III 造船関係国際協力の現状
我が国は、従来より各国に対し政府資金による技術協力及び資金協力を実施している。そのうち、無償資金協力、技術協力(開発調査、専門家派遣、研修員の受入)についてはJICA(Japan International Cooperation Agency)を、有償資金協力(円借款)についてはJBIC(Japan Bank for International Cooperation: 1999年10月にOECFとJEXIMが合併)を、それぞれ窓口として行っている。
1. 造船関係資金協力
造船関係の資金協力として、従来から我が国は、フェリー、内航貨物船、作業船、訓練船等の船舶、舶用機関、船員教育機材等に無償供与を実施している。また、開発途上国における修繕用造船所建設、船舶建造等についても円借款の供与を行っている(表III-1 参照)。
2. 造船関係技術協力
政府ベースによる造船関係技術協力としては、(1)開発調査の実施、(2)技術指導のための専門家派遣、(3)研修員の受入等がある。
開発調査に関しては、造船に関する基本政策及び海上安全管理計画の策定並びに船舶建造、修繕用造船所建設及び海運学校整備等に関するF/S (Feasibility Study) のための調査団を多数の国へ派遣した(表III-2参照)。
また、技術指導に関して、造船政策及び船舶安全政策に係わる助言並びに船舶検査の改善及び造船所の経営管理・造船技術レベル向上等のための専門家を派遣している(表III-3参照)。
研修員の受入は、JICAを窓口に行われているが、造船関係分野の受入先としては、海外の造船技術者等の研修及び造船に関するコンサルタント業務を行う機関として設立されたOSCC(Overseas Shipbuilding Cooperation Centre)がある。
現在、OSCCでは、国際基準に沿った船舶安全管理、船舶検査及び外国船監督技術等の修得を行う「海事国際条約及び船舶安全検査コース(期間7カ月)」及び船の設計、建造及び艤装、機関の艤装及びメンテナンス、並びに品質保証制度の基本及び実務知識に関わる技術の修得を行う「造船と品質保証制度コース(期間8カ月)」の2コースについて集団研修を実施している( 表III-4及びIII-5参照)。「造船経営管理コース(期間2カ月)」は、1999年第20回で、「船舶安全・海洋汚染防止コース(期間12カ月)」は、2000年第10回で終了( 表III-6及びIII-7参照)。
また、これらの集団研修コースの他に各自のテーマにより研修を行う個別研修も実施している。
表III-1 政府資金による造船関係資金協力の実績
年度 |
国名 |
金額(百万円) |
内容 |
1994 |
フィリピン |
15,000 ※ |
内航海運近代化計画
職業教育短大強化事業 |
タイ |
7,806 ※ |
計 |
2,2806 |
1995 |
パキスタン |
2,430 ※ |
海洋調査船改修計画
ピパバブ港船舶解撤計画 |
インド |
7,046 ※ |
計 |
9,476 |
1997 |
サモア |
1,443 |
島嶼間輸送貨客船建造計画
ベイラ港俊喋船詳細設計 |
モザンビーク |
27 |
計 |
1,470 |
1998 |
モザンビーク |
1,962 |
ベイラ港浚渫船建造計画
内航海運近代化計画II |
フィリピン |
19,990 ※ |
計 |
21,952 |
2001 |
フィリピン |
9,356 ※ |
海難救助・海上汚染防止システム増強計画 |
計 |
9,356 |
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(注)1. 金額欄に※印のあるものは有償資金協力。無いものは無償資金協力。
2. 交換公文締結ベース。
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表III-2 開発調査団等派遣の実績
年度 |
国名 |
調査概要 |
1995 |
フィリピン・インドネシア |
帰国研修員フォローアップ |
ヴィエトナム |
全国沿岸海上輸送整備開発調査 |
計 |
2件 |
1996 |
フィリピン |
船舶検査体制及び技術向上プロジェクト事前調査 |
西サモア |
島嶼間貨客船建造基本設計調査 |
計 |
2件 |
1997 |
モザンビーク |
ベイラ港浚渫船建造基本設計調査 |
計 |
1件 |
1998 |
トルコ・エジプト |
帰国研修員フォローアップ |
フィリピン |
船舶検査体制及び技術向上プロジェクト短期調査 |
計 |
2件 |
2002 |
インドネシア |
内航海運及び海事産業振興M/P |
計 |
1件 |
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表III-3 専門家派遣の実績
年度 |
国名 |
人数 |
派遣期間 |
内容 |
1998 |
インドネシア |
2 |
98.4〜98.5 |
ISMコードセミナー |
フィリピン |
1 |
98.4〜99.4 |
船舶エンジニアリング |
フィリピン |
1 |
98.7〜98.11 |
船舶安全行政 |
フィリピン |
1 |
98.8〜99.2 |
プラスチック造船技術 |
サモア |
1 |
98.8〜99.8 |
船舶エンジニアリング |
タイ |
2 |
98.8〜98.9 |
造船産業セミナー |
タイ |
1 |
98.12〜00.12 |
造船業の近代化 |
メキシコ |
1 |
99.1〜99.2 |
ISMコードセミナー |
フィジー |
3 |
99.4〜99.4 |
船舶安全に関する国際条約 |
計 |
13 |
|
9件 |
1999 |
フィリピン |
1 |
99.4〜01.3 |
海運・造船業の民間活性化対策 |
インドネシア |
1 |
99.7〜01.6 |
船舶安全行政 |
サモア |
1 |
99.7〜01.7 |
船舶エンジニアリング |
インド |
2 |
99.9〜99.10 |
造船設備診断 |
ジブティ |
2 |
00.1〜00.2 |
船舶機関整備 |
フィリピン |
1 |
00.2〜00.10 |
プラスチック造船 |
メキシコ |
1 |
00.2〜00.3 |
海上における危険物貨物の取扱 |
インドネシア |
2 |
00.2〜00.3 |
船舶検査のOJT |
メキシコ |
1 |
00.3〜00.4 |
船舶検査に関する指導 |
計 |
12 |
|
9件 |
2000 |
インドネシア |
1 |
00.5〜02.5 |
造船産業政策 |
フィリピン |
2 |
00.5〜02.5 |
船舶検査能力向上(チーム派遣) |
パナマ |
1 |
00.8〜00.10 |
船外機保守整備 |
インドネシア |
3 |
00.11〜00.11 |
船舶検査OJT |
フィリピン |
3 |
01.3〜01.5 |
船舶検査能力向上(チーム派遣) |
フィジー・トンガ |
1 |
01.3〜01.3 |
PSC、船舶安全検査(広域) |
モザンビーク |
2 |
01.4〜01.7 |
機械技師、電気機器技師 |
計 |
13 |
|
7件 |
2001 |
サモア |
1 |
01.7〜02.7 |
船舶エンジニアリング |
フィリピン |
4 |
01.9〜01.11 |
船舶検査能力向上(チーム派遣) |
タイ |
2 |
01.10〜02.3 |
船舶検査行政 |
フィリピン |
1 |
01.10〜02.3 |
船舶検査能力向上(チーム派遣) |
インドネシア |
1 |
02.3〜02.4 |
復原性セミナー |
計 |
9 |
|
5件 |
2002 |
サモア |
1 |
02.7〜03.7 |
船舶エンジニアリング |
フィリピン |
4 |
02.9〜02.11 |
船舶検査能力向上(チーム派遣) |
フィリピン |
1 |
03.2〜03.3 |
船舶検査能力向上(チーム派遣) |
計 |
6 |
|
3件 |
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