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「うどん」
 
 
福井 石川 三昌 選
 
一杯のうどんが効いた寒い夜 鳥取 鹿野中三 田中 良一
温かいうどん食べるといい笑顔 鳥取 鹿野中一 稲村 幸助
うどん食べおなかの調子とりもどす 鳥取 鹿野小四 内海 志織
うどんうちひたいにあせがにじんでる 岩手 西根町立寺田小 遠藤 裕紀
休日は即席うどんだけで済む 鳥取 鹿野中二 岡田 拓弥
うどんはねきれいな水がいのちだよ 鳥取 鹿野小二 長谷川 太智
お目当てのうどんもとめてドライブだ 香川 川東小六 森田 晃貴
足ぶみでこしあるうどん行列だ 香川 川東小六 松岡 知世
うどん食べ今日も一日がんばろう 香川 西部小五 香川 拓也
うどんはねふめばふむほどこしが出る 鳥取 鹿野中一 山名 美由紀
手打ちうどん母の愛じょうこもっている 岩手 西根町立寺田小 後藤 唯菜
職人の思いうどんにこもってる 鳥取 鹿野中一 井伊 真奈美
白いうどんまるで私の肌のよう 沖縄 高嶺中二 下門 早百合
母さんの作るうどんは世界一 鳥取 鹿野小五 梅津 亜紀
口の中つるつる入ってかくれんぼ 鳥取 鹿野小五 佐々木 かおり
うどんはねつくった人のあいがある 鳥取 鹿野小六 松島 拓広
根性を入れる男のうどん打ち 鳥取 鹿野中二 谷口 正典
口の中ゆめが広がるうどんだよ 鳥取 鹿野小五 木村 絵美里
肉うどんぼくにパワーをくれました 新潟 五泉小三 山倉 誠也
 
秀句
ツルツルとうどん胃の奥まで走る
鳥取 鹿野中三 井上 裕華
たくましいうどんのような父になる
沖縄 高嶺中一 山城 真
わりばしが逃げるうどんをたい捕する
愛媛 松山市立小野小六 亀田 大地
 
選者吟
名物のうどん常連さんの列
福井 石川 三昌
 
選評
 金毘羅さんの名物さぬきうどんとあって、コシの強さと美味しいうどんの作り方を、いやというほど知らされました。家族をあげてうどんに打ち込む香川県の心意気が、純真で天真燗漫なジュニアの目を通して作品にあふれ、私の喉までがごくんと鳴る思いでした。親子代々伝承される名物うどんのコツを充分教えられ、名物としてのうどんが名実共に全国の人々に愛され親しまれることを願いながら選句をさせていただきました。
石川 三昌
 
「平野」
 
 
香川 若草 はじめ 選
 
走ってころび笑顔ポロッと出た平野 鳥取 鹿野中二 木村 かがり
平野からおもちゃの兵たい走らせる 新潟 五泉小三 山倉 誠也
何もない平野のような一人部屋 鳥取 鹿野中二 原田 建太
戦争はよそうよ平野泣いている 千葉 小六 渡邉 真美
どんぐりがころころ平野にお引っこし 香川 丸亀市立城東小六 塩田 有起
自転車でのはらをはしるぼくのゆめ 鳥取 鹿野小四 高原 佑太
平野にも小さな命生きている 鳥取 鹿野小五 橋本 紫央
平野からむしの合唱はじまった 鳥取 鹿野中一 中原 豊
平野はねけずったわけじゃないんだな 鳥取 鹿野中一 山下 沙耶香
平野の草さらさらゆれてミュージカル 岩手 西根町立寺田小 伊藤 日香里
平野をね上から見たらパズルみたい 鳥取 鹿野小五 佐々木 かおり
平野ではおもわず走るなぜだろう 香川 綾南町立昭和小六 田中 航太
ポイ捨ては止めろ平野が泣いている 山口 大内中二 古川 雄大
走りたいころがりたいな大平野 石川 小四 浜本 凱登
日本一ひろい平野におとし穴 埼玉 千代田小二 岩田 大輝
人生は平野ばかりじゃありません 鳥取 鹿野小五 椿 梨沙
大声でさけぶと平野こだまする 東京 小五 吉田 真歩
お昼寝ができそう美しい平野 鳥取 鹿野中二 植田 真由美
越後平野をかける僕らは風小僧 新潟 五泉小六 山倉 有馬
 
秀句
平野には命のやどる音がある
鳥取 鹿野中二 仲川 ちふみ
この平野心の中の秘密基地
福岡 福島高校定時制 古里 美沙
平野には戦争ごっこ似合わない
鳥取 鹿野中二 野藤 恵
 
選者吟
黒板に描いた平野で育つ麦
香川 若草 はじめ
 
選評
 平野というイメージは人をワクワクさせる何かがある。その何かが夢であり願望であろうと思われる。子供の頃の夏の草いきれ、冬の枯草の匂い、心の合った友と作った秘密の基地。歩けばバッタやキリギリスがキチキチと羽根を鳴らして跳んだ思い出、戦争を嫌う純真さ、大人達がつい忘れそうなメルヘンタッチの風景を見事に描き出してくれた作品に心より拍手を贈るものである。
若草 はじめ
 
 
2004年2月21日付朝日新聞愛媛版掲載より







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