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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2002/03/10 毎日新聞朝刊
[社説]中国全人代 開国の衝撃にどう耐える
 
 中国が世界貿易機関(WTO)に加盟して最初の全国人民代表大会(国会)が開かれている。
 朱鎔基首相は「政府活動報告」の中で「競争力の弱い業種や企業はかなり大きな打撃を受ける」と、国民に覚悟を求めた。
 鎖国状態の中国が「竹のカーテン」を開けて、日本との国交を回復してから今年で30年たつ。89年にトウ小平氏の指導で改革開放政策が始まり、10年前のトウ氏「南巡講話」で市場経済にハンドルを切って、昨年、WTOに加盟した。
 この数年の中国経済は「独り勝ち」と言われるほどの勢いだ。「中国脅威論」が出るほど国際的な地位も高まった。
 とりわけ日本にとって、中国は輸出でも輸入でも米国につぐ第2の相手国に成長した。安くて品質のよい中国製品が日本の市場にあふれている。中国が手ごわい競争相手であることは間違いない。
 だが輝かしい光は、暗い影を作る。中国の抱えている試練の大きさを理解する必要もあるだろう。
 朱首相の報告は、外交の比重が軽かった。米国の覇権主義や日本の歴史認識への批判を避け、関係改善を強調した。台湾問題さえ、「大陸と台湾はいずれも一つの中国に属す」と、柔らかだった。
 中国は、外に顔を向けている余裕はない。WTO加盟で輸入品の関税が下がれば、立ち遅れた中小の国有企業は倒産する。競争力のない農産物を作っている農民の生活は苦しくなり、都市に流れ出すだろう。今年、失業率は3.6%から4.5%に上がるとされているが、すでにその倍以上の失業者がいるという研究者もいる。
 朱首相の改革で、昨年、大型国有企業500社が2000億元(約3兆2000億円)の黒字を生んだ。だが、その95%がエネルギー、通信などの巨大10社に集中しているのが実情だ。
 家電などの生産性の高い外資系企業や私営企業も、すでに生産過剰だ。頼りの輸出は、得意先の日米が不況で、伸び悩んでいる。
 国内総生産(GDP)7%の成長目標を維持できなければ、社会不安に火がつきかねない。朱首相は、持続的成長のカギを内需拡大に求めているが、4年連続の赤字国債発行で、財政状態の悪化が懸念されている。
 しかも農民の収入は下がっている。地方では、役人や警官、教員に給料が払えない。役人は勝手な課徴金を農民からしぼりとっている。幹部は中央政府の命令を聞かず、汚職が横行している。予算を勝手に流用して、見えを張るための豪華なビルを建てたり、派手なイベントで浪費している。
 「法律があっても従わない、ちゃんと執行しない」状態は改まっていない。外国から批判を浴びているコピー商品は、法律無視の風土から生まれてくるのだ。
 首相の指摘する問題は、どれも深刻だ。それなのに軍事費だけは連続14年、2けたの伸びを続けている。WTO加盟の痛みに耐えようとする中国を理解すればするほど、突出した軍事費の増え方は理解できない。
 
 
 
 
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