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3.3 駅ビルテナントの出店効果
 テナント・アンケート結果から、立川駅における出店効果としては、「幅広い集客・天候に左右されない安定した集客、リピーターの確保」などが挙げられた。また、「ターミナル駅としての拠点性や周辺商業施設との回遊性」など、「立川」という地域のポテンシャルを期待以上に良かったとして高く評価している。
 一方、「集客の多さに対して、道路や駐車場等のアクセス性の低さ、改札付近の混雑」などを期待と違った課題として指摘している。
3.4 拠点駅の整備・改良・運用の課題
 立川駅の増え続ける利用者に施設の容量が不足ぎみであり、日中や休日において南北自由通路、ラッチ内、ホームの混雑が激化している。北口ペデストリアンデッキ下のバスターミナル(平成13年供用)では、バスが停車しきれない、乗客が乗降場からあふれるなど、利便性、安全性が低下している状況もある。南北自由通路やペデストリアンデッキでは、バス利用に関する詳細情報が少ないため、交通機関相互の乗換え利便性が低くなっている。休憩ができる施設、トイレ、待ち合わせ場所、下りエスカレータ等の整備、清掃等に対する利用者や駅ビルテナントからの期待が高いことも明らかになった。
 
写真−3 南北自由通路の混雑
 
写真4  バス乗場へ降りる階段のある北口ペデストリアンデッキにおける乗場案内は番号のみで分かりにくい
 
写真−5  北口ペデストリアンデッキ(バスターミナルの上)の柱に貼り付けられたバス乗場案内は利用者の目にとまりにくい
 
 
4.1 旭川駅「北彩都(kitasaito)」地区開発整備事業
 旭川市では、総合調整組織としてプランナー4名、東京大学の篠原修教授(鉄道の高架構造物、橋梁)、東京大学の内藤廣教授(駅部の設計)、ウイリアム・ジョンソン氏、下田明宏氏(地区内の道路、公園、河川空間等のランドスケープデザイン)を起用し、旭川市「北彩都(kitasaito)」地区開発整備事業を推進している。
 同事業では駅舎、橋梁、道路、公園等複数の事業を総合的に計画・推進するもので、同事業について総合調整組織がトータルコーディネートしている。
 
図4-1 北彩都旭川のイメージ
出典:旭川市資料
 
4.2 情報提供の良い例(小田原駅、シツットガルト駅)
 ケーススタディーの結果から、「鉄道駅でバスの乗場情報がない」、「連絡通路内に交通情報がない」、「街路からアクセスする鉄道駅入口に交通情報がない」等、乗換先の交通機関に関する情報提供がないこと、また、案内情報の連続性がないことが課題となっている。特に、鉄道の改札を出たときのバスの情報提供については、バスターミナルの位置や方向が示されているだけの場合が多いが、利用者はバスの行き先情報や行き先別のバス乗り場の位置、バスの発着時刻等詳細な情報を求めている。
 例えば、小田原駅のJRの情報は緑で統一されており、シュツットガルト地下鉄駅では、地上において発車案内を行っている。
 
写真−6  シュツットガルト地下鉄駅の地上発車案内 地下鉄(Uバーン)の発車時刻が地上で確認できる
 
 
 ケーススタディーの対象駅の分析結果を踏まえて、関係者がどのように関わり、拠点駅を利用、整備・改良・運営しているかを整理し、課題を検討する。拠点駅の課題は以下のとおりである。
 
図5 拠点駅の課題
 
 
 これらの分析結果から得られた知見をもとに先進事例を参考としつつ、拠点駅づくりの視点を整理し、今後の拠点駅づくりの仕組みについて提案を行った。
 拠点駅づくりの視点及び提案内容は以下のとおりである。
 
【拠点駅づくりの視点】
(1)交通の処理から質の高いサービス
(2)地域の交流核
(3)持続的かつ利用者ニーズに対応した魅力向上
(4)バリアフリー化の計画的な推進
(5)高齢者を含む市民の交流の場
(6)地域と連携・共存した拠点駅の発展
(7)地域間の競争、都心との機能分担、活力ある駅
(8)拠点駅をコーディネートする視点
 
【今後の拠点駅づくりの仕組み】
(1)供用後を含む継統的な体制
(2)街づくりも含めて拠点駅全体のコーディネート
(3)バリアフリー協議会の活用
(4)保有区分を超えたコーディネート
(5)利用者や地域住民が連携して駅の魅力を維持する仕組み
 
報告書名:「拠点駅における利便性・快適性向上のための総合的調査研究報告書」
(資料番号150064)A4版 254頁
報告書目次
第1章. 調査の概要
第2章. 拠点駅の構成
第3章. 対象拠点駅における分析
第4章. 拠点駅の課題
第5章. これからの拠点駅に望まれる姿
資料編
【担当者名:和平好弘、高木晋】
【本調査研究は、日本財団の助成を受けて実施したものである】







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