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平成15年度 新マイクロ波標識の開発に関する調査研究中間報告書

 事業名 新マイクロ波標識の開発に関する調査研究
 団体名 日本航路標識協会  


2.2 我が国における船舶レーダー装備状況
 マイクロ波標識にアクセスする可能性のあるレーダーの実態を検討するため、我が国における船舶レーダーの装備状況を調査した。図2-4に、その結果を示す。
 同図は、海上保安庁内の担当海域別に漁協やマリーナ等で任意に調査した全国集計による調査データと、総務省による無線設備の登録状況のデータからまとめたものである。この2つのデータは、データの区分等に差異があるため、単純な比較が困難であったため、データを以下の3種に区分して整理した。
 それぞれの区分の位置づけは以下の通りである。
 
(1)漁船
海上保安庁データ:漁協所属船を調査したデータ
総務省データ:漁船の船舶局登録データ
 
(2)その他1(漁船を除く概ね20トン以上の船舶)
海上保安庁データ:船会社所属船を調査したデータ
総務省データ:漁船を除く、トン数別設備設置状況データから20トン以上の船舶分を抽出
 
(3)その他2(漁船を除く20トン以下の船舶)
海上保安庁データ:マリーナ所属のプレジャー船(20トン以下)の調査データ
総務省データ:漁船を除く、トン数別設備設置状況データから20トン以下の船舶分を抽出
 
 同図より、レーダー搭載数は海上保安庁データと総務省データとで調査方法が相違しているにもかかわらず類似した数値となっており、現状を的確に表しているものと思われる。また、漁船におけるレーダー搭載率が19%と、ことのほか低い数値にとどまっているのは、3トンに満たない小型船が多くを占めているためと考えられる。(19%という比率は、漁船全体に占める3トン以上の漁船の比率と概ね一致している。)
 今後、新方式のレーダー等が小型かつ安価で実現されれば、現在レーダーを搭載していない小型漁船やプレジャー船へのレーダー搭載数が増加する可能性を表すデータと読みとることも可能であり、その場合、マイクロ波標識の利用度もますます高くなると想定される。
 
図2-4 船舶レーダーの装備状況
 
2.3 マイクロ波標識の主要な機能及び性能
 マイクロ波標識のうち、現在主流となっている周波数アジャイル型レーダービーコンについて、主要な仕様を表2-2に示す。
 
表2-2 周波数アジャイル型レーダービーコンの主要な仕様
番号 項目 仕様 備考
1 送信周波数範囲 9300〜9500MHz  
2 送信周波数安定度 ±4.5MHz以下  
3 周波数アジャイル精度 ±1.5MHz以下  
4 送信電力 400mW±20%  
5 送信応答遅れ 0.6μs以下  
6 空中線利得 8dB以上:灯台・灯標用
3dB以上:灯浮標用
 
7 最小トリガ感度 -40dBm以下  
8 最大許容入力レベル 1W(+30dBm)ピーク  
9 最小受信パルス幅 0.08μs  
10 最大応答周波数(注1) 2.5kHz  
11 遠近判別機能 0.3±0.05μs  
12 送信単位パルス幅 近:1μs±0.02μs
遠:2μs±0.02μs
 
13 パルス符号 任意のモールス符号が単位パルス幅に対応する16ビットから構成されていること。  
14 サイドローブ応答抑圧 メインローブを認識させた後、受信レベルを下げていき、送信応答が停止するレベルが20dB±3dBであること  
15 受信阻止ゲート幅 100μs±10μs  
16 動作/休止シーケンス 動作:10sec
休止:20sec
5sec間隔で精度0.5secで設定できること
 
17 イルミネーション/スタンバイ時間 イルミネーション:10ms
スタンバイ:5ms
 
注1)対応可能なレーダーの最大パルス繰り返し周波数を意味する。
 
 主要な機能性能の内容について、以下にその概要を示す。
 
(1)送信周波数範囲
 送信周波数範囲は、Xバンドを使用した船舶レーダーのすべてが受信できるように、9,320MHzから9,500MHzの範囲を含んでいる。実際の装置では、スイッチによる設定で9,300MHzから9,500MHzをカバーできるようになっている。
 
(2)送信周波数安定度
 電波法無線設備規則の周波数許容偏差より、4.5MHzとなっている。
 
(3)周波数アジャイル精度
 ITU勧告の「汎用目的の海上レーダービーコンに関する技術的特性」に基づき、1.5MHzとなっている。
 また、レーダーの受信帯域のうち、一番狭い場合が一般的に数MHz程度であることから、アジャイル精度は±1.5MHz程度が必要であると考えられる。
 
(4)送信電力
 送信電力は400mWであり、以下の条件での到達距離は、灯台、灯標などに設置されるビーコン(空中線利得8dB)においては9NM、灯浮標に設置されるビーコン(空中線利得3dB)においては5NMとなる。
 
 
D: ビーコン信号到達距離 [m]
λ: 波長 0.032 [m]
Pt: ビーコン送信電力 0.4 [W]
Gt: ビーコン空中線の利得 8 [dB] または 3 [dB]
Grd: レーダー空中線の利得 30 [dB]
Lt: ビーコン送信装置の給電線損失等 6.5 [dB]
Lr: 空間減衰 1 [dB]
Smin: レーダーの最小受信電力 -84 [dBm]
Sn: レーダー表示のための所用S/N 4 [dB]
 
(5)送信応答遅れ
 レーダービーコンの応答符号は、0.6 μs以内に送信されるので、PPI上ではビーコン局の後方約90mから符号が始まることになる。
 
(6)空中線利得
 空中線利得は、前述のようにビーコンが設置される対象によって異なり、以下の2種類がある。
・灯台、灯標等:8dB
・灯浮標:3dB
 
(7)最小トリガ感度
 最小トリガ感度は-40dBmであり、送信出力4kWのレーダーでアクセスした場合の以下の条件でのトリガ可能距離は、灯台、灯標などに設置されるビーコン(空中線利得8dB)においては9NM、灯浮標に設置されるビーコン(空中線利得3dB)においては5NMとなる。
 
 
D: レーダーからのトリガ可能距離 [m]
λ: 波長 0.032 [m]
Pt: レーダー送信電力 4 [kW]
Gt: レーダー空中線の利得 30 [dB]
Gr: ビーコン空中線の利得 8 [dB] または 3[dB]
Lt: ビーコン送信装置の給電線損失等 6.5 [dB]
Lr: 空間減衰 1 [dB]
Smin: ビーコンの最小トリガ感度 -40 [dBm]
 
(8)最大許容入力レベル
 最大許容入力レベルは1W(1分間印加)である。
 
(9)最小受信パルス幅
 最小受信パルス幅は0.08μsであり、一般的な船舶レーダーにおける近距離レンジ選択時の短いパルスに対応している。
 
(10)最大応答周波数
 最大応答周波数は2.5kHzであり、これはパルス繰返し周波数が2.5kHzまでの船舶レーダーに対応できることを示している。
 
(11)遠近判別機能
 レーダーのパルス幅は、一般的には近距離レンジでは短いパルス幅が使用され、遠距離レンジでは長いパルス幅が使用されるため、ビーコンで受信したパルス幅が0.3μs未満か、またはそれ以上かを識別する機能である。これによって、ビーコンにアクセスしたレーダーがどのようなレンジで運用しているか判断する。
 
(12)送信単位パルス幅
 遠近判別機能で、レーダーのパルス幅が0.3μs未満と判断された場合は、応答符号の単位長さ(モールス符号の1短点の長さ)を1μsとし、0.3μs以上であれば単位長さを2μsとする機能である。これにより、レーダーがどのレンジで運用されていても適度な長さの応答符号輝線が表示できるようにしている。
 
(13)パルス符号
 上記の単位パルス幅に対応する16ビットから構成される符号を生成する事ができる。IMO勧告で、レーダービーコンから送信する応答パルスは「長線から始まるモールス符号で、1長線=3短点および1短点=1間隔という比をもって分割されていること」となっているため、これに従った符号を生成する。
 符号K(−・−)の場合は、
1110101110000000
長線|短点|長線
の符号となり、レーダーが0.3μs未満のパルスでアクセスしてきた場合は、
 「3μs送信 1μsスペース 1μs送信 1μsスペース 3μs送信」の符号を応答することになる。
 またレーダーが0.3μs以上の長さのパルスでアクセスしてきた場合は、
 「6μs送信 2μsスペース 2μs送信 2μsスペース 6μs送信」の符号を応答することになる。
 
(14)サイドローブ応答抑圧
 直前回のレベルと今回のレベルを比較し、20dB以上の差があれば送信禁止とし、サイドローブ等に応答する事を防いでいる。
 
(15)受信阻止ゲート幅
 レベル判定等を行った結果、送信可能な状態になると、100μs間受信を阻止する。
 
(16)動作/休止シーケンス
 周波数アジャイル型ビーコンは、レーダーと周波数が一致していることから、レーダー空中線がビーコン局と対向するたびに毎回必ずPPIに応答信号が表示されてしまう。これを適度な頻度に低下させるために、10秒動作/20秒休止というシーケンスを持たせている。
 レーダー空中線が24rpmの場合は、12回転中4回表示されることになる。
 
(17)イルミネーション/スタンバイ時間
 ビーコンが受信周波数を一度ロックしてしまうと、その周波数の応答しか出来なくなってしまう。このため、10msイルミネーション(電波発射)したのち、5msのスタンバイ時間を設け、ロックした周波数やレベルのデータをクリアして次の応答に備える機能である。パルス繰返し周波数が1000Hzのレーダーであれば、10本のラスターに連続して符号が現れることになる。







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