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「沖ノ鳥島の有効利用を目的とした視察団」報告書

 事業名 海洋・船舶の実情調査及び研究等
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


沖の鳥島活用提案
前田建設工(株)開発営業部 副部長 尾嶋 茂久
1. 提案の背景
 本提案は以下の状況を踏まえて構想したものである。
(1)沖の鳥島は日本の社会・経済活動に貢献する価値を保有した日本の領土であり、その価値を具現化する実効的な開発が今、求められている。
(2)沖の鳥島の礁湖内部、特に西側部分は珊瑚などの生物が乏しい地域となっており、開発を受容できる環境と判断できる。
(3)自由経済の視点から民間の経済活動を誘導する社会基盤の提案が要請されており、この提案が沖の鳥島を取り巻く諸問題を解決していく切り口と考える。
 
 本提案は、確固たる領土における経済活動を可能とするために、沖の鳥島の礁湖内部および環礁の外縁部を対象とした社会インフラを開発するものである。
 
2. 沖の鳥島において導入する機能
 沖の鳥島において,以下の4つの使命を実現する開発を提案する。
 
(1)大陸棚海底資源の開発
 沖の鳥島が抱える経済水域内に埋蔵されるガス田およびマンガン団塊やコバルトリッチクラストなど海底鉱物資源の調査を行い、日本の保有鉱物資源を開拓する。
 
(2)海洋資源開拓の支援基地
 沖の鳥島は最寄りの沖縄および小笠原から1,000kmの遠隔に立地している。この立地特性を活かして,遠洋漁業の漁獲資源保存、輸送を行う中継基地として活用することができる。また海洋温度差発電プラントによって得られる深層海水を活用した海域肥沃化の実証実験を行うことも可能である。
 
(3)台風発生地における台風観測拠点の創設
 地球環境の温暖化に伴い、台風が及ぼす災害は甚大且つ頻発することが予想される。沖の鳥島は台風の発生地および初期通過経路に当たり、台風の発達過程や進路を予測するに当たり、意義のある観測が期待できる。沖の鳥島において、精度の高い台風観測拠点を創設し、日本および東アジアの被災程度を低減することに寄与する。
 
(4)熱帯海洋環境下における共生可能な居住環境の研究および実践
 熱帯の海洋は貧栄養状況下で、鋭敏な生態環境を構築しており、人為的な環境変化を受容する能力は低い。そうした熱帯域の海洋環境において自然環境と共生できる居住環境のあるべき姿を確立し、共生可能な居住施設を実証する。
 
 こうした研究成果を展開し、熱帯海洋環境を活用したダイビングやフィッシングを観光資源とする環境共生型観光施設を実現する。
 
3. 沖の鳥島の開発
(1)開発のゾーニング
 沖の鳥島の気象、自然環境および現在までの開発経緯を勘案し、沖の鳥島全体の開発を構想する。
 本島における珊瑚の浸食は北東の卓越風および波浪を受けており、東小島以西においてその漂砂が堆積していると考えられる。
 沖の鳥島において前述の機能を導入するためには、相応の社会基盤を整備する必要があり、前述の状況を踏まえて島の礁湖西部地域を「開発ゾーン」として社会基盤を集中して設置することとする。一方、島の礁湖東部地域は熱帯珊瑚礁の豊かな生態を保全する「保全ゾーン」とし、珊瑚の生態研究や観察を可能とした地域として位置づける。
 
(2)段階的な開発
 沖の鳥島の開発を以下の二段階に分けて、段階的に施設拡充を行う。
 
(1)第1期の開発
 沖の鳥島は日本における唯一の熱帯に立地しており、広汎な経済水域を未開拓なまま抱えている。沖の鳥島およびその周辺地域が保有する経済価値を顕在化する必要がある。
 本提案は、沖の鳥島の未開拓な資源を開拓して日本の経済活動に貢献するために、継続して定住し生活できるエネルギー、水、交通などの社会インフラを開発し、海洋資源の研究・開発拠点を設置するものである。この開発は沖の鳥島を実質の領土として確定する橋頭堡づくりであり、開発の早期実現が要諦となる。
 
(2)第2期の開発
 第1期の開発によって、確認された沖の鳥島の経済水域にある有用資源を採取し、また沖の鳥島を中継基地として活用した遠洋漁業などの民間経済活動を可能とする人工地盤を拡充する。
 経済水域において獲得できる魚類資源や鉱物資源を加工、精製する基地を設置し、また沖の鳥島から需要地に空輸できる物流システムを構築する。
 一方、東部に保全された自然環境保全地域は熱帯の海洋環境をアミューズメントとして活用することができる。日本国内で体験できないダイビングやフィッシングは集客力の高い観光資源として集客に貢献することができる。日本人の観光需要の多様化に対応した、極上の秘境として「熱帯の沖の鳥島:Tropical Bird Island」を実現する。
 
(3)熱帯海洋開発研究センターの創設
 沖の鳥島の利活用可能性を検証する研究施設「熱帯海洋開発選球センタ」を第1段階開発の核として創設し、定住生活して研究活動を継続する。
(研究項目)
(1)経済水域にある漁業資源の調査研究
(2)マンガン団塊やコバルトリッチクラストなど経済水域海底資源の研究
(3)台風発生および成長メカニズムの精密観測
(4)熱帯珊瑚礁の研究
 
(4)海洋資源開発拠点の整備
 第1期の調査研究事業によって明らかになった有益資源を活用し、沖の鳥島において民間の経済活動を誘致し、定住生活を定着させる。尚、開発方式は人工地盤など社会基盤整備を公共が行い、民間がそれを活用して建築施設を整備していく公民協力の開発手法(PPPなど)を活用する。
(1)経済活動
・海底鉱物資源の採取、加工
・遠洋漁業の漁獲品の加工、保存、輸送
・遠洋漁業の補給基地
・深層水を活用した海洋牧場
・熱帯海洋の観光
 
(2)観光開発
 沖の鳥島は日本において唯一、熱帯に存在し、手がほとんどつけられていない自然環境が残されている貴重な島である。島の礁湖東部や珊瑚礁外縁部には多様な生態の存在が期待され、ダイビング愛好家や釣り人には垂涎の存在であろう。日本人の観光も観光の質が問われる時代へ移行し始めており、他人が体験したことのない,稀少な体験そのものが価値を持つようになっている。沖の鳥島は正しく人跡を拒絶してきた秘境であり、ここを訪れることで、貴重な観光体験を得ることができる。
 こうした立地の特異性を活かし、観光地としての快適性、ホスピタリティを満たした宿泊施設を設置することも有益な島の活用策となる。特に開発初期に国民が抱く沖の鳥島に対する心証はその後の開発に大きな影響を与えるものであり、観光開発が創出するイメージ訴求は有効であると考える。
 
(3)公共と民間の役割分担
 公共が生活施設を展開する人工地盤および港湾、空港などの交通インフラを整備する。民間は人工地盤を活用して経済活動を行う。民間の経済活動に必要な建築施設やエネルギー施設は民間が整備する。また輸送用の航空機材についても民間の経済活動の範囲で調達する。







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更新日: 2019年11月16日

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