日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1998/03/06 産経新聞朝刊
【主張】中国・全人代 経済構造の透明化が課題
 
 中国の国会に当たる第九期全国人民代表大会(全人代)が五日、北京で開幕し、李鵬首相が政府活動報告を行った。アジアの経済危機の余波が押し寄せかねない逆風の中での全人代となったが、活動報告は「成長率八%、インフレ率三%以内」と高めの成長を続ける方針を明らかにしたうえ、「人民元の安定を堅持する」と人民元を切り下げない決意を表明した。
 この決意表明はアジア経済の安定には大きなプラス材料だが、中国にとっては人民元高による輸出の大幅減少という“出血”を余儀なくされるだけでなく、公約した経済の八%成長にもブレーキがかかりかねない危険もはらんでいる。
 また、この決意表明を裏返せば、中国が高成長を維持しながら、アジア経済の“安定役”を引き続き演じていくことを国際社会に公約したことにもなる。ただ、この公約実現には国有企業、行政機構など中国経済のアキレスけんに改革のメスをいれ、経済体質を強化することが不可欠だという点を指摘しなければならない。
 活動報告でも、国有企業改革の推進が「当面の経済体制改革の重点」と最重要課題として取り組む姿勢を明らかにしたが、大中型の国有企業約一万六千社の半数以上が赤字という厳しい現実を前にどこまで踏み込めるか。今回の全人代で李鵬首相に代わり、首相昇格が確実といわれる朱鎔基副首相の手腕が注目されるところだ。
 国有企業改革と並んで、もう一つの頭が痛い問題は失業問題だろう。すでに、約千二百万人もの失業を抱えているところへ、全人代で打ち出される中央省庁の強力なリストラ策や国有企業改革に伴う人員整理などで新たに約千万人の失業者が出るとの専門家の指摘もある。活動報告も失業者の再就職や生活保障の実現をはかっていくことが「政府の最優先任務」と位置付けたが、失業問題の処理を誤ると社会不安を招きかねないだけに、全人代で選出される新指導部は鼎(かなえ)の軽重を問われよう。
 中国は世界貿易機関(WTO)に未加盟など、国際的な経済体制に組み込まれている状況にはまだない。その中国が国際的な相互依存関係を深めていくには、活動報告に盛り込まれた経済指標や国防費などの不透明な数字をまず改善することだ。不透明なままに経済活性化について多弁を弄しても、国際社会の信頼は得られないということを知るべきであろう。と同時に、透明性の確保が経済をグローバルスタンダード(国際標準)に近づける道であることをも知ってほしい。
 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。








サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
65位
(29,137成果物中)

成果物アクセス数
156,031

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2017年9月23日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【北朝鮮について】
2.私はこう考える【ダム建設について】
3.私はこう考える【死刑廃止について】
4.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
5.私はこう考える【天皇制について】
6.私はこう考える【国連について】
7.私はこう考える【自衛隊について】
8.私はこう考える【憲法改正について】
9.私はこう考える【教育問題について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から