日本財団 図書館


 次に、異常応答波形に対処するためのフィルタリングについて検討を行った。バタワース特性のフィルタリングを行った結果を図5-19に示す。帯域制限前の図5-18(A)(a)に見られた櫛形の波形異常が、図5-19(A)(a)では正常な符号波形となり、フィルタリングによる効果が実証できた。この際、図5-18(C)(c)で見られた2本の顕著なスペクトラム及びその他のスペクトラムは、図5-19(B)(b)では帯域制限によって1本のみになっていることも確認でき、このため(A)(a)の応答波形振幅がおよそ1/2に低下していることもわかった。なお、バタワース特性によるフィルタリングであるため、計算、実測共に波形に若干の歪みが発生している。これについては、前節の単位遅延時間においても述べたように、ベッセル特性のフィルタを使用すれば波形歪みを押さえることができる。但し、その場合は波形が鈍るため、長線、短点間の無信号部分が短くなる場合もあり、波形の「歪み」と「鈍り」の影響度に注意して特性を設定する必要がある。
 以上の結果より、中心周波数離調時の異常応答符号にはフィルタリングによる帯域制限によって対処できる。
 
図5-19  フィルタリングによる異常応答波形の対処(バタワースフィルタ)
(A)復調波形(計算結果)
 
(a)模擬復調波形
 
(B)スペクトラム(計算結果)
 
(b)スペクトラム(実測結果)







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION