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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2004/10/04 毎日新聞朝刊
[クローズアップ2004]国連改革論、出そろう 安保理論議、新局面に
 
 9月21日から続いていた第59回国連総会の一般討論演説が同30日(日本時間10月1日)で終わった。今回は日本をはじめ安全保障理事会の常任理事国入りに意欲を表明する国が続出したほか、全加盟国の4割強の84カ国が常任理事国拡大の必要性を訴えるなど、国連改革への期待の大きさを印象づけた。イラク戦争を契機に浮上した「国連の危機」にどう立ち向かうのか。国連創設60周年を迎える来年に向け、過去10年間停滞気味だった安保理の改革論議は新たな局面に入ったと言える。
【ニューヨーク高橋弘司】
◇リビアなどアフリカ4カ国、常任理入り続々表明
◇日本支持、45カ国に
 「停滞していた安保理改革への大きな山がようやく動き出した」
 日本の国連代表部筋は今年の国連総会についてこう評した。
 総会の一般討論演説には国連加盟191カ国のうちソマリアを除く190カ国の首脳や外相が登壇した。このうち148カ国(昨年107カ国)が安保理改革に言及。特に常任理事国の拡大を訴えた国は84カ国に上り、昨年(23カ国)の3.6倍に達した。
 小泉純一郎首相の演説(9月21日)を受けて、日本の常任理事国入りを支持したのはフランス、英国など45カ国に達し、昨年(13カ国)に比べて3倍以上に増えた。東南アジア、中央アジア諸国の支持が目立ち、日本外交筋は「事前の働きかけが功を奏した」と満足そうに語った。
 今回の安保理改革論議が過去と異なるのは、常任理事国入りを目指す国が続出したことだ。
 日本、ドイツ、ブラジル、インドの有力候補4カ国は今回から共同歩調を強めることで一致したほか、アジアからインドネシアが新たに候補に名乗りを上げた。さらにこうした動きに刺激されて、ナイジェリア、南アフリカ、エジプト、リビアというアフリカの4カ国も初めて常任理事国入りの意思を明言した。
 リビアを除く3カ国は国内総生産(GDP)でアフリカの上位に入っている。アフリカ諸国の間には97年以降、常任理事国枠(2カ国)が新設された場合、輪番制でそれを務めるとの合意があった。しかし、ナイジェリアのオバサンジョ大統領が先月23日に突然、常任理事国入りを目指すと宣言。この合意が事実上、破棄されたとして他国も雪崩を打つように意欲を表明した。
 また世界各地でテロ関与を指摘されてきたリビアまでも常任理事国に立候補したことが、今回の総会のムードを象徴している。
 こうしたアフリカ諸国の動きの背景には、日本など有力4カ国が今総会で共同歩調をアピールしたことで生まれた「改革への流れ」に乗り遅れたくないとの思惑に加え、「現行の安保理は先進国主導。エイズ、貧困、開発など多くの問題を抱えるアフリカの声を安保理に反映させたい」(アフリカ外交筋)との意向がある。
 一方、ライバル国の常任理事国入りを警戒するイタリア、パキスタン、スペイン、メキシコ、サンマリノ、韓国の6カ国は演説で非常任理事国の拡大のみを訴えた。
 同じ欧州からドイツが常任理事国入りした場合の地位低下を懸念するイタリアは9月25日、フラティニ外相の呼びかけでパキスタン、スペインなど約20カ国の外相を招き、昼食会を開催した。
 昼食会後、「各国外相は安保理の新常任理事国創設は、加盟国間の民主的原則、完全平等などにそぐわず、加盟国間の分裂の危険を生むと強調した」と記された「プレスリリース」が配布された。
◇特別首脳会合がヤマ場−−来年9月
 国連総会で安保理改革論議が活発化したのは、アナン事務総長が国連改革のために、世界の識者16人を指名して発足させた「有識者諮問委員会(ハイレベル委員会)」の提言が12月に予定されているため。同委員会はイラク戦争を阻止できなかったアナン氏の反省がベースになっている。提言を受け取った後、アナン氏は来春をめどに独自の「勧告」を公表する予定だ。
 勧告が出されれば、日本など関係国が安保理拡大に向けた国連憲章改正案を国連総会に提出、来年9月開幕の第60回国連総会に合わせて開かれる特別首脳会合で改革の大枠が固まるとの観測が出ている。
 国連改革では、97年にラザリ・イスマイル国連安保理改革作業部会議長(当時)が「現行15カ国に、新たに常任理事国5カ国、非常任理事国4カ国を加え、計24カ国とする」との枠組み案を提示した。しかし、この時も、イタリアは反対派グループを主導している。
 イタリア人のコーヒー好きをもじり、同グループは「コーヒークラブ」と言われ、日本が主導する常任理事国賛成派グループ「酒クラブ」に対抗した経緯がある。今回は、ほぼ7年ぶりにかつての対立が復活した形だ。
 ラザリ案の作成にかかわった経験を持つ米・コロンビア大のエド・ラック教授は「賛成派と反対派の対立の構図は変わっていない。改革の議論は高まっても、問題はその処方がないことだ」と悲観的な見方を示す。
 英誌「エコノミスト」は7月、「有識者諮問委員会」の議論で安保理の24カ国拡大でほぼ合意ができており、拒否権を持たず任期を4〜5年とする「準常任理事国」を7〜8カ国分新設する案が有力となっていると報じた。だが、デニソフ・ロシア国連大使は「大半の国が現実的な議論だとみておらず、反対している」と指摘するなど安保理改革の行方は不透明だ。
<国連改革をめぐる国連総会での主な発言>
●賛成派
◇日本(小泉純一郎首相)
 「日本の果たしてきた役割は、安保理常任理事国となるにふさわしい。安保理改革に向け歴史的決断を行う時だ」
◇ドイツ(フィッシャー副首相兼外相)
 「世界平和と国際的な安全保障の維持に、実質的かつ意味のある貢献ができ、その意思がある国が安保理入りすべきだ」
◇ナイジェリア(オバサンジョ大統領)
 「実質的に安保理の議題を占有しているアフリカに常任理事国の優先枠が与えられるべきだ」
◇リビア(シャルガム外相)
 「改革出来なければ、(米国などが)一方的な行動を取っている時に、国連は消えうせてしまう」
 
●反対・慎重派
◇中国(李肇星外相)
 「安保理拡大に賛成するが、発展途上国の代表枠を優先させるべきだ」
◇イタリア(フラティニ外相)
 「常任理事国を新設しても、安保理の困難な問題は解決されない。加盟国間の分裂や不満を広げることになる」
◇パキスタン(ムシャラフ大統領)
 「加盟各国の圧倒的多数は新たな特権(常任理事国枠)を作ることに反対している」
 
 
 
 
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