(3)ANKOUの音響画像データ
底質分類に使用可能なデータとして、平成15年7月に実施された東部南海トラフ域のANKOUのデータがあり、平成16年度においてグランドトルスデータの有無を確認する。図77は ANKOUの計画測線(図中の西北西―東南東の測線)である。
図77. ANKOU計画測線(西北西―東南東方向の測線)
南北及び東北東―西南西方向の測線はSeaBeam2112による海底地形調査測線を示す。
2.2.2 データ編集プログラムの開発
SeaBat8101あるいはANKOUで収録した音響画像データの平均化処理とヘディング、ピッチ等の姿勢データを編集する機能を有する品質管理ソフトウェアを試作する。
(1)概要
本ソフトウェアは、SeaBat8101あるいはANKOUで収録した音響画像データ(デジタルデータ値)から海底面における後方散乱強度値(Backscattered Energy)への変換後のデータファイルを入力し、後方散乱強度値の平均化処理とヘディング、ピッチ等の姿勢データを視覚的に編集処理するものである。
入力データファイルは、平成14年度の研究開発により決定した表16に示すフォーマットのものであるが、入射補角に対する後方散乱強度分布作成には、データの範囲が整数ではなく実数となるため、データの型をfloatへ変更した。
(2)各データの補正範囲
本ソフトウェアで取り扱う各データの範囲を以下に示す。この範囲において、マニュアル補正、移動平均値や移動中央値処理を可能とする。
1. 磁気偏差量 -45.00〜45.00
2. 姿勢情報補正
ヘディング 0.00〜359.99
ピッチ -90.00〜90.00
ロール -90.00〜90.00
深度 0.00〜7000.00
高度 0.00〜12000.00
※小数点以下が入力可能なデータは、全て小数点以下第2位まで有効とする。
3. 姿勢情報補正における移動平均及び移動中央値処理
単位ピング数 3〜50
4. 音響画像データ ±約7桁
表16. 底質分類のための音響画像データファイル・フォーマット
[ヘッダ部]
|
フィールド名 |
型 |
バイト数 |
備考 |
1 |
ID |
char |
4 |
“SSS”固定 |
2 |
データID |
char |
11 |
“SB8101”または“ANKOU” |
3 |
測地原子 |
char |
1 |
0: 日本測地系、1: 世界測地系 |
4 |
組織名 |
char |
256 |
“海洋情報部”固定 |
5 |
観測機器 |
char |
256 |
ヌル終端を含む文字列 |
6 |
船名 |
char |
256 |
ヌル終端を含む文字列 |
7 |
クルーズ名 |
char |
256 |
ヌル終端を含む文字列 |
8 |
調査海域 |
char |
256 |
ヌル終端を含む文字列 |
9 |
処理開始時刻 |
|
7 |
|
1 |
年 |
u_short |
2 |
|
2 |
月 |
u_char |
1 |
|
3 |
日 |
u_char |
1 |
|
4 |
時 |
u_char |
1 |
|
5 |
分 |
u_char |
1 |
|
6 |
秒 |
u_char |
1 |
|
10 |
処理終了時刻 |
|
7 |
|
1 |
年 |
u_short |
2 |
|
2 |
月 |
u_char |
1 |
|
3 |
日 |
u_char |
1 |
|
4 |
時 |
u_char |
1 |
|
5 |
分 |
u_char |
1 |
|
6 |
秒 |
u_char |
1 |
|
11 |
ファイル情報 |
|
可変長 |
|
1 |
ファイル数 |
int |
4 |
読み込んだファイル数 |
2 |
ファイル名 |
char |
259×ファイル数 |
入力ファイル名(“*.hsx”)を読みこんだファイル数分繰り返す |
|
[データ部]
|
フィールド名 |
型 |
バイト数 |
備考 |
1 |
Julian time |
double |
4 |
|
2 |
母船緯度 |
double |
8 |
度単位 南緯は負数 |
3 |
母船経度 |
double |
8 |
度単位 西経は負数 |
4 |
曳航体緯度 |
double |
8 |
度単位 南緯は負数 |
5 |
曳航体経度 |
double |
8 |
度単位 西経は負数 |
6 |
ヘディング |
float |
4 |
北が0度 時計回り 度単位 |
7 |
ロール |
float |
4 |
+:port up 度単位 |
8 |
ピッチ |
float |
4 |
+:bow up 度単位 |
9 |
高度 |
float |
4 |
m単位 |
10 |
深度 |
float |
4 |
m単位 |
11 |
音速 |
float |
4 |
m/sec単位 |
12 |
画像データ数 |
u_short |
2 |
1024または4096個 |
13 |
スワス幅 |
float |
4 |
m単位(未使用) |
14 |
片側のレンジ |
float |
4 |
m単位 |
15 |
ピクセルサイズ |
float |
4 |
m単位 |
16 |
STBD |
float |
1×可変長 |
外側から直下の順 |
17 |
PORT |
float |
1×可変長 |
直下から外側の順 |
|
(3)データファイルの表示例
データファイルの入力後、図78に示すように全てのピングデータを全画面表示する。図は、テストデータを入力した状態を示す。
図78. テストデータ入力後の初期画面
各ウィンドウの機能は以下である。
1. ツールバー:データファイルの指定及び保存
2. 操作バー:マウスのモードを切り替えるためのツール。グラフウィンドウの編集、表示範囲の移動などの操作を切り替えることができる。
3. データ表示ウィンドウ:入力データファイルの音響画像データをカラー表示する。
4. コントロールパネル:データ表示ウィンドウ上の点をマウスのポインタで指定すると、収録時刻、各動揺データの数値を表示する。
(4)姿勢データの補正例
データファイルに含まれるヘディングの不良データについて、マウスで対象範囲を指定し、マニュアル補正で不良データを除去した例を図79に示す。除去地点のデータは、前後のデータから線形補間する。指定区間において、移動中央値あるいは移動平均値を算出し、このような不良データを除去またはその影響を軽減することができる。
図79. 編集ソフトウェアを用いたヘディング値の補正(上:編集前、下:編集後)
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