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 次に、異常応答波形に対処するための帯域制限について検討を行った。帯域制限に用いるフィルタは、遮断周波数特性が急峻なバタワース特性と波形歪みの少ないベッセル特性の2種類を対象とした。
 バタワース特性のフィルタリングを行った結果を図5-16に示す。帯域制限前の図5-15(A)(a)に見られた櫛形の波形異常が、同図(A)(a)では正常な符号波形となり、フィルタリングによる効果が実証できた。なおこの際、図5-15(C)(c)で5本見られたスペクトラムは、図5-16(B)(b)では帯域制限によって1本のみのスペクトラムになっていることも確認でき、このため(A)(a)の波形振幅が1/5に低下していることもわかった。
 ベッセル特性のフィルタリングを行った結果を図5-17に示す。バタワース特性の場合と同様に正常な応答波形が得られることが実証できた。また、バタワース特性と比較して、ベッセル特性のフィルタリングは波形歪みが少ないことも確認できた。
 以上の結果より、遅延合成方式のビーコンにおいては、理想的にはレーダーの距離分解能以下の単位遅延時間を持つことが望ましいが、この条件を満足できない場合もフィルタリングによって対処可能である。
 
図5-16  フィルタリングによる異常応答波形の対処(バタワースフィルタ)
(A)復調波形(計算結果)
 
(a)模擬復調波形
 
(B)スペクトラム(計算結果)
 
(b)スペクトラム(実測結果)







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