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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1999/03/16 産経新聞朝刊
【主張】中国全人代 目を離せない経済の行方
 
 中国の全国人民代表大会(全人代=国会)が十五日、閉幕した。会期中、論議の焦点となったのは、失速した経済の立て直しをどう進めるかだった。朱鎔基首相は政府活動報告で、改革・開放路線の継続と七%前後の経済成長率を予測したが、朱首相が公約した国有企業、金融、行政機構の三大改革に残された時間はあと二年しかない。中国経済を取り巻く環境が厳しい中で、朱首相は公約を守れるのか。その行方から目を離すわけにはいかない。
 経済立て直しを進めるうえで、壁となって立ちはだかるのは失業問題である。国有企業改革で再就職先の確保が不十分なまま強力なリストラを実施したため、失業率は実質的に二ケタ近いといわれる。このままでは社会不安が高まり、現体制を揺るがしかねない事態も現実味を帯びてくる。
 朱首相が活動報告で失業者の再就職対策を時間をさいて強調したのもこの危機感からであり、憲法を改正して私有経済の容認にふみきったのも、経済実態を追認するだけでなく、私営企業を活発化させて再就職の受け皿を増やしたいとの思惑があるとみてよい。
 中国経済は昨年目標とした八%成長率を割り込み、七・八%にとどまったが、この数字でもマイナス成長にあえぐ他のアジア諸国の中では、“優等生”のようにみえる。しかし、成長率八%というのは改革の痛みや失業者を吸収して安定的に経済を運営していく最低ラインを意味し、七%成長だと事実上、マイナス成長を意味するとみる専門家もいる。
 成長率が一%下がれば、百万人単位の失業者が出るとの見方もあり、たとえ七%成長が達成できても失業問題は根本的に解決しないのだ。となれば、中国経済は破局一歩前の危機的状況にあるといわなくてはならない。
 朱首相はさらに、国債増発で内需を拡大し、雇用増大に結びつける政策を打ち出し、失業問題に対処する姿勢も明らかにした。だが、国債を引き受ける中国工商銀行など四大国有商業銀行自体、巨額の不良債権を抱え、国債を消化する余裕はない。このため貸し渋りが一層、強まる恐れもある。
 先行き不透明を反映して外国からの直接投資も大きく期待できず、輸出も人民元を切り下げないとの公約でブレーキがかかり、鈍化傾向にある。まさに経済の行方は八方ふさがりの感がある。それでいて、指導部が建国五十周年にあたる今年の最優先課題に「安定」を掲げているのは、経済失速による社会不安の増大という懸念の裏返しともいえる。
 
 
 
 
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