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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1992/10/20 毎日新聞朝刊
[社説]ポスト、トウ小平体制は固まったか−−中国共産党大会
 
 第十四回中国共産党大会と、それに続く新しい中央委総会が終わり、今後五年間にわたって中国を導く政策路線と指導部の人事構成が決まった。
 「社会主義市場経済」に基づく中国の開放的な経済政策が、来世紀にまたがって継続されることが党規約でも保証された。中国経済が市場メカニズムに基づいて運営されるのは、国際社会からも歓迎されるであろう。
 今回の党大会は、最高指導者、トウ小平氏の改革・開放政策にかける意気込みに覆われた大会だった。まさにトウ大会といってよく、党規約の綱領部分に同氏の「中国の特色をもつ社会主義建設についての理論」が書き込まれたことで、トウ小平氏は歴史に残る存在になったといえよう。
 だがトウ小平氏が後に重大な問題を残したのも事実である。今年春から精力的に活動を続けてきたトウ小平氏にとって、今大会の成果は大勝利には違いない。だがこの成果は同氏の個人的威信なくしては獲得されなかったことが問題である。
 党規約にまで書き込まれたトウ小平路線が、トウ氏が世を去った後でも堅持されるためには、トウ路線を奉じる指導者がトウ氏に匹敵する威信を持つか、指導グループが一致団結していなければならない。
 党規約あるいは憲法に書き込まれても、それだけでは法的、制度的に保証されたとはいえないのが、伝統的な中国の政治である。故毛沢東主席もそうだったが、トウ小平氏も超法規的に君臨し支配しており、それがまた同氏の弱点にもなっている。
 その意味で注目されるのは、新しい指導部の人事構成である。その点で新中央委員、政治局員、政治局常務委員はずいぶん若返った。保守派長老とイデオローグの退潮は著しい。
 保守派の抵抗は激しかったようだが、中国の現状ではもう保守派の活躍する場がなくなっているのが現実である。中国の経済は、トウ小平氏の指導十四年の間にすっかり国際経済のネットワークに組み込まれており、例えば中国は、近く関税貿易一般協定(ガット)に加盟を認められる予定になっている。加盟に合わせて国内の金融制度の改革が行われるはずで、中国経済はもはや正統的な計画経済論者の手に負えなくなっているのである。
 中央委員をはじめ新指導部に若いテクノクラートが大量に登用されたのは当然である。二十一世紀に通用する陣容という評価もその通りであろう。だが将来、トウ小平という重しがとれたときに、指導部が団結を維持できるかどうかは別問題だ。最高指導部内の若手にも、保守派長老に高く評価されていた人々が交じっているのである。
 市場機能に基づく高度成長はインフレと隣り合わせである。現に中国もその例外ではない。さらに財政赤字、国営企業の不振、多額の不良債権、人口の流動など、改革政策の足をすくいかねない問題が無数に存在している。
 中国の特色をもつ社会主義で、中国は社会主義の国際的退潮傾向を食い止めることができるだろうか。
 
 
 
 
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