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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1993/01/31 毎日新聞朝刊
“国連47歳”論議呼ぶ安保理改革 常任理事国に日本人も?ドイツも?
 
 さまざまな国際貢献策が論議されるだけではなく、それを機に憲法見直し論までが真っ盛りだ。そんな中で、ガリ国連事務総長提案の国連機能強化策と、近い将来改組される安保理へのわが国の常任理事国加盟問題と絡んだ論議が閣内でも展開されている。宮沢喜一首相がガリ提案や加盟問題に慎重なトーンを際立たせるのに対し、渡辺美智雄副総理・外相は、平和維持活動(PKO)にとどまらず、一層踏み込んだ軍事的貢献の必要性を強調する。折しも、クリストファー米国務長官は日本の常任理事国入り支持を表明。二月にはガリ事務総長(十五日)、基本法(憲法)改正に取り組むドイツのコール首相(二十六日)が相次いで来日する。常任理事国にふさわしい国際的責任と役割は何か、米国の狙いは何なのか、議論は熱を帯びる。
◇積極支持の米新政権 「対日戦略」見え隠れ
 【ワシントン30日小松浩】
 クリントン新政権になって以来、日本とドイツを国連安保理常任理事国にすべきだという発言が米で目立つ。民主党系シンクタンクも相次いでそうした提言を行っているが、積極的な支持の背景には、クリントン大統領の新たな対日戦略が隠されているようだ。
 日本の常任理事国昇格はクリントン大統領自身が選挙中から賛成を表明していたが、クリストファー国務長官は二十五日に「国連の現実を一九四六年ではなく一九九三年に合わせる時がきた」と明言した。
 また、クリントン政権に最も影響力を持つ民間シンクタンク「進歩的政策研究所」(PPI)は、最近まとめた新政権への提言の中で「日本がグローバルな経済成長に責任ある行動をとるようにするには、常任理事国入り支持を政治的に有効な手段として使うべきだ」と主張している。
 クリントン政権は、日本を「一人前の同盟国」として扱う姿勢を示しており、常任理事国昇格支持はそうした考え方に立ったものだ。ただその一方で、日本から経済摩擦や防衛責任分担などで譲歩を引き出す「交換条件」に使われる可能性も否定できない。
 英仏は安保理メンバーの拡大に抵抗する構えをとっているため、妥協案として日独とブラジル、ナイジェリアも加え拒否権のない常任理事国とする(ナイ・ハーバード大学教授)、G7(先進七カ国)に露、中国を入れてG9とする(スマイザー元国連難民高等副弁務官)といった考えも出ている。「複雑な問題があることはわかっている」(クリストファー国務長官)と米側も認めてはいるが、冷戦後の国連改革の機運とからみ安保理再編論議が深まることだけは間違いなさそうだ。
◇英仏反発 絡む各国利害
 安保理の改革問題が急速にクローズアップされたのは、冷戦構造の崩壊に加え、国連創設から四十七年間の国際情勢の変化を反映していない現状、さらには国連の役割が急速に重要性を高めてきたからである。しかし、実現には各国の利害が絡んで、容易ではない。
 安保理は一九四五年、米国、ソ連などの五常任理事国と非常任理事国六カ国の計十一カ国で発足した。六五年に国連憲章を一部改正して非常任理事国の枠だけを拡大、定数を計十五カ国に改めた。さらに昨年、改組することで加盟各国が一致、今年六月末までにそれぞれが改革案を提出する。
 新たに常任理事国入りが有力視されるのは日本のほか、ドイツ、インド、ブラジル。
 しかし、ドイツを加えた場合、欧州地域は三カ国に増えてしまい、地域的な偏りを指摘する声が上がる恐れがある。既にイタリアは「欧州共同体(EC)が交代で加盟すればよい」と提案、現常任理事国の英国とフランスは追い出されないか懸念を抱く。メージャー英首相が二十七日、訪問先のインドで「結論を出すまでに論議が必要だ」と述べたのも、こうした空気の反映といえよう。
◇拒否権付与問題、改革の一大焦点に
 国連憲章の見直しは委員会を設けて作業が行われ、最終的には総会と安保理でそれぞれ三分の二の賛成が必要だが、常任理事国には拒否権が保証されており、「五カ国のご機嫌を損ねては何もできない」(外務省幹部)。有力な四カ国を加えて九カ国に拡大すれば丸く収まりそうだが、数が増えれば常任理事国の意向が一層まとまりにくくなり、国連の機能は、逆に低下しかねない。また、新たな加盟国へ同等の拒否権を持たせるかどうかも大きな検討課題である。
 日本は七〇年九月の第二十五回国連総会で、改革を提起した。当時の愛知揆一外相は「常任理事国の資格は、核軍事力が決定的な要因となるべきではない」と演説、核兵器を持たないわが国の常任理事国入りへの妥当性を指摘した。同時に日本やドイツなどに対する旧敵国条項(憲章五十三条一項、百七条)の削除も強く求めた。
 その後は、昨年九月の第四十七回国連総会で渡辺美智雄副総理・外相が「安保理の信頼性と実効性を高める観点から、国連の組織の在り方を真剣に検討すべきである」と訴え、政府部内で改革案を検討中だ。
【92年秋の国連総会での主な国の代表演説】
●ロシア・コズイレフ外相
 国際関係の再活性化のためには国連とそのシステムの強化が必要だ。
●ドイツ・キンケル外相
 安保理は国際平和の守護者だ。その能力と信頼性はとくに重要なことだ。安保理の再構築の話し合いが進んでいる。ドイツはイニシアチブを取るつもりはないが、安保理の構成国の変更がされるのなら、われわれは常任理事国になることを望む。
●グルジア・シェワルナゼ最高会議議長
 これまで私は安保理常任理事国を増やすことに反対してきた。しかしソ連の崩壊後、力の均衡は変化し、安保理の可能性を高めていくことが重要だ。ドイツ、日本などの経済大国は常任理事国入りを再考されなければならない。
●リトアニア・ランズベルギス議長
 安保理は日本、ドイツ、インドの3カ国が常任理事国に入るべきだ。
●マレーシア・バダウィ外相
 179カ国に増えた国連加盟国全体のレベルに合わせて15カ国の安保理メンバーも広げられなければならない。安保理では欧州の代表数が、実際の規模より大きすぎるのではないか。
●エジプト・ムーサ外相
 国際社会の平和と安全は南北の国双方の責任である。南北の国々は責任と負担を背負い、またその結果と配当を分け合わなければならない。安保理は国際的かつ地域的な影響力を反映させるため、その構成メンバーと責任範囲の再検討を必要としている。
◇国連安保理◇
 15カ国で構成。常任理事国は米国、ロシア(旧ソ連から継承)、イギリス、フランス、中国(1971年に追放された台湾と交代)で、他の10カ国は任期を2年として、総会の選挙で改選される。議長は毎月持ち回りで理事国の大使が担当、1月は日本の波多野敬雄大使が務めている。国連憲章が掲げる「国際の平和と安全の維持」に主要な責任を負う。湾岸戦争でのイラクへの武力制裁容認決議など決議や、議長声明などによって政治的な意思を表明する。9カ国以上の賛成が必要だが、常任理事国には拒否権があり、1国でも反対すれば決議は成立しない。
 
 
 
 
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