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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1996/01/14 読売新聞朝刊
[政治考現学]国連加盟40周年 常任理入り地固め急務 改革へ指導力も課題
 
 日本が国際連合に加盟してから、今年でちょうど四十年。この間、日本の国内総生産(GDP)は世界二位に躍進し、国際社会での比重の高まりにつれ、国連との関係も大きく変化してきた。加盟四十周年を迎えた今年、日本は「国連中心外交」に何を求め、国連の場で何をしようとしているのだろうか。
(津田歩)
●国連中心外交
 日本の国連加盟は一九五六年十二月十八日。六日前の十二日には、日ソ共同宣言が発効したが、二つは偶然に時期が重なったわけではない。東西冷戦の一方の主役であり、常任理事国(P5)の一角を占めるソ連との国交回復は、西側陣営に加わった敗戦国の日本にとって、国連加盟の必須(ひっす)条件だったからだ。そこで、日本が国連加盟直後に掲げたのは対米、対ソ中立的な「国連中心外交」(第一号の五七年版外交青書)だった。
 ところが、早くも翌五八年、「国連中心」という言葉は外交青書からは姿を消す。「実態のあやふやな国連に軸足を置くことへの批判があった」(外務省筋)のが直接の原因だが、「実は最初から、『国連中心神話』を信じていなかった」(同)ためでもあった。
 だが、その後も国連中心外交の看板を下ろすことはなかった。日本外交の基軸である日米同盟関係を巡って、米ソ対立の国内版である自社対立が激化する中、「日米関係とのバランスをとるために必要だった」(同)からだ。いわば日米同盟の“隠れ蓑(みの)”だった。
 そして、冷戦後となった今、「国連中心外交」の扱いは棚ざらしのままだ。
●安保理入り問題
 日米関係を軸に驚異的な経済発展を遂げた日本の地位は、財政負担の増加につれて国連内で重みを増し、加盟各国との力関係は逆転した。
 国連憲章「旧敵国条項」について、国連総会が昨年暮れ、削除手続きの早期開始を採択したのもその表れ。
 その後、カンボジアPKO(国連平和維持活動)などの人的負担にも応じるようになった日本が、負担に見合った発言力を確保するため、PKO負担割合を左右する安保理常任理事国への仲間入りを目指すようになったのは当然の帰結だ。
 今年十一月、「常任理事国への地ならし」(外務省筋)を目指し、日本は八回目の非常任理事国の座をかけ、今回はインドと一騎打ちを行う。常任理事国入りには数年かかる見通しの中、任期二年の非常任理事国入りの機会は情報収集、発言力確保のためにも落とせない。しかし、非同盟国の雄を自任するインドとの対決は予断を許さず、バングラデシュに惨敗した七八年以来の屈辱を味わう可能性は残されている。
 このため、今年は、中立的なバルト三国への働きかけの拠点とするため、リトアニアに五十六年ぶりの駐在官事務所の開設を決めた。池田行彦外相も四月、南アフリカでの国連貿易開発会議(UNCTAD)総会に出席し、当落のカギを握るアフリカ諸国に支持を訴える予定だ。
 「アジアからは欧米寄りと見られ、欧米には仲間意識を持ってもらえないため『基礎票』がない」(外務省筋)日本の宿命を克服する正念場が今年だ。
●国連改革
 日本にとって今年のもう一つの課題は、「国連改革」での指導力発揮だ。
 通常予算の国別分担率がテーマとなっている行財政改革で、見直しが実現すると、日本の分担率は「一四%から一七%程度に跳ね上がる」(外務省)。そこで、日本としては負担増をただでは認めるわけにはいかないとして、負担増を受け入れる条件として、米英以外、なお日本の常任理事国入りを支持するのかどうか不確定な面のあるP5の支持をとりつけたい考え。このため、理事国のメンバー拡大を目指す安保理改革と行財政改革を一体として求める。経済社会理事会関連の機構改革で、具体案の提示と実現への先導役になることも、常任理事国入りのために果たさなければならない課題の一つだ。
●国民合意
 このように、日本にとっての国連外交は当面、安保理常任理事国入り問題に収れんされる。だが、国民合意には程遠く、外務省の主張はむなしく響く。何らかの方向性を出そうという政治的な意志が連立与党から全く出てこないためだ。
 新党さきがけが常任理事国入りに反対。PKOでは、社会党内に根強い消極論があるため、与党内の調整に手間取り、今月の中東・ゴラン高原への自衛隊派遣開始までに国連の要請から一年半余を費やした。
 まして、常任理事国入りにも影響を与える国連平和維持隊(PKF)参加凍結の解除については、いまだに実質的な論議はない。自民党も、凍結解除に難色を示す社会党などに配慮し、今回の橋本新政権での新たな三党合意でも、明確な態度は示されなかった。
 今や、「再定義」「再確認」の必要性は日米安保体制にとどまらない。「国連中心外交」をどうするかを含め、日本の国連外交の再定義と、その十分な説明に基づく国民合意が欠かせない。
◆新国際秩序の構想選択を 緒方貞子・国連難民高等弁務官
 「日本は、追求すべき新しい国際秩序の構想について、国民的な議論と困難な選択を行い、国民合意の上で、国連が直面する課題にも目標を示し、実現のための指導的立場に立つべきだ。世界平和が武力の行使や武力による威嚇と結びつく現実と、日本国憲法の理念とのギャップをどう埋めるのか、世界の新開発戦略への具体策の提示、財政分担のあり方なども日本の課題だ」
◆二国・多国間外交を両輪に 明石康・国連事務総長特別顧問
 「この四十年間の日本の国連外交は、大言壮語することもなく実直な姿勢を貫き、日本独自のイニシアチブも発揮してきた。日本の実力は、安保理常任理事国にふさわしいものとなった。常任理事国入りには時間がかかるかもしれないが、根気強くキャンペーンを続ける必要がある。今後は、二国間外交と国連舞台の多国間外交を両輪に、積極外交を展開していくべきだ」(ニューヨーク支局)
◆国連強化に積極的姿勢で 小和田恒・国連大使
 「日本が国連加盟以来、外交の柱の一つにしてきた『国連中心主義』は、六〇年代までは理想主義的な国連観に基づき国連の権威の下で国益を図る考え方。七、八〇年代は冷戦構造下で国連が二義的存在となり、経済力中心の日本外交にとって、お題目的になった。新秩序が模索されている九〇年代の第三期、国連は秩序の担い手として新しい役割を求められている。この中核として日本が積極的に国連を強化していこうというのが新・国連中心主義だ。安保理常任理事国入りを目指す日本の路線もこの思考の軌道上だ」
(ニューヨーク支局)
◇日本・国連関係年表
1945. 10 国際連合が発足
56. 10 日ソ共同宣言(12月に国交回復)
12 日本、80番目の国連加盟
57. 10 安保理非常任理事国に初当選
78. 1 赤谷源一氏、日本人初の事務次長
11 非常任理事国選挙でバングラデシュに敗退
85. 12 国連改革のための賢人会議設置に関する日本提出の決議を総会が採択
91. 1 緒方貞子さん、国連難民高等弁務官
92. 1 明石康氏、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)事務総長特別代表
6 国連平和維持活動(PKO)協力法成立
9 自衛隊をUNTACのPKOに派遣
93. 4, 5 UNTACの国連ボランティア選挙監視要員の中田厚仁さん、文民警察官の高田晴行警視が襲撃を受け死亡
5 自衛隊モザンビークPKOに派遣
94. 1 明石氏、旧ユーゴ問題担当国連事務総長特別代表(95.10に辞任)
9 自衛隊をルワンダ難民救援活動に派遣
95. 8 ゴランPKOへの自衛隊派遣を決定
12 総会、旧敵国条項の削除手続き早期開始決議
 
 
 
 
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