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私はこう考える【死刑廃止について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1994/08/08 毎日新聞夕刊
司法の死刑判断、「少年」でも不変――市川の4人殺人事件・千葉地裁判決
 
 「市川四人殺害事件」で千葉地裁(神作良二裁判長)は八日、当時十九歳の被告に「極刑」の判決を言い渡した。弁護側は罪状の大筋を争わず、少年法の精神や国内外で高まる死刑廃止への動きをアピールしたが、現行死刑制度の壁を打ち崩すことができなかった。
 死刑制度の是非をめぐっては「国民、被害者の感情を優先するか、非人道的な刑罰とみなすか」「教育のための刑罰か、犯罪抑止や応報のための刑か」という刑罰の本質論的な議論や、「残虐な刑罰を禁じた憲法に違反するかどうか」という憲法上の議論がある。
 日弁連は昨年五月、「今後の死刑執行は国民的議論が尽くされるまで見合わすべきだ」などとする阿部三郎会長の談話を発表。会員を対象とするアンケートを実施するなど慎重ながら死刑廃止に向けての本格的な議論を始めようとしている。今年四月には国会内に当時の閣僚五人を含む超党派の「死刑廃止を推進する議員連盟」(田村元会長)が発足。一九八九年十二月の国連総会でも死刑廃止条約を採択したほか、国連社会経済理事会の「死刑に直面している者の権利の保護の保障履行に関する決議」が全会一致で承認されるなど、廃止を求める動きは顕著だ。
 少年事件の場合、(1)成育環境(2)少年法の理念(3)少年の更生の可能性――について特に検討される。弁護側は、福島章上智大教授の鑑定が「年齢がもう少し上であったなら、衝動をより適切に統御することができたろうが、未成年だったため十分でなかった」「被告の攻撃性の激しさは若年期の一過性」「数十年の矯正教育で改善の可能性も大きい」と指摘したことを受け、十八歳未満の死刑を禁じた少年法の精神を十八、十九歳の被告にも生かすよう求めた。しかし、司法は従前の立場を変えなかった。
 この事件で家族四人を目の前で殺され、一人生き残った長女(18)は、叔父の元で暮らしている。被告の母、弁護士らはこの叔父と何回も会っているが、叔父は「(長女には)いつまでも恨みを抱いていては幸せになれないから、その心を転換して明日に向けて人生を開いてほしいと思っている。恨むだけでは解決にならない。量刑に関してはすべて裁判所にゆだね、遺族の側としてどの刑を望むということはない」と語ったという。長女は判決の日も法廷に姿を見せなかったが、今春、大学への進学を果たし、新たな道を歩み始めている。
(千葉支局・早川千代)
 板倉宏・日大教授(刑法)の話 四人が死んだ強盗殺人事件だけに、心神耗弱が認められなければ死刑判決は仕方がない。被告は事件当時、少年法による死刑免除を適用されない十九歳であり、これで死刑が適用されなければ過去の最高裁の死刑の判断基準そのものが崩れてしまう。
 死刑制度廃止推進議員連盟の二見伸明事務局長の話 少年法の精神にのっとった判決を期待していたのだが、死刑判決は遺憾。事件は残虐であるが、国家が最も残虐な刑罰で対処するのはいかがなものか。五―十年程度の時限立法で死刑の執行を停止し、死刑制度の是非を徹底的に議論していく必要がある。
 
 
 
 
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