3. 新造船活動の歴史
インドネシアにおける新造船実績の推移
このグラフはBKI登録ベースで、1945年以降のインドネシア国内における新造船実績の推移を示すものです。各バーは該当する5年間の合計新造船竣工量を示しています。100GT超のインドネシア籍船舶はすべてBKI(インドネシア船級協会)に登録されます。したがってこのグラフは輸出船を除いた新造船実績をほぼ網羅するものであります。
60年代末期以降、インドネシア造船業は80年代半ばまで順調に前進しました。1979年の石油危機とそれに続く不況は新造船の停滞を招きました。さらに1985年のプラザ合意とそれに伴うルピア安は国内造船市場の状況を悪化させました。1983-87年の建造隻数はその前の5隼間と比べて55%近く減少を示しています。
80年代末期から回復に向かったものの、インドネシア造船業は1997年にまたしても挫折を味わいました。アジアの経済危機です。ルピア安とそれに続く、20%にも達する銀行金利の高騰は国内船主の新造船発注意欲を冷え込ませました。
造船業界が将来に希望を持てるようになったのは、銀行金利が低下し、新造船の引合いも増加するようになった、ごく最近のことであります。
4. インドネシア新造船活動における特筆すべき出来事
この時系列線上に、インドネシア造船業におけるいろいろな画期的出来事を示します。
1982年に、PERTAMINAは国内造船所に3,500DWT型タンカー5隻を発注しました。これはインドネシアにおける大型船建造の本格的開始を画す出来事であります。その後、PERTAMINAの国内石油輸送用として、3,500DWT型、6,500DWT型タンカーと自航石油バージを標準化しました。
1986年に建造された5,000GT型フェリーは客船建造の実績におけるランドマークです。1990−97年にBKIが自社設計で建造した150GT~500GT型のフェリー12隻も、客船建造史の重要な1ページです。
CARAKAJAYAと銘打った自国船隊増強計画が1986年から実施に移されました。1986-89年の第1期では、3,000DWT型一般貨物船5隻が建造されました。1990-94年の第2期には、3,600DWT型セミコンテナ・一般貨物船27隻が建造されました。さらに1993年に開始された第3期には、4,200DWT型フルコンテナ船24隻が建造される計画でした。しかし、うち9隻が引き渡されたところで、資金問題から建造は中止されました。
MINAJAYAと名づけられた、新たな自国船隊増強計画が1994年に開始され、スペイン政府の財政・技術援助を得て300GT型漁船31隻を建造することになりました。しかし9隻が竣工した2000年の時点で、このプロジェクトも中止されました。
このように計画中止が2回にわたって生じたことは、インドネシア造船業に暗い影を投げ掛けました。
これが全国的な経済危機と重なったため、業界はまだ完全な回復を見ていませんが、それでも現在では状況は既にマイナスからゼロに向かっており、近い将来にはプラスに転じるでしょう。国内向けの各種の船舶、フェリー、タグ、先端的海運事業向けの貨客船、PERTAMINA向けのタンカーなどの受注が、この状勢好転の明らかな兆しを示しています。
5. インドネシア海運と船隊
(1)船種別の特色
このグラフはインドネシア国内船隊全体の船種別構成を示すものであります。
総隻数は7,000を超え、総トン数の合計は700万GTを上回ります。(この図はBKI登録ベース、すなわち100GTまたは機関出力100PS以上の船舶を対象としています。海上輸送局長に登録された数値では10,656隻に達しています。)
インドネシア船隊の船種別構成
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ご覧の通り、インドネシアの国内船隊は、バージとタグの隻数が非常に多いのが特色となっています。このタグとバージという組合せは、石油、CPO(ヤシ油)や石炭、浚渫排土等、国内貨物の輸送に重要な役割を果たしています。
一般貨物船とコンテナ船の数はあまり多くありませんが、しかし増加しています。一般貨物船の隻数には陸揚用舟艇が含まれ、そのシェアは10%超になります。陸揚用舟艇式の貨物船にはさまざまな種類があり、港湾施設のない地方における短距離輸送に重要な役割を果たしています。撒積船もやはり少数に過ぎません。
旅客輸送の特色としては、長距離用のPELNIと呼ばれる純客船と多数のやや小型のフェリーに分化していることが挙げられます。
貨物主体、旅客主体いずれについてもRO/RO船の需要が高まっています。貨物主体のRO/RO船はジャワ、スマトラ、カリマンタン、スラウェシの主要各島を結ぶ航路に投入が見込まれています。旅客主体のRO/RO船は主要各島と小島を結ぶ航路に配船される予定です。
(2)建造国
インドネシア船隊の建造国別構成
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隻数 |
総噸数(単位千GT) |
シェア(隻数) |
シェア(トン数) |
自国 |
3,232 |
1,403 |
45% |
20% |
日本 |
1,426 |
2,387 |
20% |
34% |
シンガポール |
1,359 |
874 |
19% |
12% |
中国 |
201 |
197 |
3% |
3% |
ヨーロッパ |
398 |
1,129 |
6% |
16% |
その他 |
551 |
1,096 |
8% |
15% |
計 |
7,167 |
7,085 |
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国内建造船は隻数ベースで45%、トン数ベースで20%を占めています。
その他は日本建造の輸入船で、主として中古船市場で調達したものですが、これが隻数で20%、トン数で34%を占めます。次いでシンガポールが隻数で19%、トン数で12%、ヨーロッパが隻数で6%、トン数で16%、中国が隻数、トン数とも3%となっています。
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