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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1996/12/19 読売新聞朝刊
[国連加盟40年](2)「外交大国」へ試金石(連載)
 
 「いかにしてインド代表の発言意欲を抑え、日本代表の口を開かせるか。それが国連の課題だ」
 国連内外でささやかれているジョークだ。
 ジュネーブ軍縮会議(CD)での核実験全面禁止条約(CTBT)採択がインドの拒否権で八月に頓挫(とんざ)し、九月の国連総会で多数決によって採択されるまでの約一か月間。インドのアルンダティ・ゴーシ軍縮大使、プラカッシュ・シャー国連大使らは議場ばかりでなく、度々開く記者会見で、条約拒否の「正当性」を能弁に主張した。核保有国の核兵器独占を固定化させかねないCTBTの「欺まん性」に焦点をあてたインドの論理は、特に第三世界諸国の間に一定の共感を呼び起こした。
 舞台裏での活躍評価
 一方、日本は、決議案提案国の豪州とともにCTBT支持国を結集させ、総会での採択への原動力となった。英・国連代表部のジョン・タックノット一等書記官は、「日本は舞台裏で素晴らしい活躍を見せた」と高く評価する。
 だが、米国国連協会のアラン・ソン・アジア部長は手厳しい。
 「大きな役割を演じた割には、CTBT問題での日本の努力は外から見えにくかった。米国での報道でも、日本は条約採択の主導勢力だ、との認識は少ない」
 日本が唯一の被爆国であり、CTBTを支える核爆発探知技術でも世界最高水準にあるなど「特別の地位」を主張し得る存在であるのに・・・という歯がゆさが同部長の評価の背景にある。
 ここに、インドなど「外交大国」の自己主張の強さと、スタンドプレーを嫌う日本の国連外交の対比がくっきり浮かび出ている。
◆「対米追随」見方二分
 「米国は国連財政への日本の支出増大を求めるが、より大きな発言力を与えようとはしない」(ラザリ・イスマイル国連総会議長=マレーシア国連大使)
 「西欧諸国は自分の利益にかかわる事柄では公然と米国に反対するが、日本は常に米国に歩調を合わせる」(アジア外交筋)といった日本外交のイメージは依然根強い。
 その一方で、カーネギー国際平和財団の外交専門家セリグ・ハリソン氏の分析は異なる。
 「日本は、国連の諸問題より、経済分野での利害、特に米国との経済関係を良好に保つことが至上課題。だから、国連の舞台で米国に協力的な立場を取り、日米通商問題などで好意的な対応を導き出そうとするのだ」
 しばしば「対米追随」と批判される日本の国連外交が、実は、冷徹に国益を追求しているとの見方だ。
◆貢献度称賛の声も
 ルース・ウェッジウッド・エール大学教授も「日本は、憲法九条の制約があっても国連の平和維持活動(PKO)に参加出来ることを実証し、米国に次ぐ分担金を負担している。緒方貞子・国連難民高等弁務官、明石康・事務次長(人道問題担当)の二人も活躍している」と、最近の日本の国連貢献を称賛する。
 「金」と「兵」と「リーダー」の提供――。これが加盟四十年を経た日本の貢献に対し、国連内外で定着しつつある平均的評価だ。
 PKOについては、「カンボジアで築いたPKO積極参加の姿勢を、マケドニアでの予防展開部隊への参加などで、さらにアピールすべきだ」(国連高官)などの期待も大きい。だが、ウェッジウッド教授は、「膨大な日本の財政貢献の実績を日本人自らが小さく見すぎていないか。湾岸戦争の際に行った多国籍軍への財政貢献の意義は大きいのだ」と指摘し、日本の対国連貢献は現状レベルで十分、と断言する。
 日本は来年一月の一か月間、輪番制で安全保障理事会の議長国を務める。ルワンダ、ブルンジ難民の問題やアフガニスタン紛争など難問が山積しており、議長としてのさい配は、常任理事国入りを目指す日本の試金石だ。これまで築いてきた実績や評価を土台に、「外交大国」になれるかどうか。日本の国連外交の成熟度が改めて問われる。
(ニューヨーク・水島敏夫、古本朗)
 
 
 
 
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