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私はこう考える【公営競技・ギャンブル】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1998/06/16 読売新聞朝刊
“ギャンブル神話”に陰り 「不況に強い」はずが・・・JRAまで売り上げ減
 
◆経済先行きに不安心理/競馬
 「不況に強いギャンブル」という“神話”に異変が起きている。バブル崩壊後の景気低迷にもかかわらず、過去最高を更新してきた横綱格の日本中央競馬会(JRA)の売り上げが今年に入り、ついに減少に転じた。パチンコと宝くじは1996年以降、2年連続で前年を割り込んでいる。不況知らずのギャンブルの現場で何が起きているのか――。
(山崎貴史)
 東京都府中市にある東京競馬場の周辺には近隣の地主などが経営する駐車場が点在している。車で訪れる客が増えた約20年前に、ナシ畑をつぶして数十台入る駐車場を作った70歳代の経営者は、「今年に入って客足が減って大変だよ」と肩を落とした。これまで、一般のレース日は1台2000円の駐車代を取ってきたが、「高い固定資産税を払うには、料金を下げても利用してもらわなくては」と、1500円に値下げする日も出てきた。
 JRAは戦後、何回か訪れた不況期の下でも、40年以上にわたりほぼ一貫して売り上げを伸ばしてきた。「ギャンブルの社会学」などの著書のある谷岡一郎・大阪商業大学長は「場外での売り上げ拡大や、競馬のイメージアップ戦略で、若者や女性などの潜在需要を掘り起こしたのが大きい」と、JRAの“企業努力”を評価する。しかし、今年に入って今月14日の安田記念までのG1レース(9回)を調べると、売り上げが前年を上回ったのは2レースだけだ。
 この結果、今月14日までの今年の総売上高は前年同期比で5%の減少となっている。
 東京競馬場で36年間営業しているレストラン「稲松」の平野尊子さんは開店以来、多くの競馬ファンと接してきたが、「常連だった年配のお客さんたちが最近、あまり来なくなってしまった」と寂しそうだ。久しぶりに顔を見せた客からは、「預金の利息で競馬をやっていたが、最近は利息がほとんどつかないのでできなくなってしまった」との返事が返ってきたという。こんなところにも、低金利が影を落としているらしい。
 谷岡学長は「エース級の馬がいれば、売り上げは伸び続けていたのではないか」と指摘する。人気馬がいないことも売り上げに影響しているようだ。第一次石油危機が起きた73年から74年にかけては、国民的人気のハイセイコーのおかげもあって、売り上げは73年度が前年度比34%増、74年度が同18%増と不況風を吹き飛ばした。
 一方、成城大学の石川弘義教授(社会心理学)は、JRAの売り上げが減少に転じたのは、競馬ファンを含めて、将来の景気見通しがここにきて一段と悪化したためではないかとみている。「人間の経済行動は、その時の所得の増減よりも将来の見通しに左右される。景気低迷の初期には、『いずれ、近い将来に回復するだろう』と考える人が多かったが、今回の不況が長引くにつれて将来に不安を抱くようになり、ついに財布のひもを締め始めた」と分析する。
◆1人の購入枚数減る/宝くじ 
 東京・港区のJR新橋駅烏森口にある宝くじ売り場は、49年の歴史を持ち、「大当たりの名所」としてファンの間で知られる。訪ねてみると、平日の午前11時だというのに、「ドリームジャンボ」の発売中ということもあってか、すべての窓口はサラリーマンやOLで一杯だった。
 ここで32年間、宝くじを売ってきた浅尾不二子さんに声をかけると、「お客さんの数は変わらないのですが、購入枚数が2年ほど前から減ってきた」という答えが返ってきた。以前なら200枚買っていた人が100枚、30枚だった人が20枚という具合だ。
 第一勧業銀行によると、宝くじの総売り上げは、数字を選ぶ方式の「ナンバーズ」が本格導入された95年度がピークで、96年度は43年ぶりに減少に転じた。最高賞金を夢見て宝くじを買う人が多いだけに、法律の規制などで1等賞金が87年以来、6000万円に据え置かれていることが、宝くじ離れの一因になっているとの見方もある。
 宝くじ評論家の山口旦訓さんは「不況になっても宝くじを買う人の数は減らないが、一人当たりの購入額は減ってくる」という。宝くじは専門知識がなくても街角で100円から買えるうえ、1枚の宝くじが6000万円に化ける可能性を持っているだけに、ファンにとっては、1枚も購入しないで一獲千金の夢を簡単に捨てるわけにはいかないのかもしれない。
◆“子供放置批判”響く/パチンコ
 パチンコも、一大ブームとなった95年に過去最高の約26兆円の売り上げを記録したものの、親が熱中している間に子供が事故に遭う惨事が起きたことなどから社会的な批判を受け、売り上げは96年から低下している。
 三和総合研究所の北野重敏主任研究員は「アメリカやイギリスでギャンブルが社会に根付いているのは運営組織がオープンで、市民が安心して楽しめるためだ。日本の公営ギャンブルの運営団体は、財務内容さえ公表しないところがある」とし、一層の情報公開を求めている。
 売り上げが伸び続けていた時代には、組織の体質などはあまり問題にされなかったが、日本経済そのものが転換期に差しかかっている今、ギャンブル・ビジネスも例外ではいられないようだ。
 
 
 
 
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