日本財団 図書館


JNTヘリテイジセンター
白川郷合掌文化館10周年記念イベント
 第1次文化財取得保護計画で募金によって今から18年前の昭和61年に取得した旧松井家は、修復後、JNTのヘリテイジセンターとして活用してきた。白川郷の地域づくりの拠点や合掌の保存・活用を語る場、さらにはJNTの活動の紹介など幅広い利活用が皆さまのご支援でなされていた。
 JNT会員からなる白川BOX(会長・大田利展)では、夏休みを中心にボランティアで当館の開館をおこない、広く人々の交流の場として活用し、好評を博している。
 そして本年度、開館10周年を迎え、9月6日(土)にはその記念イベントがおこなわれた。白川村教育委員会、荻町の自然環境を守る会、そして、白川BOXの皆さまと話し合いを重ね、結論は屋根の修理と周囲の杉林の手入れと障子の張り替え、そして将来を見据えた話し合いというメニューに到った。
 当日は、あいにくの雨天となったが、屋根によく陽が当たるように杉の枝打ちをJNT白川BOXの会員や荻町の自然環境を守る会の有志の皆さまのボランティアでおこなった。うっそうと茂った杉林は、2時間もすると見違えるほど見通しと風通しがよい状態になった。
 夕方からは、谷口尚・白川村長のあいさつ、杉田房子・JNT理事や安藤邦廣・筑波大学教授がお話をされた後、当初からJNTが合掌造の保存に関わり、ご指導いただいた根尾治吉・元荻町の自然環境を守る会会長や高島外成・元白川村教育長を交えて将来にわたる合掌文化館の活用のあり方等について話し合いをおこなった。来訪者にも地元の皆さまにも愛される建物として活用したいというのが、参加者の願いであった。
 白川村で合掌造民家の保存に大なり小なりお手伝いさせていただいて約30年。これからも微力ながら頑張ります。
(事務局長 米山)
 
イベントに参加くださった皆さま
 
障子の張替え作業をおこなった
 
白川BOX会員や住民による杉の枝打ち
 
平成15年度修復事業報告
 駒井家住宅(京都市左京区/京都市指定文化財)は、建築家ヴォーリズの設計で昭和2年に建設されたスパニッシュスタイルの洋風住宅です。JNTは、平成14年に寄贈を受け、駒井家住宅保護管理委員会(委員長・三村浩史先生/京都大学名誉教授・JNT観光資源専門委員)を設立して修復計画や管理計画などを検討しています。
 駒井家住宅の主屋は木造2階建て、屋根は切妻造、赤色桟瓦葺で、外壁面はモルタルのスタッコ仕上げです。屋根瓦は、一部に応急的に修理がみられるものの、建設当時より全面の修復がされておらず、瓦のズレがかなりみられました。管理委員会でも屋根の修復工事が緊急課題であるという結論で、平成15年度修復事業計画をまとめました。主屋の他に洗濯室であった付属棟(木造平屋建て、市指定文化財)とハナレ(木造2階建て)があり、合わせて屋根の修復をおこないました。
 すべての瓦は、塩焼き瓦で葺かれています。塩焼き瓦とは瓦の焼き上げ時に塩を使用し(塩が高温で熔けることで釉薬の役割をするものです。現在では田畑への塩害が懸念されるため、造られなくなりました。当時の塩焼き瓦は、光沢がなく落ちついた風合いがあります。そこで修復計画では傷みのない瓦を選別し再利用することにしました。工事では、慎重に瓦が降ろされ一つひとつ点検し、また少しずつ大きさの違う瓦を丁寧に並べて組み直しました。一部の瓦は割れがあり再利用できませんでしたが、約8割のオリジナルの瓦を利用し、目に見えない部分には新しい瓦を入れ、建設当時の外観を保つことができました。また、屋根下地は新たにルーフィングと瓦桟を施工し、将来にわたって雨漏りがなく、長持ちするような工事をおこないました。その他、煙突の応急修理、建具の戸あたり調整、網戸の復元や水切りの修復などをおこないました。昨年の5月に先行しておこなった床の修復工事に続き、また一段と美しい駒井家住宅となりました。
 修復工事と平行して、建築物調査をおこないました。調査は近代建築調査研究会(代表・山形政昭/大阪芸術大学建築学科教授)が担当し、実測調査、構造調査、設計図書の検証などをおこないました。今後、5月からの本格的な公開に向けて、展示整備や管理体制を整えていきます。
 駒井家より、ダイニングテーブル、イス、ピアノに続き、昨年12月にオリジナルの手動式のレコードプレーヤーをご寄贈いただきました。居間のベンチウインドーに座ると駒井卓、静江夫妻がお住まいであった頃の風景が浮かび、来訪者もすばらしい建物であると感激されます。
 駒井家住宅では会員ボランティアが活躍しています。お掃除、庭手入れ、解説ボランティアなど、皆さんもぜひご参加ください。また、修復の為の募金活動も進めています。今後もご支援とご協力をお願いします。
(関西支部 住田)
 
オリジナルの瓦で修復された屋根
 
ニュース
トラストトレイン
平成16年度の運転予定日が決まりました
 去る2月17日に大井川鐵道(株)との管理運営会議をおこないました。平成15年度の営業実績は、昨年4月から土砂災害で運休したため、運転日が4回となり乗客者725名ボランティア参加者数44名、車内販売売上55000円、車内募金37062円でした。皆さまのご協力に感謝いたします。平成16年年度は4月から運転再開する予定です。ぜひ多くの皆さまのボランティア参加をお待ちしております。引き続き、ご支援・ご協力をお願いいたします。なお運行時間に変更があります。上りは今までどおりですが、下りが約30分ほど繰り下がり千頭駅発15時45分となります。詳しくは事務局まで。
▼運転日 4月24日・5月29日・6月12日・7月3日・8月28日・9月25日・10月16日・11月27日
(いずれも土曜日)
 
イベント
「JNT会員の集い」in 駒井家住宅
 駒井家住宅会員ボランティアの方々や関西在住の会員を中心に、民家サークル見学会参加者も交えて、駒井家住宅で会員交流会を開催します。屋根瓦の葺き替えや床の修復工事も完了し、美しい姿を取り戻しました。関西会員はもちろん、全国の会員の皆さまの参加をお待ちしております。
 
▼日時 4月25日(日)11時〜13時
▼集合 駒井家住宅
▼会費 1500円(昼食込み・一部募金に充てさせていただきます)
▼申込先 事務局までご連絡ください。
 
イベント
財団法人日本ナショナルトラスト民家町並みサークル見学会
「京の町家と近代建築をめぐる」
 今回の見学会は京町家の代表格ともいえる京都市登録文化財の杉本家住宅(奈良屋)や、NPO京町家再生研究会が取り組む町家の再生事例を見学する予定です。また、ヴォーリス建築として駒井家住宅、御幸町教会、武田五一設計の京大人文科学研究所などを企画しています。なお駒井家住宅では、上記の会員交流会もおこなう予定です。
▼日時 4月24日(土)〜25日(日)
▼集合時間 24日午後12時30分
▼集合場所 JR京都駅ビル・ホテルグランヴィア京都 2階ロビー
▼講師 吉田桂二氏
▼費用 15000円
▼申込締切 4月16日 先着20名(サークル会員以外にも参加できます)
▼申込先 事務局まで *詳細は事務局までお問合せください。
 
●ご支援ありがとうございます●
新入会(平成15年12月1日〜31日)
個人会員
<埼玉県> 中村 徳仁・陽子、日置 向勝
<東京都> 前原 忠司・由美子
<神奈川県> 水沼 淑子、小林 千明
   横堀 充、河野 顕子
 
寄付者(平成15年12月1日〜31日)
〔一般寄付〕
◎100,000円 伊藤 育代
 
〔トラストトイレイン募金〕
◎200,000円 青木 栄一
◎20,000円 高島 重行、多田 真太郎
◎15,000円 西崎 泰広
◎12,000円 浅井 辰夫、川島 和之、
堀切 雅之
◎4,800円 芝辻 篤
◎2,400円 鶴野 瑞穂
◎1,000円 清水 雄二、中川 謹三郎
◎774円 トラストトレイン募金箱
 
〔民家庭園募金〕
◎1,900円 白川郷合掌文化館募金箱
<敬称略>
*第二次文化財取得保護計画への募金者につきましては、後日改めて掲載させていただきます。ご了承ください。
 
●お詫び●
 会報の発行が遅れており会員の皆さまにはご迷惑をおかけしております。現在通常発行にむけて努力しておりますので、引き続きご支援いただきますようよろしくお願いいたします。
 
財団法人日本ナショナルトラスト
〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-4-1
 新国際ビル923区
TEL 03-3214-2631 FAX 03-3214-2633
E-mail info@national-trust.or.jp
郵便振替番号:00120-2-106140
加入者名:財団法人日本ナショナルトラスト
●関西支部
〒630-8301 奈良県奈良市高畑町1083-1
名勝大乗院庭園文化館2階
TEL/FAX 0742-20-5060
【京都事務所(駒井家住宅)】(火・金曜日)
〒606-8256 京都市左京区北白川伊織町64
TEL/FAX 075-724-3115







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