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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1990/10/16 読売新聞朝刊
自衛隊の国連軍参加 苦肉の策「集団安保論」 憲法解釈に「道筋」
 
 政府が中東湾岸危機への国際貢献策の柱として検討してきた「国際連合平和協力法案」がまとまり、十六日の閣議決定を経て国会に提出される。しかし、政府は集団的安全保障と集団的自衛権は「全く異なる制度である」との立場に立った「新解釈」を打ち出す方針を固めた。自民党執行部の強い要請を海部首相が受け入れたものだが、〈1〉「国際情勢の変化」を理由に憲法解釈を変え得るのか〈2〉従来の憲法解釈や政府答弁と矛盾しない形での新解釈は可能か−−など多くの問題をはらんでいる。
 外務省首脳は、国連軍参加問題の検討が、現行憲法の解釈の変更を伴うものではなく、今まで憲法解釈が確立していなかった国連を中心とする集団的安全保障制度への対応に、政府としてきちんとした道筋をつけた回答を用意するもの、という認識を十五日、示した。集団的自衛権をめぐる憲法解釈の変更という批判や反発を避けながら、現行憲法の下での自衛隊の国連軍参加を実現させるための苦肉の策のようだ。
 集団的自衛権は「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する」(昭和五十六年五月二十九日、政府答弁書)もの。わが国も主権国家として集団的自衛権は保持しているが、自衛権の行使は必要最小限度の防衛活動に限られるとする憲法九条の解釈から「集団的自衛権を行使することは、この範囲を超えるもので、憲法上許されない」(同)というのが従来の政府見解である。
 自衛隊の国連軍の派遣についても政府は、「国連軍」の条件、性格を厳密に規定しないまま、原則として「国連軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、参加は憲法上許されない」(同五十五年十月二十八日、政府答弁書)−−との態度をとってきた。
 しかし平和協力法案づくりの過程で、自民党側から憲法解釈の変更の断行を求める主張が繰り返された結果、政府がたどりついたのが集団的安全保障という概念を持ち出すことだった。
 政府の説明によると「集団的安全保障は、平和の破壊があった場合に国連加盟諸国が力を合わせて侵略を鎮圧し、平和回復をめざす制度であり、国際社会全体としての平和維持制度。侵略を受けた国と同盟関係等にある国が個別の判断により侵略に対処する集団的自衛権とは全く異なる制度である」(外務省)。これは国連憲章の前文と第一章(目的及び原則)の精神に加えて、「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」を定めた第七章から読みとることができるという。
 つまり、国連加盟国同士の仲間内の争いの一方に加担するのと、国連全体として平和維持、秩序回復に当たる場合の活動に参加するのは次元が違う問題、というとらえ方である。
 この立場から政府が強調するのは、昭和五十五年の政府答弁書が、「国連憲章に明確な規定のない国連平和維持軍」(外務省筋)への自衛隊派遣問題への回答であって、「理想的な形の国連軍への参加問題については明確な憲法解釈はされていない」(同)という点。これは林修三内閣法制局長官答弁(昭和三十六年)からも理解できる、というのが政府の判断。
 一方、国連加盟申請時の岡崎勝男外相書簡(昭和二十七年)が憲法九条を理由に国連への軍事的貢献の留保を示しているとの一部の指摘に対し、政府は「留保条件はついていない」(外務省首脳)と反論している。
 自衛隊の国連軍参加問題は、憲法解釈を新たに加えるだけ、という政府の主張が通るかどうか、国連協力法案の成否とも絡んで予断を許さない状況だ。
 〈注1〉岡崎勝男外相の国連事務総長あて国連加盟申請書(昭和二十七年六月十六日付)「・・・日本国政府は国際連合への加盟を熱意をもって申請するものであり、また、国際連合の加盟国としての義務を、その有するすべての手段をもって、履行することを約束するものであります・・・」
 〈注2〉林修三内閣法制局長官答弁(昭和三十六年二月十日・衆院予算委員会)「国際連合が将来いわゆる国際警察軍をつくった場合に、それに対して日本が自衛隊というようなものを提供することがいかなる場合においても憲法違反かという問題になりますと、これはまた考えなければならない問題が私はあると思っております」
 
 
 
 
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