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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1998/03/20 読売新聞朝刊
[社説]世紀をまたぐ中国の新布陣
 
 中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が任期五年の国家指導部の選出、承認を終え十九日閉幕した。中国を主導する共産党首脳部の人事は昨年九月に決まっており、これで来世紀にまたがる党、国家の指導体制ができあがったことになる。
 江沢民・党総書記が国家主席と中央軍事委員会主席に再任され、引き続き党、国家、軍の最高ポストを占めた。江氏が集団指導体制の中核であることに変化はない。
 党内序列二位の李鵬・首相が全人代常務委員長に転出、三位の朱鎔基・副首相が新たに首相の座についた。連続三期の就任を禁止する憲法のルールに沿った最初の平和的首相交代であり、法治の歩みを示す。
 もちろん、朱首相誕生の意味は、その定評のある経済運営の力量と果断な実行力を現在の中国がまさに必要としているところにあろう。アジアの金融危機という厳しい環境のなかで8%成長に挑戦し、もはや待ったなしの国有企業、金融制度、行政機構の三大改革推進の舵(かじ)をとることが新首相の最大の任務である。
 新内閣人事も実務能力重視が目立ち、経済シフト、三大改革シフトと言える。
 李鵬氏の全人代常務委員長就任で注目されるのは、全人代の機能への影響だ。前任の喬石・委員長は、立法、国政監督という機能をそれなりに活性化させた。
 その結果として、たとえば、十九日の会議でも、最高人民検察院(最高検)の活動報告に対し、反対・棄権の批判票が45%近くも出た。党幹部などの腐敗摘発が十分でない、との民意の反映とも言える。
 自身の委員長選出に11%の批判票が出た李新委員長は閉幕演説で、全人代の機能強化をうたったが、そこまで言わざるを得なくなったのは前進だ。当面、一党独裁堅持の限界はあれ、さらなる市場経済化のためには、政治改革は避けられない。
 結局は、民主化の問題が二十一世紀の中国の最大の課題となるのではないか。
 閣僚人事では、四〇年以降生まれの第四世代が約四割と若返りが進んだ。党政治局常務委員中ただ一人、五十歳代の胡錦涛・中央党校校長が国家副主席に選出された。胡氏は将来の国家主席とも目される。
 唐家セン・外務次官の外相への昇格は、唐氏が駐日公使も務めた知日派ということで、日本にとっては手ごわいという見方もある。基本的には、中国の全方位外交に変化はあるまい。中国が平和な国際環境を必要としている事情にも変わりはない。
 ただ、日中関係では、アジア金融危機への対応をはじめ、朝鮮半島問題、環境問題など、日中協調の必要が高まっているのも明らかだ。日米中ロの安定的関係の必要はもちろんだ。四月にはロンドンでのアジア欧州会議(ASEM)の際、橋本・朱鎔基会談が予定されるし、胡副主席も訪日の予定だ。秋には江主席が訪日する。
 日本にとって望ましいのは、責任をわきまえた大国としての中国であり、安定し、わが国と共存共栄の隣国としての中国だ。その文脈で、わが国は筋を通し、言うべきは言う対中外交姿勢を堅持すべきだ。
 
 
 
 
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