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(4)単位遅延時間が応答波形に与える影響
 レーダーの距離分解能と新マイクロ波標識の単位遅延時間が一致しない場合の応答波形、及び帯域制限による異常応答波形への対処について、理論計算に基づくシミュレーション結果と実測結果を対比して検証を行った。ここでは、高い距離分解能が得やすいFM-CWレーダーを代表例として示す。
 掃引周波数幅が50MHz(距離分解能の時間換算0.02μs程度)のFM-CW入力波形に対して、単位遅延時間0.1μsで遅延合成処理を行った場合の結果を図5-15に示す。同図左側の(A)(B)は理論計算結果であり、右側の(a)(b)が実測結果である。(A)(a)は、遅延合成処理後の応答信号をレーダーで復調した後の表示波形であり、櫛状の異常応答波形となっていることが実測でも確認できた。(B)(b)は、応答信号のスペクトラムであり、10MHz毎に複数のスペクトラムが発生している。これらの結果は、理論計算と実測が極めて良く一致しており、遅延合成方式に関する理論並びに異常応答波形発生のメカニズムに対する理論の妥当性が検証された。
 
図5-15  単位遅延時間の不一致による異常応答波形
(A)復調波形(計算結果)
 
(a)模擬復調波形
 
(B)スペクトラム(計算結果)
 
(b)スペクトラム(実測結果)







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