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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2003/03/18 毎日新聞朝刊
[社説]中国新指導部 院政で後退する政治近代化
 
 中国の全国人民代表大会(国会)で国家主席や首相が決まった。昨年秋、共産党第16回大会で50〜60歳代に若返った政治局常務委員、政治局委員が、政府や国会のポストについたのである。
 政治局の序列第1位、胡錦濤総書記は、江沢民氏に代わって国家主席(国家元首)になった。第2位の呉邦国政治局常務委員が全人代常務委員長(国会議長)に、第3位の温家宝政治局常務委員が首相になった。
 江総書記・朱鎔基首相から胡総書記・温首相に世代交代した。だが、同時に、「江沢民院政」も完成した。
 中国の経済改革は、驚異的な高度成長をもたらしたが、政治の近代化は遅れている。このアンバランスを放置すれば安定は揺らぐ。
 江院政とはなにか。70歳定年を超えて党中央軍事委員会主席に残留した江氏が、今回の全人代で国家軍事委員会主席にも再選された。胡主席は党、国家両軍事委の副主席である。江氏の序列は胡総書記より上になる。
 一党独裁政党のトップである総書記は、本来なら軍事委主席を兼務するのが筋だ。なのに、ヒラ党員の江氏が軍事委主席になり、総書記と国家主席の上にいる。
 中国では、昔から「名が正しくなければ、言は順わず(したがわず)」と言う。名目と実体がねじれると政治は筋が通らないという政治哲学だ。院政のような変則的体制は中国になじまない。国家軍事委主席の投票用紙に胡氏の名が交じっていた。院政への疑問がくすぶっている証拠である。
 しかも江氏の腹心、曽慶紅政治局常務委員が国家副主席になった。曽氏は、党中央書記局筆頭書記で、党務でも総書記に次ぐ地位にいる。
 温首相と胡主席は、青年時代に同じ甘粛省政府で働いた仲だ。しかし、筆頭副首相は江氏直系の黄菊政治局常務委員になった。
 新しい中国の指導部は、共産主義青年団を基盤とする胡主席・温首相ラインと、江氏系の曽副主席・黄副首相ラインの二本立てに見える。政治協商会議主席になった賈慶林政治局常務委員も江派。投票で曽氏、賈氏、黄氏に1割前後の批判票が出たのは、江派系勢力があまり目立つからだろう。
 中国はすでに国内総生産(GDP)規模でイタリアを抜いた。さらに、胡温体制の下で、08年の北京五輪、10年の上海万博を目標に7%成長を維持し、20年にGDP4倍増の経済大国を目指す。
 しかし急激な経済成長は、深刻な所得格差の拡大をもたらした。新指導部が、内陸の貧困地域に資金や人材などの配分を移そうとすれば、沿海地域の富裕階層は、その既得権益を維持するために政治的な影響力を強めようとして、摩擦が高まる。
 国内の対立を乗り切るには、新指導部が名実ともに一体でなければならない。同時に、「広範な人民」を政治に参加させる政治改革が避けられない課題だ。そうであれば、院政は中国の政治改革にとって一歩後退だった。
 
 
 
 
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