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第2章 マイクロ波標識の現状
2.1 我が国の既存マイクロ波標識の現状
 
 我が国において現在使用されているマイクロ波標識は、レーマークビーコンとレーダービーコンに大別される。このうち、レーダービーコンは低速掃引型と周波数アジャイル型の2つの方式が利用されている。以下に、これらのマイクロ波標識の概要、およびその設置状況について調査結果を示す。
 
(1)レーマークビーコン
 レーマークビーコンは、船舶用レーダーと同一周波数の電波を常時発射し、ビーコン局の方向を示す輝線を船舶のレーダーPPI(Plan Position Indicator)上に地形の映像に重ねて表示させるものである。レーマークビーコンは、大洋航海から沿岸に接近するとき、初めて陸岸のレーダー映像が見え始める地点の初認標識として、また海岸線が広範囲にわたって平坦な低地であるためレーダーで陸地を明確に捕らえられない地点などの確認標識として使用される。
 レーマークビーコンは、Xバンドを使用した船舶レーダーのすべてが受信できるように、9320MHzから9500MHzの範囲で周波数を掃引させながらパルス波を発射している。従って、船舶レーダー空中線がレーマークビーコン局に、レーダーの周波数とレーマークビーコン局の送信周波数が一致していれば、レーダーPPI上に中心から外縁向かって図2-1に示すようにレーマーク信号が表示される。この輝線の出発点が自船の位置であり、レーマーク信号はレーマークビーコン局の方位を示している。従って、輝線はPPI面の中心から端まで伸びて現れるので、送信地点の地形が明確に現れない限り、そこまでの距離を知ることはできない。
 
図2-1 レーマークビーコンの表示例
 
(2)レーダービーコン
 レーダービーコンは、船舶のレーダーから発射された電波を受信したとき、これをトリガとしてレーダーと同一周波数帯のビーコン電波を発射し、船舶のレーダーPPI上にレーダービーコンの符号を表示させるもので、レーコンとも呼ばれるトランスポンダの一種である。レーダービーコンの符号は、PPI上にレーダービーコン局のすぐ後方(中心から見て外側)に輝線で表示されるので、局の位置を知ることができる。図2-2にレーダービーコン符号の表示例を示す。
 
図2-2 レーダービーコンの表示例
 
 レーダービーコンは、次のような場所に設置される。
(1)狭水道および陸岸に接近した主要航路などの主要目標点または危険な障害点
(2)レーダー映像に現れにくい干出岩
(3)砂浜などの障害点または他の航行船舶のエコーと誤認される恐れがある障害点
 現在利用されているレーダービーコンには、低速掃引型と周波数アジャイル型の2つの方式がある。
 低速掃引型は、船舶レーダーから発射されたレーダーパルスを受信すると、これをトリガとして直ちに船舶レーダーに使用されている周波数帯で応答パルスを発射する。応答パルスの周波数は9340MHzから9470MHzの周波数帯を40〜60秒の周期で掃引して送信しているので、この応答パルスの周波数とレーダー周波数がほぼ一致したときのみ、ビーコン信号がPPI上に出現する。レーダー空中線の回転と掃引周期の間には同期関係がないので、レーダー空中線が何回転かした後に、ビーコン信号を受信できる機会が生じることになる。
 周波数アジャイル型は、受信したレーダー波の周波数を測定し、直ちに同じ周波数で応答信号を送信するもので、低速掃引型にくらべ周波数が合致しているので、PPI上により良い映像で表示される。低速掃引型では、送られてきたレーダー波の周波数とは無関係にレーダー帯域すべての周波数を掃引して送信するため、レーダーと周波数が合致していないときは無効な電波を発射していることになる。周波数アジャイル型では、送られてきたレーダー波と同じ周波数で応答するため、レーダーは確実にその信号を捕まえることができ、効率的である。我が国において1996年度以降に設置するレーダービーコンは、この周波数アジャイル型となっている。
 レーダービーコン局には、灯台や灯標に設置される陸上設置型と灯浮標に設置されるブイ搭載型があり、有効範囲は陸上設置型で約9NM、ブイ搭載型で5NMである。陸上設置型もブイ搭載型も送信機の出力等は同じだが、空中線寸法にあまり制限がない陸上設置型のほうが高い利得の空中線を使用できるため、有効範囲が広くなっている。
 
(3)マイクロ波標識の設置状況
 我が国におけるマイクロ波標識の設置状況を表2-1に示す。また、レーダービーコンの設置位置を図2-3に示す。
 
表2-1 マイクロ波標識の設置状況
 
1. レーダービーコン(無線航行陸上局)
方式 管区 標識名(設置場所) 符号符字
周波数アジャイル型 三 東京灯標 K
第二海堡 X
浦賀北口(浦中6号) M
四 伊勢湾口(伊勢湾1号) G
五 播磨灘(播磨4号) K
六 八島南方(伊予灘5) G
来島西口(来島2号) K
地蔵埼 Y
釣島 Q
十一 水納島 C
     
低速掃引型 一 野付埼 7短点
二 大間埼 7短点
三 布良鼻 7短点
神子元島 7短点
浦賀南口(浦中1) ソ
東京湾中ノ瀬D(LB) ソ
四 角石(灯標) ソ
五 州本沖(LB) ソ
明石海峡航路東方(LB) ソ
明石海峡航路西方(LB) ソ
六 高井神島 7短点
来島東口(来島9号) ソ
周防野島 7短点
六島 7短点
三つ子島(4A橋脚) 7短点
波節岩(灯標) ソ
七 水ノ子島 7短点
姫島 7短点
下関南東水道(4号) ソ
関門航路西(関門6号) ソ
十 甑中瀬 ソ
     
許可標識 三 東京湾アクアラインP7橋脚 7
五 岸和田沖(関空関連) K
大鳴門橋 O
友ヶ島水道 K
 
符号符字
「C」:−・−・
「G」:−−・
「K」:−・−
「M」:−−
「0」:−−−
7短点:・・・・・・・
「Q」:−−・−
「X」:−・・−
「Y」:−・−−
「ソ」:−−−・
「7」:−−・・・
 
2. レーマークビーコン(無線標識局)
方式 管区 標識名(設置場所)
静止型(3アンテナ方式) 一 稲穂岬
宗谷岬
納沙布岬
襟裳岬
二 入道埼
金華山
塩屋埼
閉伊埼
飛島
三 剱埼
野島埼
犬吠埼
御前埼
磯埼
四 大王埼
五 潮岬
室戸岬
足摺岬
紀伊日ノ御埼
六 佐田岬
七 豆酘埼
対馬北
八 浜田
経ヶ岬
美保が関
九 弾埼
禄剛埼
猿山岬
十 佐多岬
回転型(ピルボックス) 一 松前
恵山岬
厚岸
積丹岬
二 鮫角
尻屋埼
綾里埼
三 伊豆大島
七 女島
八 白島埼
九 細島
屋久島
都井岬
釣掛埼
大山埼
 
図2-3 我が国のレーダービーコン設置現況図







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