試される必要がある2
2 現在海洋生物が真水の生物より繊細である或いはその逆も証明する説得力のある自然論理も経験も存在しない。しかしこれが検討中の物質に対し証明されるなら、これは考慮されねばならない。
 
5.2.5 提出される試験結果は次を含む:試験生物のx%が死滅する致死的凝縮(LCx)の24時間、48時間、72時間および96時間の急性試験、逆効果が観測されなかった凝縮(NOAECs)、影響が観察されなかった凝縮(NOEC)の慢性試験および/或いは試験生物のx%が影響を示す(ECx)影響凝縮。これらは適切思われる実験設計に基づく。
 
5.2.6 100%バラスト水排出を始めとする希釈シリーズは統計上の最終点を使用し逆作用のない水準(NOEC或いはECx)を決定する為に使用される。希釈能力が考慮されない(雛形或いはPlume分析が使用されない)場所では控えめなアプローチが最初の分析に使用される。控えめなアプローチを取る合理性は一箇所に複数の排水が存在する可能性があることである(必ずしもこのケースでないとしても)。
 
5.2.7 項目4.2.1の情報に関連する急性および慢性の毒性試験データーは排出時逆作用の凝縮のないことを達成する為に必要な保持時間の決定に使用されねばならない。生命の半期(日数)、衰退率、投薬率、システムの容量および時間級数に伴う毒性試験その後の計数モデルを知ることで排出前の処理されたバラスト水の保持に必要な時間が決定可能となる。
 
5.3 リスク特定および分析
 
5.3.1 基本承認手続きのために、死滅および影響試験は活性物質および調合剤を使用実験室で実行される必要がある。この項目は初期のリスク特定の為に有益な情報を記す。
 
5.3.2 活性物質或いは調合剤は処理されたバラスト水の排出と同様排出による毒性の影響より受け入れる環境を保護する為に毒性試験に従わねばならない。
 
5.3.3 遊離した基を造りだす活性物質および調合剤の有機物質との反応は環境への懸念される産物を特定する為に性質判定に重点がおかれる必要がある。
 
5.3.4 好気性および嫌気性の条件の下での活性物質および調合剤のabioticおよび生命の衰退の率は査定されねばならない。それが関連する媒体(バラスト水、海水および真水)中の関連する変質物を特定する結果となる。
 
5.3.5 好気性および嫌気性の条件の下での活性物質および調合剤のabioticおよび生命の衰退率は査定されねばならない。それが特定の条件(例えばpH、redox、温度)の下での衰退率の意味で活性物質、調合剤および関連化学物質の持続性を特定する結果につながる。
 
5.3.6 活性物質、調合剤および関連する化学物質の分離計数(個体−水の分離計数(Kd)および/或いは有機炭素の標準化分配計数(Koc))が決定される必要がある。
 
5.3.7 活性物質および調合剤に対し、もし対数のoctanol/水の分離計数(logPow)が3より大きい場合、生物蓄積の可能性は海洋の或いは真水の生物(魚或いは二枚貝)で評価されねばならない。
 
5.3.8 活性物質および調合剤の死滅および反応に関する情報に基づき、決められた時間間隔で排出濃度が推定される必要がある。
 
5.3.9 活性物質、調合剤および化学物質の影響査定は始めに主に製造体(藻或いは海草)、消費体(甲殻類動物)、略奪体(魚)である水生生物に対する急性および/或いは慢性の生態毒性のデーターに基づき、次に哺乳類および鳥類の最大の略奪体に対する毒性を沈殿物種に対するデーターと同様含む必要がある。
 
5.3.10 もし危惧される物質の生物蓄積の可能性が欠如していること(即ちBCFが6%fatで全生物の500L/kg wet weight未満)を示す場合、第二の毒性の査定は不要となる。
 
5.3.11 もし危惧される物質が沈殿物に分離する可能性が低い(即ちKocが500L/kg未満)場合、沈殿種の査定は不要となる。
 
5.3.12 活性物質、調合剤および関連化学物質の影響査定は発癌物質、mutagenicおよび内分泌物を崩壊する成分に対する検証を含まねばならない。もし検証の結果が懸念を増大する場合、追加の査定の必要性が生ずる。
 
5.3.13 活性物質、調合剤および関連化学物質の影響査定は、示された情報を考慮し、国際的に認知された指導要領3に基づく必要がある。
 
5.3.14 影響査定の結果は排出毒性試験の結果と比較される。予期しない結果(例えば毒性の欠如或いは排出査定の予期しない毒性)は影響査定に対し更に検討を加える必要がある。
 
5.3.15 バラスト水排出中の活性物質および調合剤をモニターに適した分析方法が用意される必要がある。
 
6 評価基準
 
 機構はこの項目の基準に基づき承認の為の申請を評価せねばならない。3 関連するOECDのガイドライン或いは同等のもの
6.1 提出された情報は完璧で十分な精度でこの手続きに基づくものでなければならない。
 
6.2 この情報は環境、人体の健康、所有物ないしは資源に許容できない逆効果の可能性を示してはならない。
 
6.3 船舶および人的安全性
 
6.3.1 船舶および人的安全性を守る為に技術グループはバラスト水内に形成される活性物質、調合剤或いは関連化学物質の潜在的危険な特質が船舶および人体に不合理なリスクをもたらすことがないことを保証する物理的および化学的危険性(パラグラフ4.2.1.4を参照)を評価せねばならない。使用および導入された技術設備の為の提案された手続きは考慮される必要がある。
 
6.3.2 活性物質および調合剤の取り扱いおよび保管に従事する人員の保護の為に、提案は関連((M)SDS)を含む必要がある。機構は(M)SDS,哺乳類への毒性データーおよび化学的特性危険性(パラグラフ4.2.1.2および4.2.1.4を参照)を評価し活性物質、調合剤或いは関連化学物質の潜在的危険特性が船舶や人体に非合理的リスクをもたらす事がないことを保証せねばならない。この評価に際し船舶や人が航海で遭遇する異なる環境(例えば氷、熱帯性、湿気など)を考慮せねばならない。
 
6.4 環境保護
 
6.4.1 申請を承認する為に、機構は活性物質、調合剤或いは関連化学物質がpersistent、生物蓄積および毒性(PBT)でないことを決定する必要がある。全てのこれらの基準(persistence、生物蓄積および毒性)が下記の表を超える調合剤はPBTとみなされる。
表1 PBT物質の同定の為の基準
基準 PBT基準値
Persistence 生命の半期:
海水で60日を越える、或いは
真水で40日を越える*、或いは
海洋沈殿物中で180日を越える、或いは
真水の沈殿物中で120日を越える*
Bioaccumulation BCF 2000を超える或いはLogP octanol/water 3以上
毒性 慢性NOEC 0.01mg/l未満
* 海洋環境リスク評価の為真水および海水での生命の半期のデーターは海洋状態の下で得られたデーターにより置き換えることが可能。
 
6.4.2 気泡は調合剤がバラスト水管理に使用された際呈する可能性のあるリスクの総合的受入れを決定せねばならない。それを実施するに当り、提供された情報、実施されたPBTの評価および排出を活性物質、調合剤および関連化学物質の科学的知識と比較する必要がある。リスク評価に際し、海運および港湾での作業の性質より発生する累積する影響を質的に考慮せねばならない。
 
6.4.3 リスク評価に際し承認の為の申請に含まれる不確定事項を考慮し、必要に応じ不確定事項がどのように対処可能か助言せねばならない。
 
7 活性物質および調合剤の使用の規制
 
7.1 活性物質および調合剤の取扱い
 
7.1.1 活性物質および調合剤の承認の為の提案は意図する使用および適用に関する情報を含まねばならない。バラスト水に添加される活性物質および調合剤の量およびその中の活性物質の許容される最大濃縮は製造者により提出される指図書に記載される必要がある。システムは最大投薬量および許容される排出の最高濃縮はいかなる時も超えることがない事を保証せねばならない。
 
7.2 危険物質の記録および表記
 
7.2.1 提案は要求される((M)SDS)を含まねばならない。(M)SDSは適切な保管および取り扱い方法を保管中の劣化の影響および化学的反応と併せ記載せねばならない又製造者により提供される指図書に含まれる必要がある。
 
7.2.2 危険物の記録或いは(M)SDSは国連の化学物質の分類および表記の国際統一システム(GHS)および関連するIMOの規則(IMDGコード)およびガイドライン(即ちGESAMP危険物評価手続き)に従う必要がある。これらの規則が適用できないところは、関連する国内ないし地域の規則が適用されねばならない。
 
7.3 手続きおよび使用
 
7.3.1 船上での活性物質および調合剤の安全な適用の為の詳細な手続きおよび情報が提供され又許容される最大の濃縮および細大の排出時の濃縮のような承認条件に準拠しなければならない。







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