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はじめに
 
 
 本会は創立以来、その時代が抱える技術課題について、会員のイニシアティブの下大学・研究機関等の協力を得て、それぞれが得意の分野を担当し効率的に研究を行う、いわゆる産・学・官の共同研究の中核体として、海運、造船、素材、関連機器等の研究を実施して来ました。
 この活動は、国土交通省のご指導の下に日本財団の長年にわたる多大なご支援を受けつつ行われ、その成果は技術の向上を通じて、我が国船舶工業の活性化と、さらには海上輸送の効率化、安全性向上、環境保全等に多くの貢献をしてまいりました。
 しかし、日本の造船業界は国内外で厳しい競争に直面するようになり、各社の共同研究に対する基本姿勢も変化し、会員から技術開発課題が積極的に提案されなくなりました。
 このため、本会の共同研究と開発のあり方について見直す必要が生じてきました。
 当会は、重要課題選定方針検討委員会(委員長 影本 浩 東京大学工学部教授)を設置し、造船、海運等の中核の方々にご参画いただいて検討し報告書を取りまとめましたが、そこには、中・長期戦略に基づいたテーマの公募と新フォーラム/新プラットホームの設置と同プラットホーム主導による既存枠にとらわれない研究開発の実施、大学の有効活用や独立行政法人との連携強化実現への方策などが提言されております。
 共同研究の仕組みや日本の造船業や舶用工業の“あす”のためにも、この新しい発想とあり方に賛同される方々とともに、真に役立つ共同研究を行い、成果を挙げてゆきたいと思います。
 皆様のご理解とご支援をお願いします。
 
会長 星野二郎
 
 本会は、昭和27年6月民間における船舶技術の共同研究の中核体として設立されて以来今日まで52年間、船舶の巨大化、高速化、専用化、自動化、省エネ、安全性向上あるいは環境保全等時代のニーズを踏まえた船舶技術の研究開発を推進し、多大の貢献をしてきました。
 本会の事業は、産・学・官の力を結集した共同研究を通じて技術の向上を図り、造船・海運の発展とさらには輸送の効率化や安全性の向上・環境の保全など公益の増進に寄与するため、主として次の事業を行っています。
 
(1)SR研究:船舶・造船・海運・海洋に関する基盤的技術を中心とした研究開発
(2)RR研究:船舶の安全性向上及び海洋環境の保全に関する調査研究
(3)低環境負荷型外航船の研究開発
(4)造船技術開発関係業務
 
 本会は、技術の向上を通じてこのように社会の役に立つよう努力しています。
 
 本会は、その事業の高い公益性から国土交通大臣による特定公益増進法人の指定を受け、本会及び会員に対して税制上の優遇措置がなされています。(所得税法及び法人税法関連)
 また、人事院から人材交流に関する試験研究機関の指定を受けています。
 
昭和27年6月 発足
 昭和26年12月4日付運輸大臣諮問第2号「現在我が国における造船技術の向上を阻んでいる隘路とその対策如何」に対する造船技術審議会の答申に基づき昭和27年6月13日任意団体として設立された。会員は社団法人日本造船工業会ほか造船・海運5団体あわせて6団体で発足する。
7月 研究事業の開始
 産・官・学の共同研究(SR研究と略称)として、主として運輸省の科学技術応用研究補助金による研究事業を開始する。
昭和28年5月 法人格の取得
 昭和28年5月18日運輪大臣から「社団法人日本造船研究協会」の設立が認可される。
昭和37年4月 会員数の拡大
 これまで7団体であった会員数は、団体会員11、造船会社会員27、海運会社会員15、関連工業会社等会員4と一挙に拡大する。
6月 部の設置
 事務局に部制を設け、総務部・研究部・標準部(43年廃部)の3部を置く。
10月 日本船舶振興会補助事業開始
 財団法人日本船舶振興会の設立に伴い、同会による委託・補助事業が開始される。
11月 試験研究法人等の指定
 会費及び研究負担金に対して、一般の寄付金の損金算入限度額と同額まで別枠で損金算入(法人税法)が認められることとなった。(現在は特定公益増進法人等であることの証明書に変わっている。)
昭和44年4月 基金の交付
 船舶関係諸基準に関する調査研究事業開始
 船舶の安全確保ならびに海洋環境保護等に関して、船舶に対する適切な諸基準の策定に資するために、船舶の構造・性能・設備について調査研究(RR研究と略称)を開始。本調査研究を実施するために基準部を置く。
造船技術開発協議機構(任意団体)の設立
 造船技術開発協議機構の設立とともにその事務局業務を受託。(平成16年3月終了)
 受託業務実施のために企画部を置く。
昭和57年4月 造船所生産技術の超近代化研究開発事業開始
 財団法人日本造船振興財団(現財団法人シップ・アンド・オーシャン財団)の融資を受け、大手造船所が専門メーカーの協力を得て造船業の生産性向上や労働環境の飛躍的改善を目指して超近代化研究開発事業を開始する。
 (昭和62年3月終了)
昭和58年10月 高度自動運航システム研究開発事業開始
 運輸大臣諮問第13号に対する運輸技術審議会の答申に基づき、財団法人日本船舶振興会の補助事業として、高度自動運航システムの研究開発を行う。
 (平成元年3月終了)
平成2年6月 SR研究の基本方針策定
 SR研究の基本方針が策定され、研究課題の募集・選定・実施体制・研究負担金の調達・研究成果の取扱い等はこの方針に従って実施されることとなる。
平成6年5月 会長に星野二郎氏(三井造船株式会社元社長、現相談役)就任
副会長に宮崎 晃氏(元三菱重工業株式会社特別顧問)就任
平成6年8月 新形式舶用電気推進システム研究開発事業(FC研究と略称)開始
 運輸大臣諮問第18号に対する運輸技術審議会の答申に基づき、造船業基盤整備事業協会及び財団法人日本船舶振興会の助成・補助事業として、舶用燃料電池推進システムについて研究開発を開始する。(平成9年3月終了)
平成15年8月 低環境負荷型外航船の研究開発事業(GS研究と略称)開始
 運輸施設整備事業団及び日本財団の助成事業として、ノンバラスト船の開発、船舶搭載型高速バラスト水浄化システムの試験研究及び次世代型帆装船の研究開発を開始する。
 
 
 
造研の会員としくみ
 本会は、広く産・学・官の技術者の能力を結集し、研究資源を有効に活用して研究しています。







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