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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1999/10/03 毎日新聞朝刊
[社説]中国建国50年 民主・文明備えた富強国に
 
 中華人民共和国が建国50周年を迎えた。
 建国記念日の1日、北京では15年ぶりの軍事パレードが行われた。新型の戦略核ミサイル「東風31」も参加した。
 天安門上には、江沢民総書記(国家主席)をはじめ、共産党政治局のメンバー、OBが並んだ。
 国民が選んだ指導者ではない。国民を指導する独裁政党の指導者が、軍事パレードを閲兵して、外には軍事力を、内には党の威光を誇示する。いかにも社会主義国らしい光景である。
 旧ソ連は、毎年軍事パレードをしていた。だが、ソ連共産党の一党独裁体制は、70年余りで崩壊し、赤の広場の軍事パレードもなくなった。
 もし一党独裁体制の限界が数十年で来るなら、中国共産党は、21世紀前半には根底的な政治改革を迫られる。「中国の特色ある社会主義」には、永遠に中国を統治する神通力があるのだろうか。
 江主席は天安門から「富強・民主・文明の社会主義」という21世紀の国家目標を提示した。
 「民主・文明の社会主義」がどのようなものか、まだわからない。だが「富強」が、経済と軍事力の重視であることは明らかである。
 毛沢東は、建国当初の中国を「一窮二白」(一に貧困、二に空白)と言った。新中国は、日中戦争と国共内戦で疲弊した国土の上にゼロから出発した。
 内政では大躍進、文化大革命という重大な失敗を重ねた。国際的には、西側の中国封じ込めや、中ソ対立で孤立が続いた。この厳しい時代には、毛沢東個人崇拝と一党独裁の統治は有効だった。
 トウ小平時代になって、改革開放政策に転換し、急速な経済成長が始まった。
 建国初期の1952年、わずか679億元だった国内総生産(GDP)は、98年には7兆9553億元と100倍を超えた。いまや米、日、独、仏、英、伊に次いで世界第7位の経済規模である。
 国際社会では、核拡散防止条約(NPT)体制下で核兵器保有を認められた5大国の一員として、多極化世界の一極を担っている。
 トウ小平体制を引き継いだ江沢民体制の課題は、来世紀の中葉までに、国全体ではなく、1人当たりの所得を中進国水準に高めることである。
 アジア各国では、国民一人一人の経済力が高まるにつれて、開発独裁は民主化の波をかぶった。中国だけが例外ではないだろう。
 中国憲法は、言論の自由も、結社の自由も、信教の自由も、基本的人権はすべて保障している。
 だが、憲法の前文で「国権の最高機関である全国人民代表大会(国会)は共産党の指導を受ける」という一言があるために、共産党が憲法を超える力を持つ。民主化とは、党の指導を共産党が否定することだ。
 建国100周年を祝う時、天安門上には、国民から選挙で選ばれた「民主」的共産党指導者が立っているだろうか。「文明」の中国が、世界の核全廃運動の先頭に立ち、米露を含めたすべての非文明的な核ミサイルを地上から追放しているだろうか。
 「富強・民主・文明の社会主義」が、中国流の手順による民主化のことである、と期待したい。
 
 
 
 
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