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(2)公営事業会計
 公営事業会計の種類としては次のようなものがある。
 
公営企業会計(法適用/法非適用企業)
法適用:水道、工業用水、軌道、自動車運送、鉄道、電気、ガス、病院
法非適用:下水道、港湾、市場、と畜、観光施設、宅地造成、有料道路、駐車場整備、介護サービス等
収益事業会計
競馬、自転車競走、モーターボート競走、宝くじ
国民健康保険事業会計
老人保健医療事業会計
介護保険事業会計
農業共済事業会計
交通災害共済事業会計
公益質屋事業会計
公立大学附属病院事業会計
 
 公営事業会計における普通会計の将来的な財政負担となる事象等としては、次のようなものが考えられ、事象ごとに区分に基づき整理・分類した。
 
※1 公営企業会計のみ該当。
※2 経営の効率化や料金の適正化等を実施してもなお赤字額等が解消できない場合には、普通会計の負担が生じる可能性がある。
 
〈企業債の発行〉
(1)企業債
[ア 元金のうち普通会計負担分]
【内容】
 企業債の元金のうち、普通会計から公営企業会計への繰出基準に基づく繰出しが定められているものをいう。
【分類】
 繰出基準に基づき普通会計の負担となることが予定されており、金額も償還時期も明らかであることから、A分類とする。
 
(参考)【繰出基準の抜粋】
第7 簡易水道事業
1 簡易水道の建設改良に要する経費
(1)趣旨
 簡易水道事業の資本費負担の軽減を図るため、建設改良費の一部について繰り出すための経費である。
(2)繰出しの基準
 繰出しの対象となる経費は次に掲げる額の合計額とする。
ア 簡易水道の建設改良費(当該簡易水道の建設改良に係る国庫補助金等の企業債以外の特定財源を除く。)の10%
 ただし、平成14年度及び平成15年度に実施する事業にあっては、繰出しに代えて臨時的に発行する簡易水道事業債の元利償還金に相当する額とする。
企業債元利償還金の2分の1(3の簡易水道未普及解消緊急対策事業に係る企業債元利償還金を除く。)
 
【金額】
 基準日における企業債残高のうち、繰出基準に基づき普通会計が負担すべき額とする。
 
[イ 支払予定利息額のうち普通会計負担分]
【内容】
 企業債の支払予定利息のうち、普通会計から公営企業会計への繰出基準に基づく繰出しが定められているものをいう。
【分類】
 支払利息は、一定期間の借入れというサービスの提供を受けた時点で「費用」として認識されるものであり、いわゆるバランスシート上の「負債」ではないが、借入れに付随して必然的に後年度に負担することとなるものであること、また、借換等の変動要因があるが、繰出基準に基づき普通会計の負担となることが確定しており、利率と期間があらかじめ定められ金額もほぼ確定していることから、A分類とする。
【金額】
 基準日における企業債の元金について将来支払う予定の利息の総額のうち、繰出基準に基づき普通会計が負担すべき額とする。
 
〈実質収支赤字又は不良債務の発生〉
(2)実質収支赤字額又は不良債務額
【内容】
 基準日における法非適用公営企業、公営企業以外の公営事業に係る実質収支赤字及び法適用公営企業に係る不良債務(流動負債のうち流動資産を上回る部分)をいう。
【分類】
 公営事業会計の経営は、基本的に独立採算により行われるものであり、実質収支赤字又は不良債務が生じた場合、当該公営事業会計の継続を前提とするのであれば、まずは経営の効率化や料金の適正化等により速やかに解消を図るべきものである。
 しかしながら、これらの施策を講じてもなお赤字等が解消されない場合には、普通会計の負担が生じる可能性があることから、B分類とする。
【金額】
 基準日における実質収支赤字額及び不良債務額とする。
 なお、法適用公営企業に係る累積欠損金についても、当該会計の経営状況に関する重要な情報であることから、参考情報として記載することとする。
 
〈廃止に伴う未済債務の発生〉
(3)公営事業会計の廃止に伴う未済債務見込額
【内容】
 事業廃止や民営化等により廃止を予定している会計に係る未済債務及び廃止は予定していないが、売却を目的とした土地等の造成・整備などの非永続的な事業を行う会計を廃止した場合に発生すると見込まれる未済債務をいう。
【分類】
 公営事業会計が負っている債務は、当該会計を廃止しない限り、普通会計の債務となることはないが、実際に会計の廃止を予定している場合、それに伴う未済債務については、最終的には普通会計で負担せざるを得ないものであることから、A分類とする。
 また、廃止を予定していない場合であっても、売却を目的とした土地等の造成・整備などの非永続的な事業(地域開発事業等)を行う公営事業会計については、将来的にそれを廃止した場合の未済債務は、最終的には普通会計で負担せざるを得ないものであることから、A分類とする。
【金額】
 廃止を予定している会計に係るものについては、当該団体において算出した未済債務見込額とする。
 また、非永続的な事業を行う会計に係るものについては、基準日における当該事業に係る負債の総額から当該事業に係る現存資産の時価(不動産鑑定評価、固定資産税評価額等合理的な算出方法に基づき算出した価格)の総額を差し引いた額とする。
 
 一部事務組合等(以下、「組合等」という。)における普通会計の将来的な財政負担となる事象等としては次のようなものが考えられ、公営事業以外の事業を実施する組合等(清掃事業、消防などを行う組合等)、公営事業を実施する組合等(水道、病院、下水道などを経営する組合等)に分けて事象ごとに区分に基づき整理・分類した。
 
※経営の効率化や料金の適正化等を実施してもなお赤字額等が解消できない場合には、普通会計の負担が生じる可能性がある。







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