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IV 住民アンケート調査結果
1 調査の概要
 鹿児島県内の離島住民に対してアンケート調査を実施し、外出状況や交通バリアフリー化に関する問題点、改善要望等を調査した。実施状況は以下のとおりである。
 
表3 各市町村抽出数
対象 対象数 有効回答数 回収率
一般住民(各市町村・各島に年齢別・男女別に一定数を配分) 1,213 789 65.0%
身体障害者
(離島部の各身障協会、視覚障害者団体、聴覚障害者団体に一定数を配分)
350 139 39.7%
合計 1,563 928 59.4%
 
2 外出行動の特徴
 島外への外出頻度についてみると、高齢になるほど、また歩行が困難になるほど、外出頻度は低下し、ほとんど外出しないという人の割合が高まる傾向にある。
 島外への外出時の交通手段については、奄美地区を除いてほとんど船が利用されており、奄美地区でも、飛行機が多いものの、船が約半数を占めている。
 
3 交通バリアフリー化に関する問題点
(1)海上旅客輸送利用時の問題点全般
 海上旅客輸送を利用する際の問題点として、「船酔いが心配である」「船の乗り降りが一人では大変である、できない(乗下船が困難)」「港までの交通手段がない、不便である」といった回答が多い。
 これを年齢別にみると、75歳以上の後期高齢者で「乗下船が困難」をあげる人が多いほか、高齢になるほど「途中で体調が悪くならないか心配である(体調への不安感)」や「トイレが心配である(乗船中のトイレ)」という回答が多くなる。
 また、何らかの身体障害のある人でも、高齢者と同様の傾向がみられる。
 
V ケーススタディの実施
1 対象地域の概要
 IIで設定した離島航路の4類型のうち、3類型の航路が就航し、1地域で多様な類型の検討が可能となる瀬戸内町を対象地域として、ケーススタディを実施した。
 瀬戸内町は奄美大島の最南端に位置し、大島海峡を挟んで本島側と加計呂麻島・請島・与路島の3島から構成される。瀬戸内町の高齢化率(2000年)は30・7%であるが、加計呂麻島・請島・与路島ではいずれも50%前後と高い。役場のある古仁屋が町の中心となっており、奄美大島から他の3島への定期航路は、いずれも古仁屋港が起点となる。
 表4は対象航路を類型別に整理したものである。瀬戸内町の港湾に就航する航路は、鹿児島〜喜界〜知名航路、瀬相〜古仁屋〜生間航路、与路〜古仁屋航路の3航路であるが、瀬戸内町から鹿児島市への船による移動では、名瀬港に寄港する鹿児島〜那覇航路が多く利用されていることから、鹿児島〜那覇航路を加えた4航路を対象とした。
 
表4 ケーススタディ対象航路
航路類型 航路名 事業者名 船舶就航年
大型フェリー航路
(本土〜外洋型離島)
鹿児島〜喜界〜知名 奄美海運 1989、1995
大型フェリー航路
(本土〜外洋型離島)
鹿児島〜那覇 マリックスライン大島運輸 1992、1993、1994、1999
小型フェリー航路
(離島相互間)
瀬相〜古仁屋〜生間 瀬戸内町 1994
一般旅客船航路
(離島相互間)
与路〜古仁屋 瀬戸内町 2003
 
図6 島外への外出頻度(年齢別)
 
図7 島外外出時の交通手段(地区別)
 
図8 海上旅客輸送を利用する際の問題点
(複数回答n=928)







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