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11. 研究成果と今後の課題
 本調査研究会の研究成果をとりまとめると以下の通りである。
(1)多変量解析手法がターゲットシステム設定に適用可能であることを示した。
(2)多変量解析の中でも判別分析が適しており、線型判別式をターゲットシステムとして提案した。
(3)船舶管理会社情報がより効果的なターゲットシステムを構築する際に有望であることを示した。
(4)特定の船籍、あるいは老朽船のみを検査対象とする方法も効率的であることが示された。
(5)2003年修正案について定量的に評価し、比較的有効な方法であることを確かめた。
 
 今後、この線型判別関数を用いたターゲットシステムをより有効なものにするためには、データの更新に連動して、随時線型判別関数を最新のものにするシステムを構築する必要がある。また、このようなシステムを構築しておけば、説明変数として現在集められている項目に不要なものがあるか、または、新たに収集すべき項目は何であるかも判断可能となる。
 
 また、ターゲットシステムを各国において実際に運用する際には、それぞれの国に入港する船舶の船籍、船種、船齢などのパターンに特徴があることが明らかになったので(表20及び表21に示す)、これら要素を勘案することにより、さらに確実なサブスタンダード船の捕捉が期待できるであろう。
 
表1 解析対象データの項目とデータ例
(拡大画面:161KB)
 
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表3 目的変数および説明変数の候補
説明変数 備考
船籍(Ship Flag) n% 属する船籍のdetention rateの%値  
船種(Ship Type) Y or N Type 13, 30, 40, 55, 60, 61, 70, and age>15か否か?  
Classification Society Y or N non-IACSか否か?  
Class detention ratio n倍 属する船級のdetention rateが船級全体の平均値の何倍か?  
Relevant instrument ratification   使用せず  
船齢(Ship Age) n 船齢そのものの数値  
検査空白期間 nヶ月 nヶ月前が最後に実施した検査  
Company   船舶の管理会社:完全な情報は得られていない  
Detained Y or N 過去4回の検査でdetentionがあったか否か? 今回を含まず
Y or N 今回detentionがあったか否か? 目的変数として使用
欠陥数
(Number of deficiency)
n個 過去4回の検査での欠陥数の合計 今回を含まず
n個 今回の検査での欠陥数 目的変数として使用
未処理欠陥数
(Number of outstanding deficiency)
n個 前回の検査での未処理欠陥数  
Number of Detainable deficiency n個 今回の検査での重大欠陥数 目的変数として使用
船主(Owner)   使用せず







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