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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1991/03/27 毎日新聞朝刊
[社説]中国は経済と軍事重視へ
 
 「人民の生活をまずまずの水準に到達させることは、中国の近代化実現の第二段階の戦略目標である」
 二十五日開幕した全国人民代表大会に提出した政府活動報告の中で、李鵬首相はこう述べている。
 「まずまずの水準」の前段階として「衣食の問題がどうやら解決された状態」があり、現在の中国ではこの目標はすでに実現されたと、報告はいう。
 「ほぼ四十年の時間を費やして」第一段階の目標を達成した中国は、開会中の全人代を出発点として、第二段階の目標を今世紀末までの十年間で達成しようとしている。
 報告は「これが雄大かつ極めて困難な歴史的任務になることは疑いない」と強調している。まさにその通りだが、十億を超える人口を持つ中国で、この野心的な目標が達成されれば、日本や朝鮮半島を含めた東アジアに巨大な経済圏が成立することを意味する。
 来世紀をにらんだ歴史的任務に取り組む中国に、日本はアジアに位置する経済大国として重要な貢献ができるだろうし、それは結局日本の利益にもかなうはずである。
 天安門事件の後、中国は「政治第一」の時代へ回帰する気配を見せた。だがやはり「改革と開放」の八〇年代が積み上げた実績は重かった。李鵬首相の報告はこのことを告げている。つまり経済発展なしには、国内的にはもはや政権の正統性を国民に納得させることはできないし、国際的には、大国としての影響力を発揮することもできないのだ。
 だが今後の経済運営が順調に進む保証はない。経済改革の最大の難関である価格改革について具体的な提言はないし、開放経済と地方分権で潤っている沿海地方各省と、財政赤字に悩む中央政府の対立関係をどうするのかについても、具体的な言及がない。市場経済と計画経済のバランスについても同様だ。
 李鵬報告は、赤字財政の中で「国防近代化、国防費増加、新兵器開発」を、今後十年の重点にすると強調し、一方で「日本軍国主義の復活」への警戒を呼びかけた。湾岸後の米国に対する警戒心も見せている。「新国際政治秩序」の確立も主張しており、中国は湾岸戦争後の新しい国際政治の枠組みに、積極的に参加する気構えのようである。
 全人代開会に先立つ李鵬首相と中尾通産相の会談で、李鵬首相は日本が意欲を持っている国際的な武器輸出管理制度を創設する問題には、冷ややかな反応しか示さなかった。
 北方領土問題でのこれまでの明確な日本支持も、あいまいなものに変わっており、中国の外交政策の中でソ連の占める比重が重くなっていることがうかがわれる。
 日本の対中経済協力に大きな方向の変化はなく、その必要もない。だが今回の李鵬報告には、冷戦後もしくは湾岸後の国際政治の枠組みの中で、中国の対米、対日政策に微妙な修正があったことが感じられる。
 日本の対中政策は、今後難しさを増していくに違いない。
 
 
 
 
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