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私はこう考える【死刑廃止について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1987/03/18 毎日新聞夕刊
連続射殺事件・永山則夫被告死刑判決で死刑是非論にまた一石
 
 古くて新しい問題といわれる「死刑」是非論。永山則夫被告(三七)の裁判は法律関係者ばかりでなく、一般市民にもその難しいテーマを問いかけ続けた。永山被告を無期懲役に減軽した五十六年八月の東京高裁判決(船田判決)は死刑廃止運動にはずみをつけた。この日の判決は一転、死刑制度の厳格さをみせつける結果になった。死刑廃止に向かう世界の潮流の中で、死刑をめぐる「現実」は複雑だ。
 「一時の死刑廃止への流れが止まってしまったような気がする」。「犯罪と非行に関する全国協議会」(JCCD)理事で明大法学部講師(刑法・犯罪学)の辻本義男氏は最高裁の差し戻し判決(五十八年七月)後の動向をこう語る。「下級審の裁判官の中に死刑を出しやすい状況が生まれないか心配」とも。
 二十三年の最高裁大法廷判決は死刑を「合憲」としたが、補足意見では「憲法はその制定当時における国民感情を反映して死刑の規定を設けたにすぎず、永久に是認したものとは考えられない」とその“暫定的性格”が強調された。辻本氏は「もう死刑が消滅していい時期に来ていると思う」と指摘する。しかし、世論調査の結果は、死刑廃止に否定的。六十年にJCCDが国会議員を対象に行った調査では六三・四%が「存置すべき」。五十五年の総理府調査でも国民の六二・三%が存置を支持している。四十年代半ばから目立って死刑判決が減少しているものの、死刑執行者数は戦後の二十一年から六十年末までに五百六十九人にのぼる。
 「死刑をなくす女の会」の中心メンバーで死刑囚の獄中の生活を描いた「逆うらみの人生―死刑囚・孫斗八の生廷」などの著者、丸山友岐子さん(五二)は「死刑廃止論の実現が少し遠くなったみたい」という。「死刑囚が三人も再審で無罪になったのに、そのときでさえ世論は動かなかった。よその国ならば議論が沸騰しているでしょうに」と不満そう。「せめて運用面で一定期間、刑を猶予してそのあとであらためて執行の是非を検討するような制度ができないものか」と提言する。
 アムネスティ・インターナショナル日本支部(東京・西早稲田)によると、今年二月現在、死刑を全廃している国はフランス、オランダなど西ヨーロッパを中心に二十九カ国。フィリピンも新憲法によってこれに加わった。また、戦時下など特殊犯罪を除く廃止国はイギリス、イタリアなど十八カ国でいずれも漸次増傾向。これに対し死刑存置は百二十八カ国という。五十八年二月から三月にかけてはアムネスティ代表団が日本を訪れ、死刑制度と運用の実態を調査している。最高裁には現在、三十二事件三十六人の死刑裁判が係属しているが、二十四日に「連続企業爆破事件」上告審で判決を言い渡すなど死刑判決での判決言い渡しに積極的姿勢がみられる。
 
 
 
 
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