日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2000/03/07 産経新聞朝刊
【主張】中国国防費 理解しがたい顕著な増強
 
 中国政府は、二〇〇〇年度予算案では国防費が前年度当初予算比の一五・一%という連続の大幅増になることを発表した。実際の金額で一千二百五億元(約一兆五千七百億円)という国防費はここ十二年、一貫して二ケタ増で、今年度予算全体では一三%を占める。この伸びだけでも中国が市場経済の拡大と同様の熱意を軍事力の増強に注いでいることが明白だが、公式発表の数字はなお軍事力増強の実態の一部しか明らかにしていない。
 周知のように公表国防費は兵器の開発や生産の経費などを含まず、実際の軍事経費は公表分の三倍から八倍というのが外部の専門家の一致した見解である。核兵器や長距離弾道ミサイルの開発、ロシアから調達した迎撃戦闘機スホイ27のライセンス生産など、みな公表分には入らないことになる。
 軍事全体が秘密のベールに包まれるため、公表国防費は中国の軍事の意図やドクトリンの表明とはならない。この点は日本や米国など民主主義国との基本的な違いである。中国軍部はハイテクはじめ各種の商業活動に手を広げ、巨額の資金を動かしてきた。最近、そのビジネスが表面的には規制されたが、資金面の現状がどうなのか、公表国防費はなにも語らない。
 中国の軍事力はこの不透明性を考慮し控えめにみても、新鋭兵器の開発の実例を眺めるだけで着実で顕著な増強が歴然とする。台湾への武力攻撃の準備は中国には重要なのであろう。だが中国自体への軍事脅威は中国の長い歴史でも現在ほど少ない時期はない。脅威の最も少ない時に近代史上でも最も顕著な軍事増強をなぜ続けるのか。
 中国の軍事動向は、尖閣諸島の領有やシーレーン安全確保からみるだけでも日本にとって重大な意味を持つ。だが日本の政府も政治指導者も中国の軍事動向を正面から論じることを避けがちである。一部には中国の軍事増強の客観事実の指摘を「中国脅威論」として他人事扱いする向きさえある。
 まず緊急な課題は、年間四千億円にものぼる日本の対中資金援助の再考である。政府開発援助(ODA)と旧輸銀の公的資金供与の両方だが、いずれも中国の総合軍事力の増強につながる高速道路、鉄道、空港などのインフラ建設に提供されている。贈与に近い巨額の資金提供が、中国側の軍事支出を容易にする効果も自明である。
 日本政府のODA大綱は援助提供にさいし「軍事支出や大量破壊兵器の開発の動向に十分、注意する」ことを明記している。中国の場合、この「注意」を実際のODAに反映させるのは遅きに失するくらいだろう。
 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。








サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
66位
(29,244成果物中)

成果物アクセス数
156,319

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2017年12月9日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【北朝鮮について】
2.私はこう考える【ダム建設について】
3.私はこう考える【死刑廃止について】
4.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
5.私はこう考える【天皇制について】
6.私はこう考える【国連について】
7.私はこう考える【自衛隊について】
8.私はこう考える【憲法改正について】
9.私はこう考える【教育問題について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から