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4 技術仕様
 
4.1 この項目はBWMSが型式承認を取得する為に満足せねばならない一般的な技術要求の詳細を記す。
 
バラスト水管理システム
 
4.2 BWMSは、導入された危険を緩和する為に、主管庁に許容される保管、適用、緩和手段、及び安全な取り扱いに対する適切な準備が提供されない限り、危険な性質のいかなる物質も含有したり使用してはならない。
 
4.3 BWMSの適正な操作を阻害するいかなる障害が発生した場合、聴取可能かつ視覚可能な警報がバラスト水操作を制御している全ての部署で発せられねばならない。
 
4.4 磨耗しやすい、あるいは損傷を受けやすいBWMSの全ての作業部品は、補修の為に容易に接近可能でなければならない。BWMSの定期修理及び問題修正の手続きは、製造者により明確に操作及び補修のマニュアルに規定されねばならない。全ての補修及び修繕は記録されねばならない。
 
4.5 BWMSへの妨害を回避する為、次の項目が含まれねばならない:
 
.1 パラグラフ4.4の必須要求以外で、BWMSへのいかなる接近もシールの破棄を要求せねばならない。
 
.2 BWMSの洗浄、計測、あるいは修繕を目的とする作業中は、常に視覚可能な警報が作動するようBWMSは適用可能な限り建造されねばならない。また、それらの事態は制御装置により記録されねばならない;
 
.3 緊急事態の場合、船舶及び人員の安全を保護する為に、適切な迂回路が設置されていなければならない;
 
.4 BWMSのいかなる迂回も警報を始動させねばならない。また迂回の事態は制御装置により記録されねばならない。
 
4.6 計測を必要とするBWMS部品の作動をチェックする為に、更改審査の際、製造者の指示に従い、装置が提供されねばならない。最終の計測チェックの日付を証明する計測証明書は、検査目的の為に本船に保持されねばならない。製造者ないし製造者により権限を移譲された人物のみが正確度チェックを実行せねばならない。
 
バラスト水処理装置
 
4.7 バラスト水処理装置は、堅固でかつ船上環境での作業に適していなければならず、目的としているサービスに適した設計及び構造でなければならない。また、高温の表面及び他の危険に正当な配慮がなされ、船上での人員への危険を最小限に減ずるよう設置され保護されていなければならない。設計は、建造に使用される材質、装置が予定する目的、従属する作業条件及び船上の環境条件に配慮が払われねばならない。
 
4.8 バラスト水処理装置は、その操作及び制御の為に、単純かつ効果的な手段で供給されねばならない。それはバラスト水処理装置の適切な操作に必要とされるサービスが、必要な自動装置を通じ保証されるよう制御システムが付随していなければならない。
 
4.9 バラスト水処理装置は、引火性の気体が呈する場所に取り付けることを予定する場合、そのような場所に関連する安全規定を遵守せねばならない。BWMSの一部であるいかなる電気装置も、安全な地帯に基礎を置かねばならない。または、危険地帯での使用の安全性を主管庁により証明されねばならない。危険地帯に据え付けられた可動性の部品は、静電気の発生を回避するよう準備されねばならない。
 
制御及びモニター設備
 
4.10 BWMSは、船舶のBWMS必用な処理の適量、あるいは度合、あるいは他の局面を自動的にモニターし、調整する制御設備を含んでいなければならない。それらは、直接処理に影響しないがそれにもかかわらず必要な処理の適正な管理に要求される。
 
4.11 制御装置は、BWMSが稼動している期間、継続的に自動モニターする能力を含んでいなければならない。
 
4.12 モニター装置は、BWMSの正常な稼動あるいは故障を記録しなければならない。
 
4.13 規則B-2の遵守を支援する為に、制御装置は、最低24ヶ月間データーを保管可能にしなければならない。また、要求に応じて公式な検査のために記録を表示、あるいは印刷可能にしなければならない。制御装置が交換される場合、交換以前に記録されたデーターが、24ヶ月間本船で取得できることを保証する手段が提供されねばならない。
 
4.14 制御設備の一部である計測装置による傾向、制御設備装置の連続性及び制御設備のメーターをゼロに戻す能力をチェックする為に、簡略な手段が本船に提供されることが推奨される。
 
5 バラスト水管理システムの承認のための陸上試験
 
試験要求―バラスト水処理装置
 
スケーリング
 
5.1 インライン処理装置は、陸上試験用に縮小可能であるが、次の基準が考慮されるときに限定される:
 
.1 TRCが200m3/h以下の装置は、縮小されてはならない;
 
.2 TRCが200m3/hより大きく1,000m3/hより小さい装置は、最大1:5のスケールで縮小可能であるが、200m3/h未満は不可能;及び
 
.3 TRCが1,000m3/h以上の装置は、最大1:100のスケールで縮小可能であるが200m3/h未満は不可能;
 
5.2 装置の製造者は、いかなる縮小スケールも装置が証明される型式及びサイズの船舶での最終稼動及び効率に影響しないことを、数理モデル及び/或いは計算を使用して証明せねばならない。
 
5.3 インライン処理装置は、フルスケールの効果が実証可能なスケールで試験されねばならない。試験セットアップの適正は、製造者により評価され主管庁により承認されねばならない。
 
5.4 拡大スケーリングは、適用可能である。そして、もし、フルスケールの船上試験と5.2に関連して、製造者がスケーリングと流量が、フルスケールでの基準との適合を予知する為の結果の能力に逆に影響しないことを証明可能であれば、5.1で示されているよりも低い流量が適用可能である。
 
6 計画承認手続きの為の典型的な書類要求
 
6.1 承認の為に提出される書類は、最低次を含まなければならない:
 
.1 BWMSの記述。記述は、処理されたバラスト水及び適切かつ必要な排出流のための操作上の出口を明示し、典型的なあるいは要求されたポンプ及び配管の配列の図表・図面を含まねばならない。通常と異なるポンプ及び配管の配列を有する船舶のためには、予定された設置に特別な配慮が払われる必要がある;
 
.2 BWMSの主要構成物及びそれらの操作ならびに補修の詳細を含む、製造者により提供された設備マニュアル;
 
.3 完全なBWMSの為の包括的な操作及び技術マニュアル。このマニュアルは、BWMSの配列、操作及び補修を総体的に網羅せねばならない。また、製造者の設備マニュアルではカバーされていないBWMSの部品を特に記載しなければならない。
 
.4 正常な操作手続き、及びバラスト水処理装置の不具合の際の未処理水の排出手続き、補修手続き、及び船舶の安全に必要な緊急行動を含むマニュアルの操作項目;
 
.5 排出前の処理水の調整の方法は、提供されねばならない。また、排出された水の評価は、船舶のバラスト水に対する処理の影響の記述、特に、処理によるいかなる残留物及び副生産物の性質及び沿岸海域への排出の水の適性を含まねばならない。適用される水質規定を満足する為に、排出前の処理水のモニター及び必要なら“調整”に必要ないかなる行動の記載も提供されねばならない;
 
.6 廃棄物を適正に管理し処理する為に、計画された行動の記述を含むBWMSの付属流(即ち濾過物質、遠心分離の濃縮物、廃棄物及び残留化学物質)の記述;
 
.7 不具合発見を可能にする適切な情報(モニターシステムの記述及び図表/図面及び電気/電子配線の図表)を含むマニュアルの技術項目;
 
.8 とりわけ構成物の位置及び据え付け要求、安全及び危険の空間の境界の統一性の維持、及びサンプル配管の配列を規定する技術上の設置仕様;及び
 
.9 BWMSに固有の推奨される試験及び審査手続き。この手続きは、設置契約者による稼動試験で実施される全てのチェックを規定せねばならない。また、BWMSの船上検査を行う際、及び設置が製造業者の設置基準に反映していることを確認する際に、検査官に対する指導要領を提供せねばならない。
 
7 承認及び証明書手続き
 
7.1 あらゆる点でガイドラインの要求を満足しているBWMSは、船上への設置に対し主管庁より承認されることが出来る。承認は機械の主要項目を規定し、かつ適正な作動を保証する為に、必要なその使用条件を限定している型式承認証明書の形態を採らねばならない。その証明書は、附属書類1に示されている様式で発行されねばならない。BWMSの型式承認証明書の写しは、常時設備に適した形で本船に保持されねばならない。
 
7.2 BWMSの型式承認証明書は、BWMSが承認された特定の用途、即ち特定のバラスト容量、流速、塩分あるいは温度体勢、或いは他の制限条件あるいは適当と思われる環境に対し発行されねばならない。
 
7.3 BWMSの型式承認の証明書は、附属書のPart 2,3及び4に記載されている全ての試験要求を満足していることに基づき発行されねばならない。
 
7.4 主管庁は、別個の試験あるいは他の主管庁の監修の下で、すでに実施された試験に基づき、BWMSの型式承認証明書を発行できる。
 
7.5 BWMSの型式承認証明書は、次を含まねばならない:
 
.1 申請したBWMSの型式及びモデルを特定する。また、正当な日付の装置組み立て図面を特定する;
 
.2 モデル規格番号あるいは同等の同一証明の詳細を記載した関連の図面を特定する;
 
.3 基となる完全な作動試験プロトコルの引用を含む。また、試験結果元本の写しが付随する;
 
.4 他の主官庁による従前に発行された型式認定証明書に基づき主管庁により証明書が発行されるか特定する。そのような証明書は、BWMSの試験を実施した主管庁を特定せねばならない。また、試験結果の元本はBWMSの型式認定証明書に添付されねばならない。
 
7.6 承認されたBWMSは、その本船の使用に対し、他の主官庁により型式認定された可能性がある。ある国により承認された装置が他の国の型式承認を通らない場合、関係する二カ国は、相互に引き受け可能な合意に到達する目的で相互に相談せねばならない。
 
8 設置要求
 
サンプリング施設
 
8.1 BWMSは、船舶のバラスト水の代表的サンプルを収集する為に、サンプリング設備を備えていなければならない。
 
8.2 サンプリング設備は、いかなる場合でもBWMSの取入れ地点、排出地点前、及び主官庁により決定される可能性のある設備の適正な稼動を確認する為のサンプリングに必要な他のいかなる地点にも位置しなければならない。







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