(2)RR: 船舶関係諸基準に関する調査研究
船舶の安全確保と海洋の環境保全に寄与することを目的として、国際海事機関(IMO)における海上人命安全条約(SOLAS条約)及び海洋汚染防止条約(MARPOL条約)等の基準の制定・改正作業に対応して必要な基準案を作成し、また、条約化された基準の適切かつ合理的な国内取入れのための作業、その他安全・環境に係る国内基準案の作成等を行っています。
平成16年度は19のプロジェクト及び調査検討会、延べ約210名の委員によりIMOの作業計画、議題に沿った調査研究を行い、基準案の作成等を行うこととしています。
RR事業内容
プロジェクト及び調査検討会 |
調査研究内容 |
MP1(船体構造強度) |
新世代船体構造強度基準の作成 |
2(防災・救命・通信) |
次世代救命システム基準の作成(SOLAS第III章改正の方向性の検討) |
3(大気汚染防止) |
大気汚染防止基準(次期NOx排出規制値の具体案)の作成等 |
SP1(漁船安全) |
漁船の事故発生防止対策の策定 |
2(損傷時復原性) |
SOLAS条約の損傷時復原性規則に関する改正案の作成 |
3(乾舷規則) |
満載喫水線規則(乾舷規則)の改正案の作成 |
4(非損傷時復原性) |
非損傷時復原性コード改正案の作成等 |
5(燃料タンク防護) |
大型船の燃料油タンク防護基準の作成 |
6(航法システム) |
航海情報の統合、表示に関する基準の検討 |
7(VDR) |
浮揚式VDRに関する技術基準の作成 |
8(安全評価) |
船舶の総合的安全評価手法による安全性向上策の作成 |
9(バラスト水処理基準) |
バラスト水の性能基準、バラスト水の検査方法についての検討等 |
10(統合ビルジ処理) |
統合ビルジ処理システムに関するガイドライン改正案の作成 |
R1(人的要因) |
海難事故における人的要因に関する調査検討 |
2(防火) |
船舶の防火に関する調査検討(SOLAS対応) |
3(原子燃料輸送) |
原子炉解体に伴う放射性廃棄物の海上輸送に関する調査研究等 |
4(不具合情報) |
船舶安全法の検査による減速機等の不具合に関する調査検討等 |
5(液体貨物) |
MARPOL ANNEX IIの改正に伴うIBCコードの見直し等の検討 |
6(バルクキャリア) |
SOLAS XII章の改正案についての検討 |
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(1)MP、SP: 基準案の作成に係る調査研究プロジェクト
MP: 複数年にまたがる中期プロジェクト
SP: 単年度で終了する短期プロジェクト
(2)R: 基準案に係る調査検討会
○IMO国際会議等への参加
基準研究関係の委員会で作成された基準案が条約基準として採択されるように、IMOの委員会及び小委員会等に出席して我が国提出文書の趣旨説明等を行うとともに、国際動向の調査及び各国関係者との意見交換を行っています。
(3)GS: 低環境負荷型外航船の研究開発
2004年2月、IMOにおいて「船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約」が採択されました。この条約は、有害な水生生物や病原体の移動による環境、健康、財産、資源への危害を防ぐことを目的としています。条約が発効しますと、他国の管轄水域を航行する船舶は、設定された処理基準に合ったバラスト水処理を行うことになります。この対策として次の研究を会員と学・官の共同研究として実施しています。
(1)ノンバラスト船の開発(平成15〜17年度)
荷積港海域で排出されるバラスト水により、バラスト水に含まれる海洋生物も必然的に移送・排出され、移送先海域の生態系変化を引き起こして問題となっていますが、ここではバラスト水の海域間移送を伴うことなく安全航行が可能な船型(ノンバラスト船型)の研究開発を行います。
(2)船舶搭載型高速バラスト水浄化システムの試験研究(平成15〜16年度)
バラスト水管理条約に設定された処理基準を達成し、かつ、低イニシャルコスト、低ランニングコストで、既存船にも容易に装備が可能なバラスト水浄化処理装置の開発を行います。
(4)運輸分野における基礎的研究推進制度への参加
(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構が実施している標記制度(16年度)に東京海洋大学等(当会及び当会会員を含む)7機関が共同で「革新的推進動力同期電動機に関する研究」を応募した結果、この提案が認められました。このため、3カ年計画で高温超電導線材を利用した小型、高出力、高効率の電動機を共同で試作し、関連するエンジニアリング技術基盤を確立することとしております。
(5)造船技術開発業務
造船技術に関する研究開発の総合的計画の企画に資するため、主要研究機関の実施計画及び基盤的研究開発課題の動向について調査を行います。
(6)その他
(1)研究の成果報告及び国際基準等の広報活動
RR研究に関しての成果報告会を開催しています。
(2)広報事業
造船研究の概要、SR研究の成果、RR研究の課題、IMOの基準作りに対する提案等我が国船舶工業の発展、海上輸送の効率化や安全、環境保全等に技術の向上を通じて貢献する本会の事業活動を紹介するため、ホームページを拡充・充実して会員等への周知を図っています。
(3)技術開発に係る表彰の推薦
造船並びに舶用工業における発明考案に係る国土交通大臣、地方運輸局長表彰等の推薦を行っています。
発明考案に係る受賞者数の推移
区分 |
5年 |
6年 |
7年 |
8年 |
9年 |
10年 |
11年 |
12年 |
13年 |
14年 |
15年 |
16年 |
国土交通大臣表彰 |
2 |
2 |
4 |
4 |
3 |
3 |
3 |
2 |
3 |
3 |
2 |
2 |
地方運輸局長表彰 |
9 |
10 |
11 |
10 |
13 |
7 |
3 |
6 |
4 |
9 |
8 |
4 |
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