アクセス数と参加者数の推移
2003年1月〜10月まで、実際の参加者数とアクセス数の推移です(スライド1)。急激にアクセス数が伸びているのと同時に、参加者数も上がっています。私たちの活動では、初参加の人が10人ぐらいどんと来てしまうと収拾がつかなくなってしまいます。そこで起きた問題は、初参加の人に対するマナーの不徹底だったり、1人当たりのプレーの時間が減少してしまったり、「ネットを見て来た」といって自分を名乗らないプレーヤーが来たりしたのです。
これはまずいと思って、初参加の人をこの時期からしばらくお断りするようになりました。同時に、サイトのほうも一部非公開というかたちになりました。それでアクセス数は7月から9月にかけて徐々に右下がりの状態になったのです。
活動を始めたのが2001年5月ですが、現在の参加者数を同じ時期で比べたとき、参加者数は伸びていません。これに気付いた時ショックでホームページをやめようかと思いました。やはり、私たちのサッカーは参加者の出入りが激しいようなんです。新しい人が来る分、出る人もいる。逆に考えると、ホームページなしではそのバランスが保てないというサッカーなのです。
参加登録者の地理的分布
これは、青空FC府中の参加登録者の地理的な分布です(スライド2)。大きい人が5人、小さい人が1人とカウントしていくと、圧倒的に府中市が多いのです。自転車でアクセスできる行動範囲にマッチした部分と考えています。逆に、よくこんな遠くから来るなという人たちもいます。特に、大月から来る人にはびっくりしました。
先程の参加者数の推移を見て、2年間やってきた中で定着していないという理由の一つに、遠方から来る人、スポット的に1回のみの参加という人が多いのではないかと考えられます。それを防ぐには、活動地域を府中市中心にする。府中市近辺の人に来てほしいということです。今後の課題として、どうやったらこの府中市近辺をターゲットにしてプロモーションを掛けていくかということを考えています。
アクセス解析でわかること
ホームページを作られている方がこの中にかなりいらっしゃったかと思うのですけれども、アクセス解析をやっているという方は少ないようです。ホームページを運営しているにもかかわらずアクセス解析を取っていないのは、大変もったいないです。
私が今、利用しているアクセス解析では、ドメイン名や月ごとのページビューがわかります。ブラウザーはWindowsのインターネットエクスプローラー6.0が圧倒的に多い。また、時間別にアクセスが一番込み合う時期はいつなのか。私たちのサイトの場合、割と昼間に集中することがあるのです。おそらく、会社のパソコンからこっそり参加申し込みをしているのではないか。通常は、深夜にアクセス数が集中しています。どのページがどのくらいアクセスされているのかの順番もでます。自分のサイトに来る一歩手前のサイトはいったいどこだったのかということもわかります。最後に、検索エンジンで来た場合、何をキーワードにしてここに来たのかもわかります。
ユーザーの声が聞けるアクセス解析
アクセス解析がなぜ必要かといいますと、ユーザーの声をダイレクトに聞ける部分ということが一つあります。先日行ったリニューアルにおいてもアクセス解析を見て変えた部分があります。これまでサイト名を「青空サッカープロジェクト」、キャッチコピーは「いつ来てもいつ帰ってもいいサッカー場を作ろう」でした。今は「青空サッカー・オン・ザ・ウェブ」。「青空サッカー」という言葉をメインに持ってきて、キャッチコピーとして「みんなでサッカーをやろう」としています。
アクセス解析を見ていると、どう見てもサッカーがやりたいという理由で来ている人が大半です。というのは、「サッカーをする場所」「参加方法」にアクセスが集中している。これに気付かずに、自分の理念とか活動に参加してほしいという押し付けがましいところが一番先頭に立ってしまっていたのです。「みんなでそういう場所を作りましょうよ」と。でも、初めて来る人からしてみれば「そんなことよりもまずサッカーがやりたいのだ」、私はその事にアクセス解析をして改めて気付いたのです。私が使っているものはフリーのCGIで、無料なので、もし時間があるときにアクセスして試してみてください。
スライド2
ウェブ活用の成果と課題
成果としては管理コストの削減があります。携帯電話からでも参加申し込みができます。参加のキャンセルや、現在の参加者総数を出せるようにしたことでこちらの手間が省けています。課題に関しては、先程の地域を限定したプロモーションの強化と、参加者数の増加です。
最後に、今、一番興味、関心のある分野として「ウェブコミュニティー」があります。ネット上で人間同士のコミュニケーションがもっと活性化されないのか、それが青空サッカーのホームページ上にできれば、当日のサッカーももっと楽しくなるのではないかということを考えています。
●質疑応答
加勢 スポーツインキベーションシステムというNPOをやっています。日野に住んでいるので、1回ぐらい行ってみたいなという感想を持ちました。質問は二つほどあります。まず、収益はどうなっているかを松本さんに。また、先程言われたネットコミュニティーをどう作っていくか、ウェブログのビジネスをどのようにスポーツ界に持ってこられるかという部分をお二人にお聞きしたいと思います。
松本 今、青空サッカーの収益は本当に参加費のみです。プラスサーバー費用が賄える程度で、マイナスではないです。
加勢 青空サッカープロジェクトで食べていかないのかという話です。
松本 それは後の交流会でお酒を飲みながらということでお願いします。
加勢 アメリカの方とかでは、ウェブログが頻繁に利用されて、多分、検索エンジンを使わないでウェブログで全部飛んでいって、ネットコミュニティーが形成されていると思うのです。日本には近々入ってくるはずというか、ある会社が権利を買っているはずです。ウェブログを個人で持つことが容易になってくると思うのですが、それと連携してスポーツのネットコミュニティーが良くなっていく、発展していく可能性があるかということです。
熊谷 さっきの電話と電信の話みたいなところで、最初に設計している人間が、利用者の方にどこまで使われるようになるのか予測するのは難しいです。どういう使い方が一番使いよいのかという合意形成がされていく中で判断されてくると思います。面白い方法にはなってくるとは思いますし、何らかのスポーツ界への影響というものはあるのですけれども、具体的にこうだということはイメージできていない状態です。
石井 陸上競技の東海デカスロンチームと言うクラブチームの運営にかかわっています。松本さんに伺いたいのですが、ウェブを見てもらうことが、青空サッカープロジェクトのサッカーにかかわって来てもらうことの第一歩だと思うのですが、見てもらうまでの過程に何か工夫とかPRしていることはありませんか。
松本 そこの部分は今欠けていると認識していたところですけれども、一般的な方法では、アクセス数の多いサッカー系の情報サイトの掲示板が一番手軽です。それ以外に大事にしているのは、自分と似たようなサイトの人とか、活動地域が同じで運営しているサイトの人たちとこまめに連絡を取って、お互いプラスになるようなリンクの張り方をしています。普通のリンクの張り方ではなくて、一言添えたリンクの張り方とかということを意識しています。
石井 ウェブをあまり見ない人にも知られるような方法というのは意外と少ないですね。
松本 簡単に言えば、チラシを配るということなどですよね。本人が面倒臭がっているのか、今はやってはいないです。
後藤 スポーツ施設サイエンス三重研究所の後藤と申します。先程の松本さんの話だと、ヒット数はあっても参加者が増えていないと話がありましたが、ウェブ界だとロムと言うのですか、リードオンリーの人だけのが多いので、一言書いてもらうような参加してもらう方策をとられたことがあるかどうかお伺いします。また匿名性の問題ですけれども、ウェブの発展した一つのイメージとしては、匿名でいろいろなことができるというこれはちょっと否めない事実です。こうやって皆さんとお会いすれば、皆、ネームタグを付けていたりして「だれだれさんですか。何をしているのですか」から始まって、いろいろなコミュニケーションがつながっていく。非常に大切なことですけれども、反面IDを知らせたくないという問題もあります。相反するところに対する対策とか、何か方法がありましたら教えてください。
熊谷 匿名性は大変重要な概念だと思います。匿名でアクセスしてくる人はその人の情報は確かに公開しないけれども、では、その人はどういうかかわり方をしているのか。その人が匿名であるか名前を公開してくる人であるという違いが本当に意味があるのかという考え方もあると思うのです。
情報というのは可塑性があって、自由度があって、非常に捉えづらいところがあるのですが、今のところ匿名であるというところに捉われ過ぎていることがあったら、「誰かは分からないけれども、その人たちは私たちにとっていいようにかかわってきてくれるのだろうか、どうだろうか」というところを見ながらターゲットとして取り込んで、そういう人たちがウェブサイトを活性化してくれるのだったらプラスになる部分は多いのではないかとも思います。匿名性ということに関してはもちろん悪質なケースもありますけれども、ウェブの世界ではそのように考えられることもあります。
松本 ウェブというそれがまた一つの空間であって、そこがもう1人の自分の居場所になるという考えがあるとすると、もう一つの人格が別の世界、ウェブという空間の中にあって、その中にまた違う自分が生活しているというそれもまた面白くなってくるのではないかという考え方もあります。あと、ヒット数が増えているにもかかわらず参加者が増えないということについては、今のところ私のサイトでやってきたことは、サッカーの会場を表示しているページのすぐ横に「スケジュール」と「参加申し込み」のボタンを用意して、言葉で言えば「ユーザビリティー」というのですが、情報を見たらすぐにアクセスできるような、そういう使い勝手の良さを意識して修正はしました。
松澤 講師の先生に感謝の拍手をして終わりたいと思います。本日は、ありがとうございました。
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