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(6)複数のレーダー波の同時受信が応答波形に与える影響
 複数の異なる変調方式レーダー波が入力された場合に、それぞれのレーダーに対して応答符号が生成可能かを実測により検討した。入力波形は、次の3種とした。
 
(1)単純パルス波形:1μsパルス幅
(2)パルス圧縮レーダー波形:20μs、10MHzチャープ波形
(3)FM-CW波形:1msec、2MHz掃引波
 
 上記3種の波形が合成して入力された場合を図5-20に示す。同図(A)(a)からわかるように、3種類のレーダー方式の複数送信波が合成されたものとなっている。但し、それぞれの信号タイミングの中心値はずれるように設定した。(B)〜(D)及び(b)〜(d)は、各レーダーにおける符号の復調状態である。この結果から、信号タイミングが完全に一致していない場合には、他のレーダー波が重畳していても各レーダーで符号が再生可能であることが実証された。
 各レーダー方式の送信波のタイミング中心が完全に一致した場合を、図5-21に示す。(A)(a)は入力波であり、各波形のタイミング中心が完全に一致していることを表している。同図より、完全にタイミングが一致した信号が入力された場合は、理論計算通り、どのレーダーにおいても符号を再生し得ない結果となることがわかった。
 以上の結果より、複数のレーダーの合成波が入力された場合のうち、タイミングが完全に一致した場合においては符号を再生できないが、タイミングがずれれば符号が再生できることを実証した。なお、詳細設計において述べたように、実際の運用においては、各レーダーが完全に同期していることはなく、このような状況が連続して発生することはないため、レーダー側の干渉除去等の機能によって、この影響は除去できる。
 
図5-20  異なる方式のレーダー波を受信した場合の応答
(各レーダー波のタイミングが一致していない場合)
(A)入力波形(計算)
 
(a)入力波形(実測)
 
(B)パルスレーダー復調(計算)
 
(b)パルスレーダー模擬復調
 
(C)パルス圧縮復調(計算)
 
(c)パルス圧縮模擬復調
 
(D)FM-CW復調(計算)
 
(d)FM-CW模擬復調







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