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 それが正しいとすれば、これらの意識には、国立劇場としては成立せず、しかし、国家を代表する劇場との体裁を内外に示そうとした帝国劇場と近似がみられるとはいえまいか。もっとも、内子座の場合は、あくまで大典を口実として借りたのであり、帝国劇場は、ストレートなナショナリズムの反映であった。その差は、先にも述べた設立基盤の違いに求められようし、やや大胆に言えば、近代日本の劇場の公共性獲得の二つの方向性を示していた。
 
帝国劇場大正三年四月興行中幕(勧進帳)松本幸四郎の扮装武蔵坊弁慶
[高畠華宵大正ロマン館提供]
 
大正七年五月帝国劇場(新鏡山)松波圭馬(宗之助)常盤津文字金(菊江)
[高畠華宵大正ロマン館提供]
 
大正七年五月帝国劇場(嘘の世の中)金太郎(宗之助)新十郎(律子)益田太郎冠者作
[高畠華宵大正ロマン館提供]
 
同上、乳母お琴(浪子)
常盤津文字金(菊江)
[高畠華宵大正ロマン館提供]







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