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(11)カドミウム排出指令(Directive on Discharges by Cadmium: 83/513/EEC)
 同指令は、有害物質指令(76/464/EEC)の第6条や第12条に従って、以下のことが規定されている。
(1)産業プラントからのカドミウムの排出制限値
(2)水環境におけるカドミウムの水質目標
(3)遵守期日
(4)排出物及び水環境中のカドミウム成分を決定する標準的な測定方法
(5)モニタリング手順の確立
 同指令は、地下水を除く有害物質指令で指定された水域に適用される。
(12)水銀指令(Directive on discharges of mercury from other sourecs: 84/156/EEC)
 この指令は、クロルアルカリ電解以外の産業部門から排出される水銀について、有害物質指令(76/464/EEC)の第6条、第12条などに従い、以下のことを規定している。
(1)産業プラントから排出される水銀の排出基準の制限値
(2)水環境における水銀に関する水質目標
(3)遵守期日
(4)排出物及び水環境中の水銀成分を決定する基準となる測定方法
(5)モニタリング手順
(6)水銀の排出が複数の加盟国の水質に影響する場合の加盟国同士の協力要請
(7)水銀排出による汚染を回避または除去するための加盟国による計画策定の要請
 この指令は、有害物質指令で指定されている水のうち、地下水を除くものに適用される。
(13)有害物質排出指令(Directive on discharges of List I substances: 86/280/EEC)
 この指令は、産業部門から排出される有害物質について、有害物質指令(76/464/EEC)の第6条、第12条などに従い、以下のことを規定している。
(1)産業プラントから排出される有害物質の排出基準の制限値
(2)水環境における有害物質に関する水質目標
(3)遵守期日
(4)排出物及び水環境中の有害物質成分を決定する基準となる測定方法
(5)モニタリング手順
(6)有害物質の排出が複数の加盟国の水質に影響する場合の加盟国同士の協力要請
(7)有害物質排出による汚染を回避または除去するための加盟国による計画策定の要請
 この指令は、有害物質指令で指定されている水のうち、地下水を除くものに適用される。
(14)地表水の測定に関する指令(Directive on the Measurement of Surface (Drinking) Water: 79/869/EEC)
 同指令では、飲料水用途の公共用水域に係わる指令(75/440/EEC)に基づいて、飲料水のくみ上げ用の表層水の水質をモニターするために使用される測定方法及びサンプリングや分析の実施頻度が定められている。水枠組指令の採択によって、同指令は水枠組み指令に統合化されることになっている。
(15)情報交換のための共通手順(Common Procedures for Exchange of Information: Decision 77/795/EEC、決定84/422/EEC、86/574/EEC、90/2/EECによって改定)
 EUにおける表層水の水質に関する情報交換のための共通的な手順が規定されている。パラメータの対象となるモニタリング地域及びモニタリング個所のネットワークについても規定されている。
 加盟国から提出される情報は、欧州委員会によって報告書の中で公表される。
(16)その他の関連規制
総合的汚染物質排出・抑制指令(IPPC Directive: 96/61/EC):
 IPPC指令の目的は、全体として高度の環境保護を達成するために、廃棄物に関する処置を含む、産業施設からの大気、水及び土地への排出を防止する、または、それができない場合、排出量を低減するための処置によって幅広い活動から起こる汚染の総合的な防止及び抑制を達成することである。そして、主な特徴は次のとおりである。
(1)汚染の予防・管理に対して統合的措置の実施
(2)水枠組指令に規定される排出規制の確立
(3)利用可能な最善の技術(BAT: Best Available Technique)に基づく排出基準(詳細は、ガイダンス文書であるBREF Noteにおいて規定)
 IPPC指令が取扱っているすべての活動には許可が必要であるが、管轄当局が一ヵ所以上である場合には、加盟国は、許可の発給条件や発給手順が十分に調整されるために必要とされる措置を講じることになっている(第7条)。許可で排出制限を課すだけでなく、加盟国は、同許可に次のような基本的な要件が満たされることを保証するように考慮された処置が確実に盛り込まれているようにしなければならない(第3条)。
(1)特に、利用可能な最善の技術(BAT: Best Available Technique)の適用を通じて、汚染に対してすべての適切な防止処置を施す。
(2)重大な汚染を起こさない。
(3)廃棄物の発生を防止する;廃棄物が発生してしまう場合、廃棄物を回収すること、または技術的にも経済的にも回収できない場合、環境へのどのような影響でもその発生を防止するかまたは低減しつつ処分する。
(4)エネルギーを効率的に使用する。
(5)事故を防止し、その結果が重大なことにならないようにするために必要な処置を講じる。
(6)活動の停止に際して、どのような汚染リスクの発生をも防止し、活動が行なわれたサイトを満足のいくような状態に戻すために必要な処置を施す。
 以上のEUの規制状況と我が国における現状も踏まえ、我が国ではHK検討会を中心に、ドイツ及びオランダとの通信ベースでの意見交換及びG9草案作成作業を行い、次の提案文書を2004年7月10日にIMO事務局に提出した。
(1)活性物質の承認のための手順(G9)の検討状況(MEPC52/2/6、ドイツ・日本・オランダ提案、巻末資料集に収録)
 提案文書の概要は、次の通りである。
(1)一般要求事項活性物質製造者(船上製造装置を含む)は、ガイドラインに定められた化学物理的なデータ及び試験方法に従った試験結果を、各国政府を通じてIMOに提出する。IMOは提出されたデータを検討の上、活性物質を承認する。
(2)活性物質のデータセット活性物質又は調合品、及び中間性生物、副生成物、および最終生成物に関して、下記の有害特性に関する情報を提出すること。
・水生生物への影響に関するデータ(急性毒性、慢性毒性、内分泌かく乱物質、発ガン性等)
・環境への影響に関するデータ(分解性、生物蓄積性、野生生物への潜在的物理的影響等)
・人体への毒性に関するデータ(急性毒性、皮膚・眼刺激性、慢性及び長期健康毒性等)
・活性物質製品及び処理後のバラスト水の物理的及び化学的特性(融点、沸点、可燃性、密度、蒸気圧等)
(3)難分解性、生物濃縮性、毒性の評価難分解性(persistence)、生物濃縮性(bioaccumulation)、毒性(toxicity)について、
 活性物質又は調合品、及び活性物質又は調合品を添加した直後のバラスト水との両方について一定の基準(クライテリア)に照らし合わせた評価を行う。
(4)排出バラスト水の毒性試験は、活性物質又は調合品とバラスト水排出液の両方に要求する。D-2基準(特に細菌類の濃度基準)を満たすためには、添加直後において(細菌類に対して)一定の急性毒性を持つことが要求される。一方、環境中にバラスト水とともに排出される際には、この急性毒性が十分に減衰していることが要求される。製品投入直後に一定の急性毒性を認めつつも、排出時[6、12、24時間経過後]には、毒性が充分に減衰していることを確認するため、排出時毒性試験はバラスト水タンクと同条件の擬似タンク水を用いて行う。
(5)承認クライテリア
・難分解性、生物濃縮性、慢性毒性のクライテリアは、3カ国の合意が得られていない。3カ国の意見が併記されている。
・排出時の毒性クライテリアは、3カ国の合意が得られていない。3カ国の意見が併記されている。
(6)MSDSの添付活性物質の取扱において船上での安全を確保するため、MSDSに基づきIMOが物理的、化学的危険性について検証する。
(7)承認手順
・活性物質製造者が基準を満足しうるデータを検証できた場合、申請書及び製品のデータシートを作成し主管庁に提出、主管庁は提出書類をIMOに提出する。
・IMOのテクニカルグループでこれら提出文書を検証し、基準を満足すると認められた場合、IMOのテクニカルグループは、定められた書式に従い各国及び関係機関等に報告した後、IMOにて承認される。
(8)IMOにより承認された、活性物質の製品はIMOの報告書に下記が掲載される。
・製品名
・承認日
・承認失効日
・製造者名
・その他必要な場合その条件
(9)活性物質の承認有効期限は10年承認を継続する場合は、更新審査を行う。
 MEPC52では、G8と共にG9に関しても集中的に審議され、MEPC52プレナリーへの報告文書MEPC52/WP.7.ANNEX 2としてとりまとめられている。さらに、この報告文書は、編集上での若干の修正が加えられMEPC53/2/1として文書化されている(MEPC53/2/1及びその仮訳は、巻末の資料編に収録)。
3.2.3.1 現時点でのG9草案(MEPC52/WP.7.ANNEX 2及びMEPC53/2/1)の構成及び承認手順
 現時点でのG9草案の構成を以下に示す。
 
活性物質を使用するバラスト水管理システムの承認の為の手続き
1 序文
2 定義
3 原則
4 一般要求
同定
活性物質及び調合剤のデーターセット
評価報告
5 リスクの評価
持続性、生物の蓄積及び毒性の評価
処理されたバラスト水の毒性試験
リスクの評価及び分析
6 評価基準
船舶及び人的安全性
環境保護
7 活性物質及び調合剤の使用の規制
活性物質及び調合剤の取扱い
危険物質の記録及び表記
手続きおよび使用
8 承認
基本的承認
最終承認
承認の通知
修正
承認の却下
 
 承認手順は、次のようにまとめられる。
 
活性物質或いは調合剤および活性物質を使用する
バラスト水管理システムのための承認手順
 
3.2.3.2 MEPC53に向けての検討方針
 G9は、MEPC52において上記したように試験・ガイドラインの骨子が作成された。2005年4月のBLG9及び7月のMEPC53に向けては、これら試験・ガイドラインの内容、特に、初期の承認で開発を促進するために重要な基本方針の適否を確認する予備実験を実施し、修正提案を行うことが望ましいと考える。







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