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「中国福建省博物館体験見学会」実施報告書

 事業名 博物館体験事業の先駆的モデル調査
 団体名 日本海事広報協会 注目度注目度5


(7)福州市博物館(福州市)
・訪問日 2004年7月1日
・博物館対応者 館長 張振玉
 福州市は記録に残ったものだけでは2200年の歴史がある。福州市博物館は市の対外交流施設の一つとして約8000万元の総工費をかけ、2000年からオープンした。建物は福州市の民家と船のイメージを取り入れており、一部5階部分を除くと3階建てである。職員は30名で、このうち高等学芸員5名、中等学芸員4名である。開館してからの入館者数は40万人、日本からも年7〜8回、来館するとのこと。
 展示内容は南宋地帯の発掘物のほか文物を中心に約9000点である。福州市の貝器、住居跡など古代の歴史から始まり、市内で発見された独木舟(復元)、唐五代期、宋元期、明清期などの建物や経済、政治及び社会生活全般について紹介している。
 とくに印象に残ったのは「南宋古尸的科学研究」コーナー。短いトンネル状の入り口を入ると棺をイメージした小部屋になっており、南宋古墓から発掘された男女1体ずつがホルマリンの入った透明のケースの中に仰臥している。副葬品の展示もあり興味を引いた。
 なお、民俗コーナーでは一般市民生活用具、美術工芸品などが多数展示されており、日本と中国の近代の生活用具が同様だったのが認識できた。また、巡游展「珍歳弥勒佛」が開催されており、数多くの布袋像が陳列されていた。同館は写真撮影は禁止である。
 
(この項JETRO上海赤星氏報告書より)
 海外との交流史に関しては、漢の時代から始まった海外貿易が、宋が中国を統一した10世紀以降ますます盛んになり、その後、明の時代には福州が造船と船員確保における中国の一大基地となっていたことが、展示から伺われる。
 ちなみに明代にアフリカまでの大航海を行った鄭和は、必ず福州市長楽に船団の整備と補給のために寄港している。また、清代後期の1866年には福州市に船政局が設置され、その下で造船所が運営され、1907年までの約40年間に木製商船と製鉄軍艦合わせて約40隻が建造された。関連資料から、当時、近代造船工業の発展と近代海運の整備に力が注がれた様子が伺われる。
 
・訪問日 2004年7月1日
 鄭和(1371年〜1435年、雲南省生まれ)は1405年〜1433年までの間に永楽帝の積極外交政策の一環として合計7回、大艦隊を率いて東南アジア、インド洋、ペルシアや一部はアフリカ東岸まで遠征を行った。南京近くの太倉港を出た艦隊は陳列館のある長楽市に寄港して食料の補給や風待ちを行った。当時の港である太平港は長い年月により自然に土砂がたい積し、面影は見られないとのこと。
 鄭和史迹陳列館は市内の小高い丘の上の鄭和記念公園の中にあり、1984年に建てられた。2階建てで1階には鄭和の足跡をコーナー別に細かく分けて紹介。とくに注目されるのは、7回目の航海で風待ちの際に当地で書いた石碑「天妃霊應之記」。6回までの無事に航海を終えることができた感謝と7回目の航海の安全を祈念した内容が記されている(鄭和はこの7回目の航海のとき洋上で亡くなり、江蘇省に埋葬されている)。また、鄭和船団の旗艦は「宝船」といわれ約500tの大きさで、その模型船も展示されている。
 2階は鄭和が福建省滞在中に活動した遺跡の分布図のほか鄭和関連の写真や資料も展示されている。
 2005年は鄭和の大航海開始から600年にあたり、中国ではその偉業を記念して北京では記念大会や展覧会、上海で国際海洋博覧会を開くなどの計画がある。
 昼食会に招待して下さった林長楽副市長もわざわざ随行していただき、最後は高速道路の入り口でわれわれのバスを見送って下さった。
 
・訪問日 2004年7月2日
 唐代に創建された1000年以上の歴史を持つ仏教寺院であるが、建物は比較的新しい。天王殿、大雄宝殿、大悲殿など建物が奥に続いている。平日にもかかわらず中国国内から来た観光客が多く、中は多くの熱心な参拝客でひしめき合っている。うっかりしていると迷子になるか、線香で服を焦がされるのではないかと思うほど、混み合っている。
 ちなみに南普陀寺という名は浙江省に中国の仏教名山である普陀山がり、その南に位置することから呼ばれるようになったとのこと。
 古里山砲台はアモイ島の南海岸の古里山にある砲台。金門島が目の前に見える海抜26mの位置に10門が残っているが、注目は巨大なドイツ製の砲。ドイツから2門を購入したが現在は1門が残っている。砲身の全長は14m、口径は28cm、重さは60t。ドイツから約2年の歳月をかけて運んだとのことだが、実際に発射されたのは1920年代2回、30年代1回だったとのこと。
 市内の観光名所の一つで観光客の姿も多かった。
 
 今回の見学会では泉州海外交通史博物館(前述)、福州市及び長楽市主催の食事会に招かれ、それぞれ副市長から下記のメッセージをいただくとともに懇談の機会を得ることができた。
 
・中国福州市副市長 陳 奇氏の歓迎の挨拶(6月30日夕食時、福州市内丁山堂)
 今回多くの日本の博物館関係者の方々とお会いできて大変うれしく思っています。福州市は2200年以上の歴史があり、市内を江が流れ、海に面しており、古くから航海にかかわりがありました。最近では江の中から10mほどの板独木船が発掘されるなど、歴史的に貴重な遺跡や文化財をもっております。また、古くから華僑が海をわたり、日本をはじめ各国で活躍し、交流を深めております。近代に入ってから福州市は対外交流のための5つの港の一つになっており、日本とも経済交流が盛んに行われております。今回の訪問を機に文化、体育などの面でより交流が深まることを期待します。お互いに頑張りましょう。
(同席 同人民政府外事弁公室 游副主任)
 
・団長 石原義剛訪問の挨拶
 今回おもに海や船にかかわる日本の17の博物館及び4つの関連機関の職員が当市を訪問いたしました。この中には鄭和や鄭成功などの研究者もおります。さきほどバスの中から市内の様子を拝見し、市民のみなさまの活発な暮らしぶりに驚きました。今回の訪問を機に福州市博物館等を日本のみな様にPRをするとともに、中国のみなさまを是非日本の博物館へお迎えしたいと思います。
 
・長楽市副市長 林 建秀氏の歓迎の挨拶(7月1日昼食時、長楽市内天一酒店)
 人口68万人、20kmの海岸線をもつ長楽市は鄭和が7回の海外遠征航海を行った際に寄港し、足跡を残した歴史的に意義のある市です。その鄭和の記念館を訪問されると知って大変光栄です。鄭和が友好の使者として海外遠征に出てから600年がたち、これを記念して当市でも関連イベントを行います。その記念すべき年に多くの海や船の研究者をお招きできうれしく思います。
(同席 同人民政府外事弁公室 程主任)
 
 今回訪問した博物館は中国福建省にある博物館である。日本から空路厦門市へ入り、専用バスにより泉州市を経て福州市へ、そしてまた厦門市へ戻るという3泊4日、往復約700キロのややハードなスケジュールであった。その間に博物館の見学はもちろんのこと関係者との懇談、さらには福州市陳奇副市長による晩餐会、長楽市林建秀副市長による昼食会に招待していただくなど、思いがけない多くの方々との出会いがあった。各訪問先では自己の研究内容についての情報交換や交流を深める参加者の意欲的な姿があった。
 訪問した施設は厦門市は鄭成功記念館、泉州市は海外交通史博物館、泉州湾古船陳列館、福州市は福州市博物館、琉球人墓、琉球館、長楽市は鄭和史迹陳列館などである。当初、見学予定だった州島の媽祖廟は、台風7号の影響により島を結ぶ船が欠航のため断念。急遽媽祖誕生の地といわれる観光イメージの強い場所の見学に変更した。
 各館の展示内容についての感想は専門家である参加者に任せるとして、一つ気になったことは、各館ともいわゆるミュージアムショップやパンフレット類がほとんどなかったことである。日本の博物館はともかく、昨年訪問したフランスの塩田博物館や船の博物館でも自館の展示にかかわる商品や当該地の土産物までを扱ったショップがあった。しかし、今回は泉州海外交通史博物館が比較的充実(自館発刊の図書や関連図書、資料の販売をしており、内容も充実していたが、ショップという洒落たつくりはなく、博物館入口の一画に書棚があるのみ)していた以外は、各館ともないに等しいといってよかった。博物館は「研究機関であり、資料の収蔵機関である」といった鄭成功記念館の何副館長の言葉がうなずける。
 主催者として、訪問の主眼を調査研究にするかあるいは交流にするかなど的をしぼったうえ、もう少しゆとりのあるスケジュールが組めなかったかなど反省すべき点は多々あるが、病人等がでることなく参加していただいた全員が無事に帰国できたことには正直安堵した。
 それとともに今回の見学会の催行にあったっては多くの方々のご協力をいただいたが、とくに以下の方々のお力添えに対してあらためて御礼申し上げたい。
 事前調査をして下さったうえ、4日間われわれのお世話をして下さったJETRO上海の赤星貞夫氏。泉州海外交通史博物館との事前折衝や謝教授、聶教授への講師の依頼のほか見学会の要所々々で通訳を引き受けて下さった武蔵野美術大学教授廖赤陽氏。そして4日間同行してくださった福州市人民政府外事弁公室処長張萍氏。
 最後に参加者からいただいた参加レポートの中から一文を紹介する。
 「中国と日本における博物館の取り扱いの違いや展示方法、さらには博物館の地域における存在意義に大きな違いがあるように思われ、非常に勉強になった。まったく環境の異なる博物館を見学することで、自分の所属する博物館をあらためて見つめなおす良い契機になった」







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更新日: 2022年11月26日

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